バックホウによる暗きょ溝掘削において、従来のバケットに比べ幅の狭いスリム型バケット を使用すると、投入する疎水材の量が低減できることなどから、暗きょ施工の低コスト化を図る ことが可能である。ここでは同一の試験ほ場内で施工した「スリム型バケットによる暗きょ」と
「従来型バケットによる暗きょ」の比較試験結果を示す。
(1)暗きょ掘削断面
(2)スリム型バケットで掘削した暗きょの排水機能の比較
表16-(2)-1 暗きょ排水量結果総括表
暗きょ排水量
ほ場 暗渠タイプ 観測期間 降雨量(mm) 総排水量
(mm)
日最大排水量 (mm/d)
時間最大排水量 (mm/h)
No.1 トレンチャーA 12.69 3.03 0.27
No.1 トレンチャーB 7.43 2.86 0.42
No.2 スリム型バケット 9.62 2.14 0.15
No.2 従来型バケット
11/26~12/5 77
7.64 1.44 0.22
No.1 トレンチャーA 6.99 1.47 0.08
No.1 トレンチャーB 1.79 1.33 0.15
No.2 スリム型バケット 7.23 2.65 0.23
No.2 従来型バケット
12/6~12/12 30
5.78 1.81 0.22
ほ場条件 暗きょ形状
No. 作付け 面積(㎡) 暗きょタイプ 深さ(cm) 疎水材
No.1 水田(収穫後) 1,300 トレンチャーA 抜根チップ粗・細
No.2 草地 1,300 トレンチャーB 抜根チップ粗
スリム型バケット チップ・モミガラ
従来型バケット
80
トレンチャー 従来型バケット スリム型バケット
0.15
0.80 0.150.400.25
0.20 0.42
0.20 0.26
0.24 0.23
1:0.136
0.31 0.34 0.15
0.15
0.15
図16-(1)-1 タイプ別掘削断面 表16-(1)-1 タイプ別資材数量
トレンチャー
タイプ A B
従来型 バケット
スリム型 バケット 断面積(m2) 0.111 0.239 0.175
カラマツチップ゚
(抜根チップ) (5.1) 9.3 7.7
モミガラ
(抜根チップ) (2.3)
(7.4)
4.9 3.5
100m当り 必要資材量
(m3)
埋戻土 3.8 9.5 6.3
※断面積には、管断面積0.009(m2)を除く。
28
13 2
16 10
2 1 4 1
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
11/26 11/27 11/28 11/29 11/30 12/1 12/2 12/3 12/4 12/5
排水量(m3)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
雨量(mm)
雨量 富良野観測所 (mm) タイプ トレンチャーA タイプ トレンチャーB タイプ スリム型バックホウ タイプ バックホウ
図16-(2)-1 暗きょタイプ別排水量グラフ
1
7 9
3 7 2 1
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
12/6 12/7 12/8 12/9 12/10 12/11 12/12
排水量(m3)
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
雨量(mm)
雨量 富良野観測所 (mm) NO.1 トレンチャーA NO.2 トレンチャーB NO.3 スリム型バックホウ NO.4 バックホウ
図16-(2)-2 暗きょタイプ別排水量グラフ
(3)まとめ
観測期間内に測定された 2 回の降雨に対するスリム型暗きょの排水量は、バックホウ掘削の タイプに比べ概ね大きく、従来型と同等の排水能力を有しているものと判断される。
- 157 -
17. 土地利用形態等における暗きょ排水 掘削機種の使用実態
【アンケート調査の目的】
北海道で行われている暗きょ排水工事における掘削機種の使用実態を把握し、今後掘削機種を 選定するに当たり判断材料の一つとする。(調査年度:平成21年度、調査件数:1,293件)
【アンケート調査の結果と考察】
1 評価方法
