この学習アクティビティでは、学習者がフェアプレーの意味 について考え、フェアプレーとアンフェアなプレーの違いは どこにあるのかを考察することを促す。
「フェアプレーは、チームメートや対戦相手を尊重すること。フェアプレーが難し いときもある。」
14 歳 生徒
「自分はフェアプレーを心がけている。つまり、ルールを守ることだ。だけどぜっ たいに試合に勝ちたいときには、タクティカル・ファウルをするのもやむを得ない。」
14 歳 サッカー選手
「フェアプレーとは、書面化されたルールを順守するだけのことではない。スポー ツをする者としての態度や行動に現れる正しい精神を指す。」
国際フェアプレー憲章
話し合う
これらの発言に、あなたは共感しますか。
それはなぜですか。
あなたが考えるフェアプレーとは、どのようなものです か。
フェアプレー精神を貫くのが難しい状況について話し合 いましょう。
アクティビティシート 26
フェアプレーの規則に従って行動する
オリンピック教育のテーマ:
フェアプレー、敬意/尊重、バランス 学習活動の提案:
5~8歳(小学生)から 15 ~ 18 歳(高校生)までの各年齢層 への適応
指導法および学習スキルの提案
構成主義的指導法、創造力、問題解決、コラボレーション、ロールプレイ法、振り返り、
議論
学習到達目標
フェアプレーはスポーツにおいてだけでなく、生活においても重要であることを理 解する。
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The Resource Library 内のアクティビティシート 26
B.フェアプレー学習B.フェアプレー学習
セクション4:オリンピズムの教育テーマを指導する セクション4:オリンピズムの教育テーマを指導する
1964 年インスブルック大 会:ボブスレー競技に出場 したイタリアチーム。ユー ジェニオ・モンティ選手 とセルジオ・シオルパエ ス選手。
フェアプレーの規則に従って行動する
フェアプレーに基づいた行動の物語はすべての人をインスパイア、すなわち元気づけ、
明るい気持ちにさせる。学習者は、以下の物語を読んだり、聞いてから、自分のフェ アプレー物語を語ったり、書いたりするとよいだろう。
読む前の問いかけ
誰かがあなたのために、その人がやる義務のない何かをしてくれた、あなたを助けるために自分のことをさしおいて行動した。そんな状況について考えて みましょう。どんな気持ちになりましたか。このような行動を「フェアプレー」と呼ぶのはなぜだと思いますか。
読む
ボブスレーにおけるフェアプレー8
ユージェニオ・モンティは、オーストリアのインスブルックで行われた 1964 年の冬季競技大会で、オリンピックにおけるフェアプレーの歴史に 名を刻みました。イタリア人のモンティは、世界最高レベルのボブスレー 選手でした。ボブスレーは、ランナーと呼ばれる刃(エッジ)の付いたファ イバーグラス製の流線型のそりに乗り、山腹に設けられた氷のトラックを、
時速 150 キロメートルのスピードで滑降する競技です。ボブスレーのそ りには、2人乗りと4人乗りがあります。ハンドルを操作するドライバー と残りの選手が、できるだけ安定したバランスを保ちながら、曲がりくねっ たトラックを猛スピードで滑走し、ゴールまでのタイムを競います。
モンティはすでに男子4人乗りボブスレーで銅メダルを獲得していました。
彼の悲願は、男子2人乗りボブスレーで金メダルを獲得することでした。
パートナーとともに山頂で滑走の順番を待っている時のことでした。そば にいたイギリスのロビン・ディクソンとトニー・ナッシュ組のボブスレーに、
重大な問題があることに気がつきました。ランナーをそりに固定するボル
トが紛失していたのです。このボルトがなければレースに出場することは できません。どうすればいいでしょうか。
モンティは一瞬もためらうことなく、自分たちのそりから外したボルトを モンティにとっての最大のライバルであるイギリス組に貸しました。ナッ シュとディクソンのチームは無事レースに出場し、金メダルを獲得しまし た。モンティ自身は、ふたたび第3位という結果に甘んじました。彼が示 した寛大な行為に対し、国際フェアプレー委員会(CIFP)から特別フェア プレー賞が贈られました。
モンティはオリンピックで金メダルを獲得するという夢のために、現役続 行を決意しました。40 歳になっていましたが、1968 年の冬季競技大会 をめざしてトレーニングを再開しました。彼のスキルと長年にわたる経験 は、ついに報われ、ボブスレー競技男子2人乗りと4人乗りの両方で優勝 を果たすことができました。
話し合う
◦ 長年の夢だった金メダルを逃す可能性があるにも関わらず、モンティが対戦相手のチームにボルトを貸したのは、なぜだと思いますか。
