第 8 章 HDLC 110
8.1.4 データリンク
1次局から送信されるフレーム(2次局への指示)はコマンドと呼び、1次局が受信するフレーム(2次局からの応答)はレ スポンスと呼びます(下図 1次局と2次局)。
●2次局
1次局からの命令に従い動作する局です。
1次局とは逆に、2次局から送信されるフレーム(1次局への応答)はレスポンス、受信するフレーム(1次局からの指示) はコマンドになります(下図 1次局と2次局)。
●複合局
1次局,2次局を兼ね備える局です(下図 複合局)。
1次局 2次局
コマンド
レスポンス
1次局と2次局
複合局 複合局
コマンド/ レスポンス
コマンド/
レスポンス
複合局
8.1.2 アドレス
HDLCにおけるコマンドやレスポンス等のフレームには、全て「アドレス」が付加されています。
アドレスを付加することで、どの局に対するコマンドか、どの局からのレスポンスかを判断でき、全二重通信が可能となる のです。
コマンドフレームには、それを受け取る2次局(または複合局)のアドレスを付加し、レスポンスフレームには、それを送信し た2次局(または複合局)のアドレスが付加されます。
1次局 アドレス=A
コマンド
レスポンス
2次局 アドレス=B B
B
1次局と2次局のアドレス
複合局 アドレス=A
コマンド
複合局 アドレス=B B
レスポンス
コマンド レスポンス B
A
A
複合局のアドレス
8.1.3 フレームの構成
HDLCでは、全ての情報を下図に示すようなフレーム単位で伝送します。伝送される順に従って説明します。
フラグ 01111110
(8bit)
アドレス (8bit)
制御部 (8bit)
情報部 (任意のbit)
FCS (16または
32bit)
フラグ 01111110
(8bit) 伝送方向
フレームの構成
●フラグ
フラグは、フレームの始まりと終わりを示し、フラグ同期の機能を持っています。受信側では、これらのフラグを検出 し、フレームの先頭と末尾を識別します。
★フレームの認識
このフラグが検出されなければ、フレームの先頭や末尾が識別できずに正常に通信できなくなります。信号のなまり等 には注意する必要があります。
●アドレス
局を識別するためのアドレスです(『8.1.2 アドレス』を参照してください)。
●制御部
接続局に対する命令や、その命令に対する応答を格納します。
●情報部
ここに実際に送信を行うデータを格納します。データはどのようなビットパターンでも構わず、またフィールドの長さに 制限はありません。
●FCS(Frame Check Sequence:フレーム検査シーケンス)
「アドレス」,「制御部」,「情報部」の誤り制御のためのビットパターンをCRC方式で格納します。
8.1.4 データリンク
データリンクとは、データの伝送経路のことで、物理的な伝送経路(通信回線等)と論理的な伝送経路(送受信可能な状態) との両方がそろった状態のことを言います。
例えば、データを送信する前に相手側の受信準備状態を確認した時、はじめて「データリンクが設定された」といいます。
HDLCのデータリンクには、不平衡型データリンク(Unbalanced Data Link)と平衡型データリンク(Balanced Data Link)の2種 類があります。
●不平衡型データリンク
1次局と2次局で構成され、データリンクの設定や障害の復旧等は、全て1次局が行います。
●平衡型データリンク
複合局同士で構成され、データリンクの設定や障害の復旧等は、それぞれの局が対等に行います。