6.2 第二次実験
6.2.2 チーム A の観察
企画段階での議論にて,チームAが作成したスケッチを図6.3に示す.チームAはこの スケッチを記述しつつ,プレゼンテーションで強調するコンセプトやアプリケーションの機 能に関して1時間程度の議論を行った.チームAの企画内容は「エナジードリンクを飲む たびにアプリのボタンを押してポイントを溜め,一定のポイントが溜まる度にレベルが上 がっていき,そのレベルをみんなで競うアプリ」だった.議論の際には冗談などのやり取り が頻繁に交えられており,チームの仲の良さなどがうかがえた.
モックアップの作成
企画終了時にて,チームAが作成したCacooのモックアップを図6.4 に示す.チームA は1つのモックアップ画面を作成しており,注釈オブジェクト内で内部処理に関わる変数お よびメソッドが複数定義されていた.
開発過程での行動
チームAにおいては,各メンバが積極的に発言する場面が多く見受けられている.図6.5 に画面共有履歴の一部を示す.「作業進捗共有を兼ねた画面共有機能」の「デバッグの自動 検知」により,プログラマCの画面が高い頻度で共有されていた.時点で共有頻度が高かっ たのはプログラマBの画面であり,主にプレゼンテーションの資料作成時の「リソース作 成・編集の自動検知」によるものであった.プログラマAはサーバサイドの開発を主に担当 しており,Xcodeを用いた開発にほぼ従事していなかったため,「デバッグの自動検知」によ る共有機会は少なかったが,「共有ボタン」を押すことでサーバサイドのソースコードを共 有するなどの行動が見られた.デザイナはイラストツールを用いて画像を作成していたが,
このイラストツールは自身のPCではなくリモートマシンを経由して活用されており,「リ ソース作成・編集の自動検知」は作動しなかった.デザイナもプログラマAと同様に「共有 ボタン」を用いての共有を行っていた.
完成したアプリケーション
チームAが最終的に完成させたアプリケーションの状態を図6.6に示す.チームAはプ ロトタイプVer.0作成時においてアプリケーションの画面の数を1つに設定しており,最終 的に完成したアプリケーションも2つの画面で構成されたものだったが,うち1つの画面に 関しては遷移が不可能な状態となっていた.
ソースコードの状態
チームAが最終的に完成させたアプリケーションのソースコードの一部を図6.7に示す.
チームAは,「成果物イメージ共有を兼ねたプロトタイプVer.0 作成機能」のソースコード 変換機能を使用し,モックアップから変換されたソースコードを用いて開発を行っている.
アプリケーションのソースコード中において,いくつかのオブジェクト変数とメソッドに関 する宣言文およびコメント文が,ソースコード変換機能によって挿入されていることを確認 できた.ソースコード変換機能によって挿入されたメソッドは7つであり,その内6つのメ ソッドの内容がメンバによって実装されていた.これらのメソッドの実装により,スケッチ 作成時に議論された根幹機能が実現された状態となっていたことを確認した.また,新たな 拡張機能として,「別バージョンの画面を表示する機能」や「効果音を再生する機能」など の実装が見られた.ソースコード変換時に挿入されたコメント文以外に,チームが新たに記 述したコメント文は発見されなかった.
図6.3 企画段階にチームAが作成したスケッチ
図6.4 企画終了時にチームAが作成したCacooモックアップ
Programmer B
Programmer C
Programmer C
Programmer C
Programmer C
図6.5 画面共有履歴の一部(チームA)
First View (Another pattern) First View
(Default pattern)
図6.6 完成したアプリケーション(チームA)
Annotation Object
図6.7 完成したアプリケーションのソースコードの一部(チームA)