シミュレーションの結果から必要な情報を取り出し、オペアンプがどの程 度優れているか評価する。オペアンプには多くのトレードオフが存在するた め、1つの評価項目を改善すると、その他の特性が悪いという回路ができて しまう可能性がある。これを防ぐため各項目のシミュレーション結果を以下 の式に代入して評価値を計算する。
E = s
t (3.20)
E = 1 + log10
(s t
)
(3.21)
E = 1 (3.22)
ここで、Eは評価値、sはシミュレーション結果、tは目標値である。直流利得 のように目標値以上を目指す項目に対しては、目標値に達しなければ(3.20)
式に、達したら(3.21)式にシミュレーション結果を代入する。(3.21)式で は、対数関数的に増加するため、(3.20)式に比べて評価値の上昇を抑えられ る。そのため、1つの設計仕様だけ良くなり続け、その他の特性が悪いまま となることを防げる。平成24年演算増幅器コンテストの評価式に関わらな い項目(利得余裕)は(3.22)式のように最大評価値を1と固定する。また、
消費電流のように目標値以下を目指す項目に対しては、シミュレーション結 果を以下の式に代入する。
E = t
s (3.23)
E = 1 + log10
(t s
)
(3.24)
よって良い性能の出やすさが異なる。特にスルーレートに関しては、図3.21 のように入力が立ち上がっても出力が十分に立ち上がらない場合や、図3.22 のように出力が2度立ち上がる場合など、良い特性が出にくい。そのため、
まずスルーレートの評価を行う。出力電圧の最大と最小の差が電源電圧の5 割未満の場合、出力が十分に立ち上がらないと判断する。この場合、下記の 式のようにスルーレートの評価値を小さくする。
ESR =ESR× Vmax−Vmin
P V ×0.7 (3.25)
ここでESRはスルーレートの評価値、VmaxとVminはそれぞれ出力電圧の最 大最小、P V は電源電圧の大きさである。また、図??のように出力が2度立 ち上がっているかチェックする。ここで、2度立ち上がっている点をエラー点 と呼ぶことにする。チェックするのは出力が1,2,,,99%立ち上がった電圧で計 99点である。もし、この内15点以上エラー点がある場合、下記の式のよう にスルーレートの評価値を小さくする。
ESR = ESR
ErrorSR (3.26)
ここでESRはスルーレートの評価値、ErrorSRはエラー点の数である。出力 が電源電圧の5割以上立ち上がっていて、かつエラー点の数が15点未満の場 合、他の項目の評価をするが、そうでない場合は他の項目は最低評価値にす る。このような評価にすることで、他の項目よりもスルーレートを優先でき る。また、評価項目全ての評価値の積を遺伝的アルゴリズムで用いる適応度 とする。評価値が大きくなるほどそれに伴って適応度は大きくなる。また、
遺伝的アルゴリズムは図3.23のように最適解の前に局所解を見つけると、そ こに収束してしまい最適解を見つけられない可能性がある。これを防ぐため 評価値の重み付けを行う。まず、この状態に陥ったと判断する必要がある。
この判断基準は最大適応度が5世代の変わらなかった場合とした。この場合、
次世代から評価値が最も小さいものを2乗するという重み付けを行う。これ によって、1つの評価項目が圧倒的悪い特性という回路が次世代に残りにく くなり、弱点のない回路が残りやすくなる。
V
t V
outV
inFigure 3.21:悪い特性のスルーレートの例1
V
t V
outV
inlocal maximum
maximum
Figure 3.23:局所解