第2章 ディスク研削におけるAE特性
第1節 ディスク研削のAEと研削性能に及ぼす 砥粒粒度と研削時間の影響
1 実験
1.1 研削装置とAE計測法
本実験の研削装置と AE信号計測の概略をFig.20に示す。 実験に 供したディスク研削装置は, 図のように水平に回転するディスク上 こ研磨布を両面テープで固定し, これに対して被削材を定荷重で押 しつけて繰り返し研削するタイプのものである。 この装置は, ディ
スクの回転速度が遅く, 前章で使用したベルトが高速運動するベル ト研削装置に比べるとディスク上に切り屑が堆積しやすく, 目づま りを起こしやすい構造である。
AEセンサ(共振周波数11'.征fz)は被削材の上面にマグネットホルダ こより押しつけており? 被自Ij材と AEセンサ聞にはシリコングリー スを塗布した。 研削中の AEセンサによる検出信号は, プリアンプ で20dB増幅し, さらにディスクリミネータにおいて30'"'-' 50dB増幅 するとともにバンドパスフィルタを通した。 このAE信号をウェー ブメモリに記憶し, 時間軸を拡大してFFTアナライザに読み出して 時間軸波形を観察するとともに, 尉波数特性を調べた。 一方, AE 計数率は, しきい値による弁別出力をデュアノレカウンタに入力し,
冒....--研削時間10秒間におけるリングダウン総数を測定することによっ て求めた。
1.2 被削材, 研磨布と研削条件
被削材は, Fig.20に示すような研削面15 x 15mm , 長さ45mmのス ブルース気乾材(含水率14.00/0, 比重0.48, 平均年輪幅0.9mm)を供試 し, 研磨布には溶融アルミナ製の粒度の異なる 6種類(桝0, 岸60,
岸80, #100, 再150, 岸240)を用いた。 研削条件は研削速度を0.32m/s,
研削圧力を0.55kgf/cm2に一定とし, 柾目面の縦ならびに横研削を研 削時間120分まで行った。 実験では, 研削能率は, 10分毎に被削材 の重量減少量を測定し, それから1分間当たりの研削 重量を求め,
その値をその時点での研削能率として表したc なお, 研削時間に伴 うAE計数率の変化については, 予め所定 時間 研削した研磨布を用
意し, この研磨布を用いてAE計測を行った。
さらに, 研削時間に伴う研削能率低減の主要因である目づまりが
AE計数率に及ぼす影響を調べるため, 60分間の縦 研削 を行った後,
各粒度の研磨布面に付着した切り屑を全く除去していないものと , 約4kgf/cm2の空気圧の吹き付けによって一部除去したものを再び 供 試し, 両者の研削能率とAE計数率 を測定した。
2 結果と考察
- 50
-、.
-2.1 研削能率
縦ならびに横研削の各粒度の研磨布における研同IJ時間に伴う研削 能率(R)の変化と, それを研削時間10分における研削能率(RIO)に 対する比(RノRIO)で表したものをFig.21に示す。 研削能率はいずれの
粒皮の研磨布においても研削時間の経過に伴 い 低減する傾向を示し たc 主た, 研削能率は砥粒切込み量に支配されるため, 粒度の小さ い研磨布ほど高い研削能率を示したc また, 粒度の大きな研磨布ほ ど研削能率の低下割合が大きく, しかも短時間のうちに定常的にな った。 これは粒度の大きな研磨布ほど目づまり の影響を顕著に受け
るためと考え られる。 なお, 横研商Ij の研削能率は, 縦研削に比べる といずれの粒度の研磨布においても高い値を示すが, その研削時間
こ伴う変化は縦研削とほぼ同様の傾向を示す。 また, 研削能率比に ついても縦研削との大きな違いは認められない。
2.2 A E信号波形とスペクトノレ
Figs.22および23は, ディスク研削過程で得られた縦ならびに横 研削の粒度#80 の研磨布における AE 信号の時間軸波形とその スベ クトルを研削初期(研削開始後10秒)および研削時間120分につ いて示したものである。 時間軸波形より, 研削初期の方が振幅が大 きく, また研削方向 による違いでは, 縦研削に比べ横研削の方が振
|隔が大きいことが分かった。 また, スベクトノレ波形より, 横研削の
、�
方が縦研削に比べ高い周波数成分を有するが, AE信号はベルト研 削の場合と同様に0.1 '""'-' 0.31任Iz付近の周波数成分が卓越しており,
研削時 間お よ び研削方 向にかかわらずスベ ク トルの形に大きな違い は 認 められない。
2.3 A E計数不
縦ならびに横研削の AE計数率の研削時間に伴う変化をFig.24に 示す。 AE計数率は, いずれの粒度の研磨布においても研自Ij開始か
ら10分の聞に急激に低下し, その後定常的になる傾向を示したc また, AE計数率も研削能率と同様に縦研削に比べ横研削の 方 が高
\値を示すが, 研削時間に伴う変化は縦研両Ij , 横研削とも同様であ った。 この傾向はベルト研削の場合とほぼ同様であり, ディスク研 削における AE計数率の研削時間に伴う低下も, 前章で指摘したよ
うに砥粒摩耗や目づまりの進行7 すなわち砥粒切れ刃に加わる圧力 の低減による砥粒切込み量の減少によるものと推察される。
