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︑\≠、.ノ
周縁部分
液体ノ・温度ガ・使用醤町上ノ標準=・達シテイズ・ソノタメニ不満足感 ガ伴ウ・状態
を意味する形容詞とすると,①液体性 ②温度性 ③基準性 ④不足性 ⑤ 不満足感 ⑥状態性(⑦形容詞性)などが意味特徴であり,それらをまとめ たものが「ぬるい」の意義素なのである。ここに見たように,意味特徴に は,語義そのものに関わるもののほか,語の形態論的・構文論的特性に関わ るものや文体・文化に関わるものなど,さまざまな種類が考えられる。
8−3 範列的関係と統合的関係
「美しいチューリップが咲いた」という文において,「チューリップ」の 位置に代入できる語として,「水仙」「菊」「すみれ」「桜」などが挙げられ る。このように文中の同位置において交換できる語を互いにく範丁子関係〉
paradigmatic relation に立つ語と呼ぶ。「美しい」と「見事な」「すばらし い」「黄色い」なども範列国関係に立つ語である。また,元の文における
「美しい」と「チューリップ」とはく統合的関係〉 syntagmatic relation に 立つといわれる。しかし,「昧」「におい」「失敗」「注射」などの語は「美し い」とは統合的関係に立たない。そこで,同一語と統合的関係に立つ語は,
同じ意味特微を共有していることがわかる。 「チューリップ」「水仙」「菊」
「すみれ」「桜」などは,たとえば《花》という三昧二酉を共通にもってお り,また「チューリップ」との統合的関係が認められる「咲く」 「枯れる」
一83一
「しおれる」などは《顕花植物》と《無意志自動動作》という意味特功を共 有している。
←〉 ←→ 統合的関係 範列的関係 美しい チュ 一一リップが
(見事な) (水仙)
(すばらしい) (菊)
咲いた。
(枯れる)
(しおれる)
このようにee 一一の意味特徴を共有する単語の集まりによって形成されるもの を〈意味場〉 semantic field という。「醤油」「砂糖」「ソース」「塩」「酢」
「味読」「胡椒」などは《調味料》という意味特微を共有する意味場を形成 しているし,「赤」「青」「白」「黒」「緑」「燈(だいだい)」などは色彩名称 という意味場を成している。
8−4 反義・類義・対義・偏義
「おじ」 「おば」の意味特徴としては次のような項爵が挙げられる。
お じ お ば
親族姻族
o o
尊属
o o
傍系
o o
3親等
o o
男 性
。
×
(父母の兄弗,父母の姉妹の配偶巻)
(父母の姉妹,父母の兄弟の配偶者)
この「おじ」と「おば」という語はいくつかの意味特徴を共有しながら も,「性別」については正反対の特徴をもっている。このように特定の点に 関して正反対の意味特徴をもつ単語の組を〈反義語〉(〈反意語〉とも)
antonym といい,相互の関係をく反義〉 antonymy, Antonymie, antony−
mie という。「広い」と「狭い」,「長い」と「短い」,「寝る」とF起きる」,
「出る」と「はいる」,「戦争」と「平和」,「静寂」と「瞳曝(騒)」などは,
それぞれ反義語の組である。これとは反対に,「上がる」と「上る」では,
①空間的移動 ②下から上方への移動 ③時間・労力の多寡 ④動作への視 点⑤「…テイル」形の意味などの意味特微に分けて考えた場合,両語は
①と②を共有するが,③④⑤では異なりを見せる。③④⑤は「上がる」の結 果表現,「上る」の過程表現という相違に基づく意味特徴であるから,実は 1項:にまとめられるものであろう。1組の語がいくつかの岡じ意味特徴を共 有する場合,それらをく類義語〉 synonym, Synonym, synonyme と呼ぶ。
