第8章 フォローアップ・モニタリング
雨水浸透の効果は、地域や流域の特徴によって大きく異なることから、雨水浸透施設の整備計 画を実効性のあるものにするためには、設置効果を適切に評価し、計画の策定段階に適宜フィー ドバックするプロセスが必要となる。そのためには、流域の状態や設置効果の調査、施策の取組 状況の調査等のモニタリングは不可欠である。
フォローアップ体制の構築とモニタリングにより、雨水浸透施設の流出抑制効果や地下水涵養 効果を検証しながら、データや知見の蓄積により他地区への展開に繋げることが雨水浸透効果の 担保性の向上や設置促進に資するものと考える。
本章では、雨水浸透施設設置後のフォローアップ体制の構築の考え方及びモニタリング項目と 地点選定の考え方について紹介する。
第 8 章 フォローアップ・モニタリング
8.1 フォローアップ体制の構築
雨水浸透による持続可能な流出抑制機能、地下水涵養機能、さらには汚濁負荷削減機能を確保 するためには、PDCA サイクルに基づく流域管理を行う必要がある。流域管理を行うためには、
雨水浸透施設の効果を確実に把握していくことが必要であり、効果を継続的にモニタリングする とともに、施設整備の進捗状況等を適宜確認して、データや知見の蓄積を図るフォローアップ体 制を構築することが重要である。
<解説>
雨水浸透施設は、地域・流域の特性によってその効果が大きく異なる等の特徴がある。従って、
施設設置後の設置効果についてモニタリング等を行い、整備計画の見直しに反映させていくシス テムの構築に留意する。
設置対象面積が大きな地域においては、雨水浸透施設の設置密度が目標に達するまでに相当な 時間がかかるため、その設置効果はモニタリングによって明らかにされにくい。そのため、これ までには途中でモニタリングを中断する事例もあった。実現可能な設置密度との兼ね合いによる 設置対象地区や重点整備地区の適正な規模の選定が必要である。また、地域住民のニーズ(湧水 再生、水辺環境の改善、道路冠水軽減等)の高い地区を重点整備地区とし、地域住民と連携した 設置推進やモニタリングを行う等の工夫が必要である。
第 8 章 フォローアップ・モニタリング
図 8-1 雨水浸透施設設置によるフォローアップ体制 対象地区
重点整備地区の選定
計画の策定
地域への説明・協力要請
事業の実施
モニタリング 流域状態量および
設置効果の調査
●河川流量
●湧水量
●地下水位
●降水量等
施策の取り組み状況の 調査
●浸透施設設置状況
●開発状況
●土地利用状況
●広報活動状況等
・データの公開、市民との協働
・事業実施効果の検討、確認 事業の評価
評価の説明・計画の見直し
データ・知見の蓄積
他地区への展開
第 8 章 フォローアップ・モニタリング
8.2 モニタリング項目及び地区選定の考え方
雨水浸透施設の設置効果を定量的に把握するためには、施設設置後の効果の追跡観測(計測)
が必要である。
<解説>
雨水浸透施設の設置は、図 8-2 に示すような水循環系の改善効果が期待される。これらの効果 を定量化するためには、モニタリングにより図 8-2 に示すような観測(計測)が必要である。流 域全体での雨水浸透効果を把握するためにモニタリングする場合、一般的には、地下水位・河川 流量・湧水量及び降雨量の観測を行うものとする。
蒸発散量の増加 降水
(気温の低下)
表面流出量の減少 流出汚濁負荷量の減少
地下水位の上昇 土壌水分量の増加
湧水量 の増加 洪水流量の減少
低水流量の増加 水質(平常時、出水時)
の改善
図 8-2 雨水浸透施設設置による水循環系の改善イメージ 表 8-1 モニタリング項目と地点選定時の留意事項 モニタリング
項目 地 点 備 考
降雨量 浸透施設設置エリア内に観測地点を 設ける事が望ましいが、難しい場合は 近傍の既設観測所等のデータを代用 する。
時間雨量の取得
地下水位 涵養域の台地部と河川や湧水への流 出点近傍の低地部の地下水位をでき るだけ複数箇所測定する。
観測井戸周辺での地下水利用状況を 事前に調査する必要がある。
河 川 や 水 路 等 の流量(水位)
浸透施設の涵養域流末の極力近傍で の河川や水路の水位や水質を測定す る。
河床変動や背水の影響を受けない地 点を選定する。
また、観測地点上流での灌漑用水や下 水処理水等の流入状況を把握する。