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いないのに対し、本論文では、予想データの年限間の整合性や、インフレ率以外の経済変数 との整合性を考慮しつつ、経済全体の基調的なインフレ予想を推計している。
第2に、インフレ予想カーブの先行研究と比較すると、先行研究で用いているのは、専門 家のサーベイ・データ、またはマーケット・データのみであるが、本論文では、家計や企業 を含め様々な主体のサーベイ・データ情報を集約して、インフレ予想カーブを推計している。
第3に、状態空間モデルを用いた先行研究では、最尤法を用いてモデル推計を行っている が、本論文ではベイズ推計を採用している。パラメータ数が多い複雑なモデルでは、最尤法 による推計は、結果が不安定になるため、ベイズ推計を用いてこうした問題を軽減している。
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図4-1 予想データ(インフレ率)
(1)短期(1~2年先)
(2)中期(3~4年先)
(3)長期(5~10年先)
(出所) Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、QUICK、日本経済研究センター、
経済企画協会、Wolters Kluwer「Blue Chip Economic Indicators」、Bloomberg、日本銀行
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図4-2 予想データ(実質成長率・名目金利)
(1)コンセンサス・フォーキャスト
(2)Blue Chip (3)ESPフォーキャスト
(4)名目金利
(出所) Consensus Economics「コンセンサス・フォーキャスト」、日本経済研究センター、
経済企画協会、Wolters Kluwer「Blue Chip Economic Indicators」、財務省
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次に、実質成長率の予想データは、入手可能な系列が全て専門家の予想データとなってお り、コンセンサス・フォーキャスト(6系列)、Blue Chip(1系列)及びESPフォーキャス ト(3系列)の、計10系列である(図4-2)。最後に、名目金利の予想データは、モデルで用 いる3か月物金利の先行き1年以上についてのサーベイ・データが存在しないため、国債の 市場金利のスポット・レート(残存年限1年、2年、…、10 年)から、1~9年先の各時 点における、先行き1年のフォワード・レート(9系列)を算出している。
また、3変数の実績値として、消費者物価指数(総合<除く生鮮>、消費税調整済)、実 質成長率、名目金利(3か月物)を用いる(図4-3)ほか、インフレ率に対する外生変数と して、輸入物価指数を用いる。データは、いずれも四半期の季節調整済・前期比を用いる。
以上、本論文の推計に用いる系列は、予想データ38系列、実績値4系列の、計42系列とな る。これは、日本において利用可能な、インフレ率、実質成長率、名目金利の予想に関する サーベイ・データ及びマーケット・データ(1年先以上)を概ね包含している。Crump, Eusepi,
and Moench [2018] が用いた約600系列よりは少ないが、これは日米で利用可能な、サーベ
イ・データの数が、大きく異なるためである。
予想データをモデルで推計に用いる際には、スポット系列(足もとから ℎ 年先までの平均 的な伸び率に対する予想)と、フォワード系列(先行き ℎ 年先スタートの 𝑥 年間の伸び率に 対する予想)のいずれを用いるかという論点が存在する32。本論文では、期間構造の推計に おいて、各々の年限の情報が独立して得られることが望ましいと考え、スポットの予想デー タは全てフォワード系列に変換して、モデルの推計を行っている。例えば、QUICK月次調査
(債券)は、「今後1年間」「今後2年間」「今後10年間」の3つのスポット系列があるが、
「今後1年間」と「今後2年間」から「1年先スタート1年間」を、「今後2年間」と「今 後10年間」より「2年先スタート8年間」を計算し、この2系列を推計に用いる。
32 金利の期間構造の表現を用いると、前者はスポット・レート、後者はフォワード・レートに相当する。
72 図4-3 実績値
(1)実質成長率 (2)潜在成長率(日本銀行推計値)
(3)輸入物価指数 (4)CPI(総合<除く生鮮>)
(5)名目金利(3か月物)
(出所) 内閣府、総務省、日本銀行、Bloomberg
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