( syn一 はギリシャ語で「類似の」という意味をもっている。 synonym の 訳語として〈同義語〉も行われているが,完全に主義である別表現の存在は 考えられないから,雄書ではすべてく類義語〉を用いることにする。)した がって,共有特徴項目が多いほどく類義性〉 synonymy, Synonymie, syn−
onymie が高くなり,共有特微意鐸が少なくなると類義性は低くなる。上述 のく同義語〉は共有する意味特微が完全に同じものを指すのであるが,それ は理論的に考えられるだけで,現実の単語同士のあいだには必ずなんらかの 差異が存在するため,純粋な同義語は存在しないと考えられる。たとえば,
「惑(わく)星」と「遊星」はともに「恒星」の反義語で指示事象は同一で あるが,使用者の層に違いがあり(一方は東京大学宇宙物理学教室関係者に 用いられ,他方は京都大学の同教室関係者に用いられてきた),また「惑星」
には「政界の惑星」のような意味(ダークホース)・用法があるのに,「遊 星」にはそれがない。また,「八重歯」と「鬼歯」も指示対象が同一一である と見られやすいが,「八重歯」は文字どおりく重なって生えている歯〉であ って,「鬼歯」はく牙のように外に向かって生えている八重歯〉であり,こ の2語の指示対象の範麟は一一致しない。その上,「八重歯」にはく可愛らし さ・魅力〉が感じられるのが通例であるのに対して,「鬼歯」にはくこわさ・
みにくさ〉が感じられることが多く,マイナスのイメージが伴っていて,蝦 蟹は発想や連想が異なっている。こういうわけで,どんな言語にもく同義 語〉の組を兇つけることはできないのである。
「シャボン」も「石鹸」も捲示物は同じであるが,前者は外来語で後者は
一85一
漢語である点が違う。それだけでなく,「シャボン」は昭和初期までは使わ れていたが,今目一般には使われることはなくなり,もっぱら「石鹸」が使 われる時代になった。つまり2語には明らかに時代性における違いが認めら れる。その上,rシャボン」には複合語「シャボン玉」があるが,「石鹸」
には「石鹸玉」という複合語はない。
「(上略)…それじゃ,仰せに従って渡るとするかな。君愈(いよいよ)登 りだぜ。どうだ,歩行(ある)けるか」 (漱石r虞美人草』一)という文で は,尊敬語「仰せ」の使用に照応すべき述語として「渡ることにいたします」
とか「渡らせていただきます」などが期待される箇所に,逆に横柄な「渡る とするかな」が用いられていて,文体的には不統一になっている。 (この作 品では,親友問のことばのやりとりに,このようなネジレをつくって,意識 的に表現のおもしろみをかもし出す工夫が行われている。)「渡るとするか な」という文末形式からは,「仰せ」の代わりに「進言」「建言」「ことば」
などが用いられるべきであり,「従って」の代わりに「容(い)れて1「聞 き入れて」などが用いられるべきである。つまり,
(甲) 仰せに→従いまして→渡らせていただきまず \\\\\
ヘェ
(乙)進言を→聞き入れて→渡るとするかな
(甲)で一貫すべき尊敬(謙譲)表現が途中から(乙)の尊大表現に変質し て,滑稽味を出すことになったわけである。このような文体や位相の上での 違いも,語の意味特徴の一一部を成していて,多様な類義関係をつくり出して いるのである。
意義素を意味特徴の項目数から見ると,上述の反義語も,広い意味では類 義語の1種というふうに見られるかもしれない。 「高い」と「低い」は「高 さ」を示す意味場を形成する類義形容詞,「戦争」と「平和」は,複数の社 会集団闇の緊張状態を示す意味場を形成する類義名詞というふうに考えるの である。しかし,このような場合は類義関係とは見なさない。その理由は,
ばれ,ほかにも「高 い」と「浅い」などが 挙げられるが,<反 義〉というときは,正 反対の特徴が1点に限 られる関係を指すの で,これらは反義語の 組とはされないのであ
