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5−2 ブランドの反復的購入の刺激付けという目的を達成するための販売 促進手法の使い方

ブランドの反復的購入の刺激付けということを狙った販売促進の戦略的な使 い方をよく眺めてみると,ブランド試用の刺激付けということを狙った販売促 進よりももっと短期的な問題の解決ということを目指して実施される傾向が認 められる。ブランド試用の刺激付けということを狙った販売促進は,ブランド の長期的な売上高を増大させるために,新規顧客の獲得ということを実現する ために実施されることになる。ブランドの反復的購入の刺激付けということを 狙って実施される販売促進は一般に,商品購入のタイミングを変えさせ,短期 的にユーザーを自社ブランドに引き付け,そのユーザーをその商品の市場から 遠ざけてしまうことを狙って実施される。しかしながら,われわれは実際に は,ブランドに対する好ましい態度を創成するための手段として,商品の使用 量を増大化させることを狙った販売促進を実施してみることも可能なわけで,

この種の販売促進を通じてブランドに対する好ましい態度を創成することがで きるようになれば,長期的にはそれが,より強力なブランド・エクイティの創 成となって結び付いてゆくことになるのである。

ブランドの反復的購入の刺激付けということを狙って実施される販売促進手 法のなかでも特にロイヤルティ・プランあるいは継続プログラムは,ブラン ド・ロイヤルティの創成ならびにその維持ということを実現するための販売促 進手法としても使ってみることができる。ブランドの反復的購入の刺激付けと いうことを狙って実施される販売促進手法のなかでもプレミアム,ならびにス ウィープステイクス/ゲーム/コンテストは,各種ブランド間でブランド・ス 販 売 促 進 手 段 の 選 択

イッチングを繰り返す傾向の強い消費者を対象とし,自社ブランドが属する商 品カテゴリーを購入する機会が訪れた際に彼らが他社ブランドではなく自社ブ ランドを確実に購入してくれるようにすることを狙って実施されることにな る。ブランド・エクイティの創成ということを頭に入れながら販売促進を実施 するようにすれば,わが社のブランドに対するより好ましい態度の創成という ことを実現することができるようになり,わが社のブランドに対するより好ま しい態度を創成することができるようになれば,わが社のブランドに対するブ ランド・スイッチングの頻度をこれまで以上に高めることができるようにな る。

ブランドの反復的購入の刺激付けということを狙った販売促進手法のなかで も特にプレミアムは,ある意味で,ある特定の市場セグメントを狙って実施す ると効果的な販売促進手法ということができる。スウィープステイクスやゲー ム,さらにはコンテストの場合には,こちらが狙う標的オーディエンスに合わ せて,提供すべき賞品の中身を調整してやることができるわけであるが,プレ ミアムの場合も同様に,こちらが狙う標的オーディエンスに合わせて,彼らを 強力に引き付けることができるような報奨を選択してやることが容易に可能で ある。プレミアムやスウィープステイクス,ゲームさらにはコンテストといっ た販売促進手法は,

POP

ディスプレイやバナー,特殊なディスプレイなどと いった,小売店の店頭で実施されるインストア・マーチャンダイジングの活性 化という面においても効果を発揮することになる。こうしたインストア・マー チャンダイジングは,ブランド・スイッチングを繰り返す傾向の強い消費者の 注意を自社ブランドに引き付けるとともに,自社ブランドが有するベネフィッ トに関する訴求をさらに一層強化するための機会を提供してくれることにな る。加えてまたマーケターは,スウィープステイクス,ゲーム,さらにはコン テストといった販売促進手法を

