第 6 章 評価 31
6.5 考察
今回のシステムについて,高等学校の数学科の教員3名に評価してもらった.最初にシス テムの狙いについて説明した後,全員に実際に操作してもらった.1人パソコンが得意でな いという教員もいたが,問題なく操作できた.
6.5 考察
(1) について,このようなアンケート結果になった原因として考えられるのは,問題解決 モデルとしては,一般的方略と具体的方略の両方提示することで漸進的に一般的方略の定着 を目指していたが,実際に完成したシステムでは具体的方略の提示ができなかったので,ヒ ントとして考えた場合,方略は抽象的と受け取られたと考えられる.また,「ある程度役に立 つ」と「ほとんど役に立たない」の両方にチェックしていた 1人については,どちらとも言 えないという意見か,有効,無効の両面を感じたという意見かと考えられる.
(2) については,上に述べたこととも関連して,ヒントとしては抽象的であるが,一般的 な方略の定着に関してはある程度有効と受け取られたと考える.
(3) については,ある程度有効と受け取られたと考えられるが,システム改善の必要性を 示唆しているとも考えられる.
また,自由記述や聞き取りで得られた意見から分かることは,システムの有効性がある程 度認められているということである.
その他,アンケート協力者のシステムの操作を見ていて感じたことは,今回作成したシス テムでは,解答の入力に必要となる用語などを,テンプレートの形で準備し,それらをマウ スでクリックすることで解答を完成していく形式にしたので,キーボードに慣れている人間 にとっては,かえってもどかしく感じたのかも知れない,ということである.また,インタ フェースに関する部分で,数行入力が終わった後で,最初の方の入力ミスに気付いた場合,
ほとんどを打ち直す必要が有った点も改善の余地が有ると考える.
第 7 章
結論
本研究では,数学の問題解決において重要な役割を果たすメタ認知に着目し,メタ認知能 力の向上を実現する学習支援システムの開発を目的とした.まずメタ認知と関係の深い問題 解決方略の構造を分析して体系化した.
次に,この問題解決方略とメタ認知の関係を考察し,問題解決のモデルを提案した.最後 に,このモデルに基づき高等学校数学の2次関数を対象領域として,体系化した問題解決方 略からヒントを生成する試作システムと,その評価ついて述べた.
評価から分かることは,問題解決方略をヒントとして生徒自らが試行錯誤しながら問題解 決を図る、という方法についてはその有効性を認める意見が多かった.また,通常の方法で は問題解決能力が捗々しく向上していない生徒の中に,このシステムが大いに効果を発揮す る集団が存在する可能性も示唆された.システムのインタフェースに関しては,改善の余地 が認められた.
本研究で試みた問題解決方略の体系化は,教師が授業の指導案を作成するときの参考資料 や,生徒が自力で問題解決を図るようなeラーニングコンテンツのヒント生成などにも活用 できると考える.
謝辞
本研究の全てにおいて,多大なるご指導を賜りました高知工科大学情報 システム工学科 の妻鳥 貴彦 講師に心より感謝致します.
本論文及び本研究において,数々の有益なご助言を賜りました高知工科大学情報システム 工学科 篠森 敬三 教授,福本 昌弘 准教授に厚くお礼申し上げます.
本研究を進める上で,貴重なご助言,ご協力をいただきました高知工科大学情報 システ ム工学科 修士2回生の木下聡氏,高木翔平氏,修士1回生の寒川剛志氏,大黒隆弘氏,学 部4回生の大岩和也氏,加集広希氏,藤山翔太氏,橋田味加子氏,畠山博和氏,福田将行 氏,藤原健太郎氏,山崎雄大氏,学部3回生の池田真美氏,清水雅也氏,竹内雄人氏,浜田 洋氏,別府瞳氏,森拓也氏に心より感謝申し上げます.