「高い」と「低い」,「戦争」とヂ平和」などの組では,ある1点において,
正反対の意味特徴が認められるからである。「おじ」と「おば」の場合も,
性別においてちょうど対立する関係にある。これらはすべて反義関係にある わけである。しかし,「上がる」と「上る」,「美しい」と「きれいだ」など の組には,四四点はあっても対立点が見られないから,類義関係を溝成して いることになるのである。
上述の反義語とは違って,「海」「川」に対する「由」や,「赤」または
「黒」に対する「白」のように,なんらかの意味で,1組になる個々の語を く対義語〉とかく対語〉と呼ぶことがある。 (上記の反義語の意味でく対義 語〉を使うこともあるが,紛らわしいので本書では使用を避けた。〈対語
〉はタイゴと読むときは反義語の意昧であることもあり,ツイゴと読むとき にも言様に反義語の意味であることがある。)〈対義〉の例としては,「松 竹梅」や「東西南北」,「春夏秋冬」のように,3語・4語によって構成され ているものもあるが,多くは2語による構成である。琴・笛を意味する「糸 竹(いとたけ)」や「飲み食い」 「目鼻」などである。
なお,「自分」を中心に考えると,「おじJに対するのは「おば」である が,考えようによっては「めい(姪)」も「おじ」に対する語と見ることが できる。 「おじ」と「めい」には,傍系性と3親等の2項は共通していて,
尊属・卑属,および性別の2項目対立している。このような二重の対立関係
はとくにくヌ寸柔隅〉と呼
父牒母 おじ2 おじ1
\//
ノ
肖分 兄・姉 弗・妹
1//\
めい2
めい王
(対偶関係)
一87一
る。
複合語の中には,ごくわずかではあるが,成分の一部が語義とは無関係で ある語が存在する。たとえば「国家」という漢語は,「国」と「家」という成 分から出来ているが,「家」の意味はなくて単なる「国」という語と類義で ある。このような語をく帯説〉と呼び,意味のあり方としてはく偏義〉と称 する。偏義には,このほか「緩急」「子弟」「動静」「人物」などの例を挙 げることができる。現代日本語の「多少」は「多少にかかわらず配達いたし ます」や「融資額の多少が閥題なんだ」の中では,偏義ではないが,「ワー プロは多少扱えます」 「多少の損失はこの際やむをえまい」などの例では
一 一
「少」の方に偏している。ちなみに「江南創と題された杜牧の七言絶句の 結句「多少楼台煙雨中」の「多少」では「多」の方に偏している。
.
8−5 原義・転義
「寓」という語は,もともとく周辺部よりいちじるしく盛り上がって頂き のある土地〉を指したと考えられる。その「山」は村里の住人たちにとって は,(i>薪を取りに行ったり茸を探しに行ったりする所であり,(ii)神が宿り恐 ろしい魔性のものが住むさびしい場所でもあった。また,㈹金・銀・銅などの 採掘される所でもあった。こういう「山」のもつさまざまな側面すべてに共 通しているのは,<周辺部よりいちじるしく盛り上がっていて頂きのある土 地〉という意味である。このような語本来の意味をく原義〉(「本義」とも)
original meanlng という。「山」の意義素は①非水域性,②自然性,③顕 著な隆起性,④有頂性などの意味特徴から成っていると考えられる。類義語
「おか(丘・岡)」「丘陵」「高み」などとは③④の意味特徴において相違し,
「塔」「やぐら」「ノッポビル」などとは②の意味特徴において相違する。さ て,「山の神(山を支配する神)」「山彦」「山うば」「野犬」などの「山」は
(ii)と関達する禁忌空間・野性の意味があり,「山刀」「山仕事」などの「山」
は(i)と関連した意味をもっている。また, 「山師」r山をあてる」「出をかけ る」などの「山」は㈹の鉱由探しの投機性に関した意味で用いられている。