しきい値を変化させて求 め た研削 初 期 (研削開始後 10 秒) にお ナる縦ならびに横研削の研磨布の粒度と AE計数率の関係をFig.25 に示す。 いずれのしきい値においても研削初期の AE計数率の粒度
依存性はマキシマムカーブを示した。 また, しきい値が高いほど AE計数率は低い値となるが, AE計数率の最大値の現れる粒度は小 さくなる傾向が認められる。 なお7 横研削の場合も縦研南Ijに比べい
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-
、...--ずれの粒度においても高い値を示すが, AE百十数率の粒度依存性は 縦研削と同様々傾向を示しているc こ れらの結果は, 本実 験の研削 初期のディスク研削機構が, 粒度#150前後で変化することを示唆し ている すなわち, 粒度#40 � #150付近の範囲では研削作用が支配 的で, 粒度が大きくなると研削に与る砥粒の切れ刃密度が増加し,
AE計数率は増加するが, #150付近を越える粒度範囲では砥粒切込 み量が極端に小さくなり? 切り屑を排出しない状態での摩擦作用が 顕著になるため, AE計数率は次第に低減するものと考えられる。
また, 上述のようにしきい値が高い場合ヲ 最大値の現れる粒度が小 くなるが, これは砥粒の過度な切込みや脱落7 破砕などに起因す る突発的な大振幅 AEの発生頻度が高いためであると考えられる。
このように, 縦ならびに横研向lJの研削初期における研磨布の粒度 と AE計数率の関係については, AE計数率が砥粒の切れ刃密度と 砥粒切込み量に依存するため, 両要因の相互作用の結果, マキシマ ムカーブを描くものと考えられるc
研同IJ時間 120分における縦ならびに横研削の研磨布の粒度と AE 計数率の関係をFig.26に示す。 この場合, AEの振幅が研削初期に 比べ大きく低下するので, 0.32mVの低いしきい値に設定しているc 研削時間120分における AE計数率は研削初期の場合と異なり, 粒 度の大きな研磨布ほど高くなる傾向を示した。 これは, 研削時間
'-<
- �・ー
可開--120分における研磨布は砥粒摩耗や自づまりが著しく進行しており,
その結果 , 研削初期に比べ 大振幅の AE は低減するがヲ 目づまり木 紛や遊離の木粉と被削材との聞の摩擦作用に起因すると考えられる 小振幅の AEの発生は, 高粒度側で顕著になることを示唆している。
2.4 A Eと研削能率に及ぼす切り屑除去の影響
60分間研削を行った研磨布について, 研磨布面に付着した切り 屑を全く取り除いていないものと, 空気圧の吹き付けによって一部 除去したものの比較実験結果を, 研削能率, AE計数率と粒度の関 係でFig.27に示す。 研削能率は, いずれの粒度においても切り屑の
除去, すなわち砥粒切込み量の増加効果によって増大しており, こ れは研自iJ能率 を 低 下させる要 因 と して 目づまりが大きく関 与 してい
る こ とを示 唆 しているι 一方, AE計数率は, いずれの粒度におい て も切り屑除去の影響をほとんど受けていない。 Lemaster . DornfeI d
( 1993 )仏は, 強制切込み方式による ドラム研削において類似の実験
を行い, RMS電圧について同様の結果を得ている。
この AE計数率の挙動については次のように考えられる。 すなわ ち? 切り屑の除去は砥粒切込み量を増加させ, それに伴い AE発生 を顕著にする効果を持つ一方, 目づまり木粉と被削材との摩擦によ る AEを低減させる効果も持っと考えられる。 したがって, こ れら の効果が相殺し, AE計数率に目づまり木粉除去の影響が出現しな
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-、-
-かったも の と推察される。
3 摘安
本節では, ディスク研削装置を用いた縦ならびに横研削過程 の AEと研削性能に及ぼす砥粒粒度と研削時間 の 影響を検討するとと
もに, 研削時間に伴う研削能率低減 の 主要因である目づまりがAE 計数率 に及ぼす影響につ い ても検討し ? 以下の結果を得たc
( 1 )縦 な らびに横研削とも, 研削能率は研削時間の経過に伴い低
減し, AE計数率は研目IJ初期に急激に低下したc また, 研削能率 な らびに AE計数率とも? 横研削は縦研向IJに比べ高い値を示すが, 研
削時間 に伴 う 両 者の変化は縦研削, 横研削のいず れの場合も同様で あった。
(2)研削初期の AE計数率の粒度依存性は, AE計数率が砥粒の切 れ刃密度と砥粒切込み量に依存するため, 両要因の相互作用の結果,
マキシマムカーブを示した。 この結果は, 本実験の研削初期のディ スク研削機構が, 粒度#150前後で変化することを示している。 一方,
研削時間 1 20 分の AE 計数率の粒度依存性は, 粒度の大 きな研磨布 ほど高くなる傾向を示した。 これは, 砥粒摩耗や目づまり の 進行し た研磨布は, 研削初期に比べ大振幅 の AEは低減するが, 目づま り木粉や遊離の木粉と被削材との聞の摩擦作用に起因すると考えら