アンケート調査の結果、地域、発注件数、土地利用形態等により実績件数にバラツキが大きい ため件数のみではなく件数割合についても評価に加味し5段階の総合評価を行った。
2 結果と考察
掘削機種の使用実態を土地利用形態(水田・汎用田、畑地、草地)で分類し、施工条件(配線 方式、配線間隔、土質、管種、管径、実切深、底幅、疎水材、布設勾配)ごとの使用頻度を抽出 し総合評価により判定した結果、掘削機種選定には、土質、実切深、管布設勾配が関係している ことが導き出された。
(1)土質条件
・土中にレキ質土、玉石混じり土、埋木等の障害物がある場合は、バックホウ(スリム型・
従来型)が望ましい。
・砂質土等で崩れやすい場合は、掘削断面の保持のため最小限度の勾配を設けたバックホウ
(従来型)が望ましい。
・泥炭土で掘削中・掘削直後に断面維持が困難な場合は、掘削断面の保持のため最小限度の 勾配を設けたバックホウ(スリム型・従来型)が望ましい。
(2)実切深
・掘削深度の変化が大きいほ場、または掘削深度が1.2m以上の条件では、トレンチャーや バックホウ(スリム型)による掘削が困難であるため、バックホウ(従来型)が望ましい。
(3)管布設勾配
・畑地、草地などで急傾斜地を含む場合は、トレンチャーの使用は不向きと判断されること からバックホウ(スリム型・従来型)が望ましい。
以上より、暗きょ排水の掘削機種は経済的に有利なトレンチャーの使用を基本としたなかで、
今回のアンケート結果を考慮し、また個々の圃場条件(受益者聞き取り、前歴事業での機種、試 掘調査)や機械調達の可否などを総合的に判断し掘削機種を選定することが望ましい。
単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型
くし型 176 38 50 53 56 12 16 17 ◎ △ ○ ○
フォーク型 56 49 48 28 31 27 27 15 ○ ○ ○ △
樹状型 0 0 1 7 0 0 13 88 - - △ ○
直抜き型 21 6 31 55 19 5 27 49 △ △ ○ ○
砂質土 1 2 1 47 2 4 2 92 △ △ △ ○
粘性土 179 23 99 26 55 7 30 8 ◎ △ ○ △
レキ質土 11 0 0 29 28 0 0 73 △ - - ○
転石混じり土 4 1 2 8 27 7 13 53 △ △ △ ○
泥炭土 72 67 26 29 37 35 13 15 ○ ○ △ △
その他 0 0 0 5 0 0 0 100 - - - ○
100cm以下 256 93 126 134 42 15 21 22 ○ ○ ○ ○
100~120cm未満 35 35 34 38 25 25 24 27 ○ ○ ○ ○
120cm以上 2 10 10 11 6 30 30 33 △ ○ ○ ○
1/15~1/50 0 0 0 0 -
-1/51~1/100 0 0 0 0 -
-1/101~1/300 0 0 0 0 -
-1/301~1/485 1 0 33 0 △
-1/485~1/600 53 17 40 13 ○ △
1/601~1/800 0 0 0 0 -
-A B 総合評価
5 100≦評価件数 5 50 ≦ 評価割合(%)
4 50 ≦評価件数< 100 4 30 ≦ 評価件数 < 50 A + B ◎ = 5
3 30 ≦評価件数< 50 3 20 ≦ 評価件数 < 30 2 ○ = 4 or 3
2 10 ≦評価件数< 30 2 10 ≦ 評価件数 < 20 △ = 2 or 1
1 評価件数< 10 1 評価件数 < 10
*管布設勾配についてはデータ件数が他項目の半分以下のため評価条件を低減している。
○
0 0
-0 0
-2 67 ○
管 布 設 勾 配
0 0
0 0
63 47
実 切 深 土 質 配 線 形 式
「畑地」土地利用形態における各条件毎の掘削機種の割合
単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型
くし型 1 0 13 30 2 0 30 68 △ - ○ ◎
フォーク型 0 0 6 7 0 0 46 54 - - ○ ○