◦ だれでも同じ行動をするでしょうか。それはなぜですか。
◦ モンティにとって勝つことよりも重要だったのは何だと思いますか。
◦ ボブスレーなどの競技では、装備の良し悪しによって勝敗が大きく左右されます。これはフェアと言えるでしょうか。その理由も考えてみましょう。
最新鋭の高価な装備が必要な競技は、他にどんなものがありますか。
B.フェアプレー学習B.フェアプレー学習
ノルウェーのスキー・コーチ、ビョルナル・ホーケンスモーエン
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外洋でのフェアプレー
1988 年9月 24 日、土曜日。カナダのヨット選手、ローレンス・レミュー は、ソウル・オリンピック競技大会のスター級ヨットレース競技で、2位 のポジションにつけていました。この日、レースが行われた韓国の海は荒 れ模様。強風にあおられ高い波が押し寄せていました。レミューにとって、
悪天候はお手の物でした。荒れた海でのセーリング経験が豊富だったから です。先行艇を追い上げ、金メダルを狙える圏内にいました。
そのとき、視界の隅で、荒波に揺れる無人のヨットが見えました。無人のヨッ ト近くでは、冷たい海に投げ出された人がもがいています。突然の大波を 受け、落水した選手がいたのです。
レミューはただちにコースを外れ、遭難している選手に近づいて、水から 引き上げました。次に自艇の舳先(へさき)を海岸に向け、救助を求めに 行きました。レスキュー隊が到着すると、レミューはふたたびレースに戻 りましたが、先頭集団から大差をつけられてのゴールとなりました。対戦 相手を助けるために、優勝するチャンスを自ら放棄したのです。
IOC はレミューの功労を認め、オリンピック特別賞を授与しました。レ ミューからすればヨットマンとして当然の行動だったのに、メディアの大 興奮を目の当たりにして、うれしさと驚きが半ばするといったところでし た。「セーリングにおける第一のルールは、遭難した人を救うこと」と彼は 語っています。
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スキーのストックをありがとう!9
カナダ国民、レース中のサラ・レナーにストックを貸してくれたノルウェー のコーチに感謝
トリノ・オリンピック競技大会で、カナダのクロスカントリー・スキー選手、
サラ・レナーのストックが競技中に折れたとき、彼女にストックを貸した ノルウェー・チームのコーチ、ビョルナル・ホーケンスモーエンに、止む ことのない称賛の声が寄せられました。
レナーはお礼として、ホーケンスモーエンにワインを贈りました。カナダ のクロスカントリー・カナダ(CCC)は、感謝の意を伝えました。ノルウェー の団長に対しても、カナダ・オリンピック委員会から感謝状が送られまし た。借りたストックのおかげで、レナーとそのチームメートであるベッキー・
スコットは、最終的に銀メダルを獲得しています。
ホーケンスモーエンは次のように語っています。「反射的な行動で、考える 必要もなかった。互いに助け合うことが、ノルウェー・チームのポリシー だし、私自身のポリシーでもある。競技は対等な条件で行われるべきだ。
すべての選手が2本のスキー、2本のストックで戦うのが当然なのだから。」
ホーケンスモーエンにとって、レナーに予備のストックを貸すのは、ごく 当たり前の行動でした。彼以外の人々から見ると、メダル争いの中で失わ れがちなオリンピック精神を示す模範でした。
話し合う
◦ 勝つことに対するノルウェーのコーチとカナダのレミュー選手の考え 方は、どんな点が似ていますか。
◦ 彼らの考え方に共感しますか。その理由も考えてみましょう。
◦ この2つの物語は、どちらも個人競技におけるフェアプレーに関する ものです。サッカーやアイスホッケーなどの団体競技では、フェアプ レーの問題が紛争の火種になることが少なくありません。団体競技で フェアプレーに問題が起こりやすいのはなぜなのか、考えてみましょ う。競技団体は、このような状況にどう対処していますか。競技団体 の取り組みは、成功しているでしょうか。その理由も考えてみましょう。
◦ 次のトピックについて討論してください。「敗者には常にフェアプレー 賞が与えられる」。これは本当ですか。仮にそうだとすれば、フェアプ レー賞の価値が下がるでしょうか。
話し合う
◦ このノルウェーのコーチにとって、オリンピックでメダルを取るより も重要なものは、何だったのでしょうか。
◦ ノルウェー・チームは第4位に終わり、メダルを逃しました。自分た ちがメダルを取れる可能性が低くなるのに、他のチームを助けるのは 果たしてフェアでしたか。
B.フェアプレー学習B.フェアプレー学習