IMC

キャンペーンの統合的なテーマを消費者 に浸透させるための手段としても活用してみることができる。

ロイヤルティ・プランや特に商品増量プランは,自社にとって重要な市場を 松山大学論集 第22巻 第3号

構成している消費者を自社ブランドに釘付けにし,競争企業が実施する活動か ら自社ブランドを防御するのに優れた効果を発揮してくれるようになる。ロイ ヤルティ・プランを実施すれば,自社ブランドの反復的な購入あるいは反復的 な使用を刺激付けすることができるようになるため,現在わが社のブランドを 常時使ってくれている顧客を引き続きわが社のブランドに止まらせたり,ブラ ンド・スイッチングを繰り返す傾向の強い消費者を自社ブランドを常時使って くれる顧客に変えさせるのに効果が発揮されるようになる。価格割引パックや ボーナス・パックなどのような商品増量プランは,ブランド・スイッチングを 繰り返す傾向の強い消費者を自社ブランドに引き付けたり,自社ブランドのユ ーザーが競争他社ブランドに切り替えようとしているところを踏み止まらせる のに効果を発揮することになる。

商品増量プランは,期間を絞って実施する戦術的な手法としてとらえておい た方がよい。競争企業がいま新ブランドの市場導入を考えているということが 明らかとなった場合,あるいは競争企業が自社ブランドに対抗するような何ら かの手を打とうとしていることが明らかとなった場合には,ボーナス・パック という販売促進手法を実施してやるようにすれば,当該商品カテゴリーに対す る需要は自社が実施するボーナス・パックによってその分奪われてしまうこと になるため,一時的にではあるが,競争企業の行う新ブランドの市場導入に混 乱を生じさせることができるようになる。

ブランドの反復的購入の刺激付けということを狙った販売促進は,使い方次 第で極めて高い効果を発揮することができるようになるわけであるが,競争他 社が事前にそれを予知することができるようなやり方をしてみたり,常時それ を実施するようなやり方は極力避けるようにすることが大切である。

図表4は,ブランドの反復的購入の刺激付けということを狙った販売促進は どのような状況下で実施すると効果を期待することができるかということを簡 単にまとめてみたものである。1)

販 売 促 進 手 段 の 選 択

6.消費者向け販売促進手段としての見本提供の特質と機能

広告や販売促進の質がいかに高かったとしても,それだけでは消費者を商品 の購入にまで結び付けることはできない。最終的な商品購入の決め手となるも のは商品そのものにほかならないからである。商品の質が劣っていた場合に は,商品購入の引き金を消費者に引かせることは難しくなる。商品にとっての 最高の広告,それは商品そのものといってみることができる。2)見本提供はわ れわれが現在採用しているあらゆる種類のマーケティング・テクニックのなか でも,おそらく最も古くから使われているマーケティング・テクニックといっ てよい。3)ある実務家は,価格割引クーポン提供を販売促進のメルセデス・ベ ンツと呼んでみることができるものとするならば,商品の見本提供は販売促進 のロールス・ロイスと呼んでみることができるであろうと述べている。4)

「見本提供(sampling)」は,消費者に商品を試用してもらうために商品を無 基本的な販売促進手法 好ましい状況

ロイヤルティ・プランならびに 商品増量プラン

ブランド・スイッチングを思い止まらせたいという場合 新しい競争企業が所定の商品カテゴリーに新製品を投入 しようとしている場合

プレミアム ある特定の市場セグメントに対して自社ブランドが有す るベネフィットを訴えたいという場合

小売店の店頭におけるPOPディスプレイの利用を活性 化させたいという場合

スウィー プ ス テ イ ク ス,ゲ ー ム,ならびにコンテスト

IMCキャンペーンの統合的なテーマを消費者に浸透さ せたいという場合

インストア・マーチャンダイジング活動を活性化させた いという場合

自社が現在実施しているブランドのポジショニング政 策,あるいは,自社が現在流しているブランドに関する 広告メッセージをさらに一層強化したいという場合 図表4 反復的購入の刺激付けを狙った販売促進はどのような状況下で実施すると効果的か

Source : Larry Percy, Strategies for Implementing Integrated Marketing Communications, NTC Business Books,, p.1.

松山大学論集 第22巻 第3号