樹状型 1 0 56 164 0 0 25 74 △ - ○ ◎
直抜き型 3 3 7 28 7 7 17 68 △ △ △ ○
砂質土 0 0 2 49 0 0 4 96 - - △ ◎
粘性土 5 7 75 124 2 3 36 59 △ △ ○ ◎
レキ質土 0 1 1 15 0 6 6 88 - △ △ ○
転石混じり土 0 0 1 4 0 0 20 80 - - △ ○
泥炭土 0 2 2 35 0 5 5 90 - △ △ ◎
その他 0 0 0 2 0 0 0 100 - - - ○
100cm以下 5 3 81 228 2 1 26 72 △ △ ○ ◎
100~120cm未満 0 3 19 75 0 3 20 77 - △ △ ◎
120cm以上 0 3 7 36 0 7 15 78 - △ △ ◎
1/15~1/50 1 7 13 88 △ ○
1/51~1/100 0 9 0 100 - ○
1/101~1/300 3 9 25 75 △ ○
1/301~1/485 3 2 60 40 ○ ○
1/485~1/600 5 19 19 73 △ ◎
1/601~1/800 0 0 0 0 -
-A B 総合評価
5 30 ≦評価件数 5 50 ≦評価割合(%)
4 20 ≦評価件数< 30 4 30 ≦評価件数< 50 A + B ◎ = 5
3 10 ≦評価件数< 20 3 20 ≦評価件数< 30 2 ○ = 4 or 3
2 4 ≦評価件数 < 10 2 10 ≦評価件数< 20 △ = 2 or 1
1 評価件数< 4 1 評価件数< 10
*管布設勾配についてはデータ件数が他項目の半分以下のため評価条件を低減している。
総合評価 バックホウ バックホウ トレンチャ
実 切 深
トレンチャ バックホウ
土 質
アンケート結果(%)
配 線 形 式
アンケート結果(件数)
トレンチャ
管 布 設 勾 配
-△ -0
8 0
0 0 2 0
0 0
0 0 0
「草地」土地利用形態における各条件毎の掘削機種の割合
単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型 単独 バックホウ併用 スリム型 従来型
くし型 1 0 5 19 4 0 20 76 △ - △ ○
フォーク型 1 0 2 0 33 0 67 0 △ - ○
-樹状型 1 0 7 11 5 0 37 58 △ - ○ ○
直抜き型 1 0 12 8 5 0 57 38 △ - ○ ○
砂質土 0 0 5 12 0 0 29 71 - - △ ○
粘性土 4 0 7 16 15 0 26 59 △ - △ ○
レキ質土 0 0 0 4 0 0 0 100 - - - ○
転石混じり土 0 0 0 0 0 0 0 0 - - -
-泥炭土 0 0 13 5 0 0 72 28 - - ○ △
その他 0 0 0 0 0 0 0 0 - - -
-100cm以下 4 0 25 37 6 0 38 56 △ - ○ ◎
100~120cm未満 0 0 7 5 0 0 58 42 - - ○ ○
120cm以上 0 0 5 4 0 0 56 44 - - ○ ○
1/15~1/50 4 4 50 50 ○ ○
1/51~1/100 1 2 33 67 △ ○
1/101~1/300 0 5 0 100 - ○
1/301~1/485 2 0 67 0 ○
-1/485~1/600 3 3 50 50 ○ ○
1/601~1/800 0 1 0 100 - ○
A B 総合評価
5 30 ≦評価件数 5 50 ≦評価割合(%)
4 20 ≦評価件数< 30 4 30 ≦評価件数< 50 A + B ◎ = 5
3 10 ≦評価件数< 20 3 20 ≦評価件数< 30 2 ○ = 4 or 3
2 4 ≦評価件数 < 10 2 10 ≦評価件数< 20 △ = 2 or 1
トレンチャ バックホウ トレンチャ バックホウ
総合評価 アンケート結果(%)
アンケート結果(件数)
配 線 形 式
トレンチャ バックホウ
土 質
実 切 深
-管
-布 設 勾 配
-1 △
-0
0 0
33 0 0 0
0
0 0
0
- 159 -