第 6 章 UHF 帯電子タグを用いた来場者動線記録システムに関する考察 35
6.3 システム設計
りやすいといった問題や、タグが金属や水分の近くにある場合、電波の伝搬損失が著 しいといった問題が発生する。
電波法への対応
UHF帯は現在日本だと携帯電話や心臓ペースメーカの周波数に割り当てられている 帯域である。またアンテナからの電波出力による、人体への影響も危惧されている。そ のような事情から現在UHF帯のRFID技術での利用には、関連する法律に準拠した形 で運用する必要がある。
6.3.2 装置の基本性能
会場での実際の利用に先立ち、様々な性能評価実験を行い評価を測った。本節では、
実際に利用したRFID装置の性能に関しての考察を述べる。
装置の選定に関して
ORF2005では、UHF帯リーダとRFIDタグセットとして富士通フロンテック社製
の製品を利用することとなった。使用する装置の要求事項として以下の3項目があっ たのだが、これらの要件を一番満たしていたのが同社の製品であり、採用することと なった。
• 標準技術を用いていること。
• 2005年第3四半期には入手可能であること。
• リーダは総務省が定めるUHF帯RFIDに対する技術適正基準を満足すること。
リーダに関しては、事前の選択候補として富士通フロンテック社、デンソーウェー ブ社、パナソニック社、三菱電機社、マイティカード社、東レインターナショナル社 の装置が候補に挙がったが、富士通フロンテック社のものが、上記3項目を一番満た していた。
タグの選定に関しては、リーダとのプロトコル整合が確認済みであるものが望まし く、リーダメーカの推奨するタグとして、同社製のタグ採用となった。
電波伝搬損失の特性計測
まず富士通フロンティア製リーダに関する電波伝搬損失特性を計測した。計測内容 として、屋内環境(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスゼータ館)において、リーダから 電波を放射した際の距離と損失の関係を実測した。
以下2つのモデル図6.2とデータグラフ6.3は、測定環境の概略図と、屋内環境とい う電波伝搬のマルチパスの多い環境下での実測値を示している。。
まず図6.2での設定パラメータに関してだが、まずリーダの出力値は27dBm、それ に対してのアンテナ利得は8dBi (メーカヒアリング値)であるためEIRP=35dBmであ り、測定値および解析値はアッテーネータ20dB、4.65dB(水平偏波)、4.76dB(垂直偏 波)のケーブル損が発生しているものとする。またアンテナは右旋回の円偏波である。
解析値では、H、V偏波のEIRPを32dBmに等分して表している。ただし測定に利用 したアンテナはカタログ上で円偏波となっているが、実際の照射電力値では水平成分 と垂直成分が異なり楕円偏波となっていることが分かった。
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図 6.2: 測定環境イメージ
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図 6.3: 伝搬強度測定値
HFタグとの相互干渉について
今回ORF2005ではRFIDインフラを用いた実験がもうひとつ並行して行われ、そち
らではHFタグを利用した。来場者にはHFタグも一緒にホルダーに入れてもらう形と なった。今回のUHF帯RFIDタグは、図??に示すように、名詞サイズのPETタグを 利用した。そのタグの裏側にHF帯RFIDタグを張り付ける形となった。
このとき、UHFのタグアンテナと、13.56MHzのタグアンテナが相互に干渉しあうこ とがないようにしなければならない。そのためORF2005では、事前の検討段階でPET 型のUHFタグ上にHFタグを取り付け、干渉しないようにする工夫を行った。UHFタ グの図6.5の位置に、HFタグを取り付けて読み取り距離を3mから10cm刻みで測定 してみた。
図 6.4: PETタグ(UHFタグ)とHFタグの貼り付け図
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図 6.5: UHFタグへのHFタグ貼り付け位置
読取の測定結果をTable 6.1に示す。タグ4において位置1、5で読み取り可能距離 が若干短くなったことを除けば、ほとんど影響はないことが分かる。逆にHFタグの 読み取りを測定した結果も、単独と差異は認められなかった。
もともと、HFタグのアンテナは13.56MHzであり、UHFタグと共振点が大幅に異 なるうえ、HF帯タグのアンテナ部が比較的小さく、反射したや受動素子としても影響 が現れなかったと考えられる。
表 6.1: HF tag interaction
Tag number 1 2 3 4 5 6 no HF tag 1 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 2 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 4 3.5 3.1 3.5 3.5 3.1 3.5 3.5
場所による読み取りの差異も認められなかったが、HFが接触方であるためカードの 中心にタグが配置してあるほうがユーザにとってわかりやすいと考え、場所としては 2を選択した(図6.5)。