3.4 エンタングルメントの構造
4.2.2 セパラブル領域の体積
では最後に、制御NOTオペレーションを加えたときにどのように状態が変 化するかを見る。この場合、
CρC= 1 4
⎛
⎜⎜
⎜⎜
⎝
1 +r 0 p−q 0 0 1−r 0 p+q p−q 0 1 +r 0
0 p+q 0 1−r
⎞
⎟⎟
⎟⎟
⎠ (146)
となる。この場合もユニタリ変化のため状態空間の形は変わらない。しかし、
今度の場合は状態空間全体がセパラブルになる。この場合の状態は次のよう に基底が変わっている。
ρ= 1
4(1 +pσ1⊗1−qσ1⊗σ3+r1⊗σ3) (147)
0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75 0.005
0.01 0.015 0.02 0.025 0.03
図17: セパラブル領域の体積の比率の変化
子状態のあらゆる断面を書くことである。しかし、それには数学的困難が付 きまとう。なぜなら木村の方法にしろ、固有値を求める方法にしろ、それは 4次の多変数多項式をとくことに他ならない。4次の方程式の解は形式的に 知られているが、その解が実数であるかどうかを判定するにはより高次の多 項式を解かなくてはならない。今のところ5次以上の多項式の形式解は知ら れていない。そのため断面を描くことも数学的に困難である。これを解決す る方法として線形でないパラメトリゼイションを施す方法が考えられる。ど れがいいパラメトリゼイションなのかその基準はまだ提示されていない。物 理的、情報理論的なものがいいと思われるが、それはまだ未知の分野である。
また、今回はセパラブル領域の体積の比率を求める際にユークリッド体積 を用いたが、これも議論の余地がある。物理的に意味のある体積はハールメ ジャーと対角成分に対する任意のメジャーを取ってくるほうが自然だ。さら に今回はa=bの場合しか調べていないが、a=bの場合も調べるべきであ る。
これからの課題として、純粋状態がS15にどのように埋め込まれているの かも考える必要がある。そして、便利なパラメトリゼイションを考えること によって、一般相対性理論で言うところのペンローズダイアグラムに相当す るものがかけるかもしれない。これらが今後の課題である。
A 基底空間が正四面体になることの証明
基底空間は、
ρ= 1
4(1 +pσ1⊗σ1+qσ2⊗σ2+rσ3⊗σ3) (148)
である。これを行列表示にすると、
ρ= 1 4
⎛
⎜⎜
⎜⎜
⎝
1 +r 0 0 p−q
0 1−r p+q 0 0 p+q 1−r 0 p−q 0 0 1 +r
⎞
⎟⎟
⎟⎟
⎠ (149)
となる。この固有値は、
1
4(1−p−q−r) 1
4(1 +p+q−r) 1
4(1 +p−q+r) 1
4(1−p+q+r) (150)
である。これをrについて解くと、r= 1−p−q,1+p+q,−1−p+q,−1+p−q となる。固有値が正であるという条件より、この面内で囲まれた領域が状態 空間となる(r≤1−p−q, r≤1 +p+q, r≥ −1−p+q, r≥ −1 +p−q)今 の場合、(p, q, r) = (1,1,−1),(1,−1,1),(−1,1,1),(−1,−1,−1)が頂点である から、これは正四面体である。部分転置を行ったときの行列は、
ρ= 1 4
⎛
⎜⎜
⎜⎜
⎝
1 +r 0 0 p+q
0 1−r p−q 0 0 p−q 1−r 0 p+q 0 0 1 +r
⎞
⎟⎟
⎟⎟
⎠ (151)
であり、この固有値は、
1
4(1 +p−q−r) 1
4(1−p+q−r) 1
4(1−p−q+r) 1
4(1 +p+q+r) (152)
となる。これが正であるという条件より、r≤1−p+q, r≤1 +p−q, r≥
−1 +p+q, r≥ −1−p−qではさまれた領域が分離可能状態(セパラブル状 態)となる。これを図示すれば、正四面体の中に正八面体が描ける。よって、
図12が描けることになる。
B ファイバーに沿ったときの状態の変化の証明
今、a3+に沿った状態の変化だけを考える。他のファイバーに沿ったとき も同様の計算をすればよい。状態は、
ρ= 1
4(1 +a3+(1⊗σ3+σ3⊗1) +pσ1⊗σ1+qσ2⊗σ2+rσ3⊗σ3) (153) である。この行列表示は、
ρ= 1 4
⎛
⎜⎜
⎜⎜
⎝
1 +a+r 0 0 p−q
0 1−r p+q 0
0 p+q 1−r 0
p−q 0 0 1−a+r
⎞
⎟⎟
⎟⎟
⎠ (154)
となり、その固有値は、
1
4(1−p−q−r) 1
4(1 +p+q−r) 1
4(1−
a23++ (p−q)2+r) 1
4(1 +
a23++ (p−q)2+r) (155) となる。これらが正であるという条件より、r≤1−p−q, r≤1 +p+q, r≥
−1 +
a23++ (p−q)2, r≥ −1−
a23++ (p−q)2が導かれる。ここで最後 の不等式は常に満たされるので無視してよい。これらの条件によって、図??
が描かれる。ここで正四面体の屋根の部分は条件が変わっていないことに注 意する。次にこの状態の部分転置を行ってやったときの行列は、
ρ= 1 4
⎛
⎜⎜
⎜⎜
⎝
1 +a+r 0 0 p+q
0 1−r p−q 0
0 p−q 1−r 0
p+q 0 0 1−a+r
⎞
⎟⎟
⎟⎟
⎠ (156)
となる。この固有値は、
1
4(1 +p−q−r) 1
4(1−p+q−r) 1
4(1−
a23++ (p+q)2+r) 1
4(1 +
a23++ (p+q)2+r) (157) となり、固有値が正であるような領域、つまり分離可能状態は、r≤1 +p− q, r≤1−p+q, r≥ −1 +
a23++ (p+q)2, r ≥1 +
a23++ (p+q)2 では
さまれる領域になる。これを図示したものが、図14である。ここでも正八面 体の屋根の部分は変わっていない。正八面体の下部が曲がり、上昇するので ある。
参考文献
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