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ノイズの大きさ評価実験

ドキュメント内 第 1 章 序論 (ページ 74-77)

第 4 章 音の大きさ評価における男女差の検討

4.3 ノイズの大きさ評価実験

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が認められなかった場合に用いられるノンパラメトリック検定であるFriedman検定を用いて検討 を行なった。呈示音圧レベル条件と性別に対してFriedman検定を行なった結果,呈示音圧レベル 条件に有意確率 1 %で,性別に有意確率5 % でそれぞれ有意差が認められた。検定結果を表-36 に示す。

表-36 呈示音圧レベル条件と性別のFriedman検定結果

呈示音圧レベル条件 性別

カイ2乗 118.985 カイ2乗 5.188

自由度 2 自由度 1

有意確率 0.000 有意確率 0.023

呈示音圧レベル条件に有意差が認められたことから,呈示音圧レベル条件によって評価値に差 があったと言える。このことから,最適聴取レベルの平均から ±5 dB の音圧レベルの変化によ って音楽再生音の大きさの評価値に差があり,意図したとおり呈示音圧レベルが上昇するほどよ り「大きい」と評価されたことが分かる。

性別に有意差が認められたことから,男女によって音楽再生音の大きさの評価値に差があると 言える。そこで,どの呈示音圧レベル条件における音楽再生音の大きさの評価値に男女差がある かを検討するために,ノンパラメトリック検定であるマンホイットニーのU検定を用いて検討を 行なった。各呈示音圧レベル条件における男女の音楽再生音の大きさの評価値に対してマンホイ ットニーのU検定を行なった結果,+5 dB 条件と -5 dB 条件において有意確率 5 % で有意差が 認められた (+5 dB 条件 : U = 638,p < 0.05; -5 dB 条件 : U = 670,p < 0.05)。どちらの呈示音圧レ ベル条件においても,男性の方が女性よりも同一音圧レベルの音楽再生音をより「小さい」と評 価していた。ただし,平均条件においては音楽再生音の大きさの評価値に有意な男女差は認めら れなかった。

次に,各実験参加者の最適聴取レベルと音楽再生音の大きさの評価値について,スピアマンの 順位相関係数 rs を男女別に求めたところ,男女のどちらにも有意な弱い負の相関が認められた (男性 : rs = -0.32,p < 0.01; 女性 : rs = -0.48,p < 0.01 )。この結果から,同一呈示音圧レベルの音 楽再生音をより「小さい」と評価する実験参加者ほど,最適聴取レベルを高く設定する傾向にあ ることが分かる。

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4.3.1 実験環境

3.2.1項に示す実験環境と同様である。実験参加者は3.2節の音楽の最適聴取レベルの測定実験

および4.2節の音楽再生音の大きさ評価実験に参加した14名 (男性7名,女性7名) と同一人物 である。

4.3.2 実験刺激

建築と環境のサウンドライブラリ DVD [54] に収録されたピンクノイズの15秒間を実験刺激と した。ノイズの呈示音圧レベル (等価騒音レベル) は55 dB,60 dB,65 dB,70 dB,75 dBの5種 類とした。この呈示音圧レベルは 3.2 節で行なった音楽の最適聴取レベルの測定実験から得られ た実験参加者の最適聴取レベルの分布範囲から決定した。ただし,呈示音圧レベルが異なるピン クノイズをランダムに呈示しただけでは,刺激音が同じであるために大きさの評価が前に呈示さ れた刺激と比較した相対評価になる可能性が高くなる。そこで,本実験では音圧レベルの異なる 5種類のピンクノイズに3.2節の音楽の最適聴取レベルの測定実験で用いた表-10に示す6種類の 楽曲を3.2節で得られた全実験参加者14名の最適聴取レベルの平均値 (表-35に示す各刺激の平均 条件と同じ値) に呈示音圧レベルを設定したものを加えた合計11種類の刺激を用いた。

4.3.3 実験方法

刺激の呈示および大きさの評価は 4.2.3 項に示す方法と同様に行なった。なお,評価値「4」は

「どちらでもない」とした。ノイズの大きさの判断が難しい場合には刺激を繰り返し聴取するこ とを許可した。

4.3.4 実験結果と分析

各呈示音圧レベルにおけるノイズに対する男女別の評価値を,4.2.4項と同様に四分位数を用い た箱ひげ図により図-22に示す。音楽再生音の場合と同様に,女性よりも男性の方が同一音圧レベ ルのノイズをより「小さい」と評価する傾向にあることが分かる。

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図-22 各呈示音圧レベルにおけるピンクノイズに対する 男女の評価値の四分位数および最大値と最小値

なお,本実験でもノイズの大きさの評価にカテゴリー尺度を用いている。そこで,4.2.4項と同 様に範疇判断の法則により評価尺度の等間隔性を検討した。その結果,実験で用いたカテゴリー 尺度値と,範疇判断の法則を適用し変換した間隔尺度の値に有意な強い正の相関が認められた (rs

= 1.000, p < 0.01)。そのため,これ以降はノイズの大きさの評価値を間隔尺度として扱い,議論を 行なう。

ノイズの大きさの評価値における男女差と呈示音圧レベルについて統計的に検討するために,

全実験参加者のデータを確認したところ,正規性が認められなかった。そこで,4.2.4項と同様に

Friedman検定を用いて検討を行なった。検定の結果,呈示音圧レベルに有意確率1 %で,性別に

有意確率5 % でそれぞれ有意差が認められた。検定結果を表-37に示す。

表-37 呈示音圧レベルと刺激のFriedman検定結果

呈示音圧レベル 性別

カイ2乗 34.281 カイ2乗 4.597

自由度 4 自由度 1

有意確率 0.000 有意確率 0.032

呈示音圧レベルに有意差が認められたことから,呈示音圧レベルによって評価値に差があると 言える。このことから,音圧レベルの変化によってノイズの大きさの評価値に差があり,意図し たとおり呈示音圧レベルが上昇するほどより「大きい」と評価されたことが分かる。

1 2 3 4 5 6 7

男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性

55 dB 60 dB 65 dB 70 dB 75 dB

小さい評価値大きい

呈示音圧レベル

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性別に有意差が認められたことから,男女によってノイズの大きさの評価値に差があると言え る。どの呈示音圧レベルにおけるノイズの大きさの評価値に男女差があるのかを検討するため,

4.2.4項と同様に各呈示音圧レベルにおける男女の評価値に対してマンホイットニーのU検定を行

なった。その結果,呈示音圧レベルが55 dBの場合に有意確率 10 % (U = 10.0,p < 0.1) で有意な 傾向が,65 dB の場合に有意確率 5 % (U = 8.00,p < 0.05) で有意差が認められた。どちらの呈示 音圧レベルにおいても女性よりも男性の方がノイズをより「小さい」と評価していた。

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