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システムの導入に向けて

ドキュメント内 漁港水産物情報システム調査研究 [2019年度] (ページ 78-83)

情報システムについては、そのオープン化、ウェブ化によりその信頼性・セキュリティ・

効率性・リスクマネージメントの向上が必要とされている。また、情報システムの構築だけ でなく、保守・運用まで含めたライフサイクルのマネージメントが必要とされている。これ らの課題の解決には、個々の情報システム取引における発注者(または委託者、ユーザー)

と受注者(または受託者、ベンダー)が一体となった取組が必要である。特に、役割分担・

責任分担については契約・文書等で明確に合意することが重要である。具体的には、契約・

文書等を活用しては発注者・受注者間の取引の可視化を推進することで、情報システムの信 頼性・セキュリティ・効率性・リスクマネージメントを向上させることである。

ここでは、漁港水産物情報化システムの導入の流れについて、「情報システムの信頼性向 上のための取引慣行・契約に関する研究会~情報システム・モデル取引・契約書~)<第一 版>」(経済産業省商務情報政策局)を参考(図4.1)に概説することとする。

(システム導入の手順)

1)現状の把握と課題の特定

2)システム化の方向とシステム化計画 3)要件定義

4)システム設計

5)環境構築~プログラミング~テスト 6)運用

7)維持管理・更新~保守 8)システムの評価

図4.1 信頼性向上・取引可視化のための「モデル取引・契約書」の全体像

(一部改変)

75 (1)現状の把握と課題の特定

漁港・市場の電子化にあたって、当該市場取引業務等を把握し、これを可視化することに よってその課題を抽出する。また、一部業務で導入しているシステムがあればその効果につ いても把握するとともに、先進地域の事例なども参考とするのがよい。

漁港・市場の電子化において関係者を把握する。関係者としては、市場職員の他、買受人、

生船主(荷主)、問屋、運送(輸送)業者、製氷会社他資機材関係会社、地方自治体(漁港 の管理者、市場の整備事業者・所有者)、研究機関・団体(水揚げ統計、市況、TAC 管理な ど)などが想定される。

(2)システム化の方向とシステム化計画

ⅰ.システム化の方向

前項において抽出された課題を解決するためのシステム化の方向を定め、基本シス テムやサブシステムについて、その効果や予算、受入体制などを勘案し、全体および年 度ごとの導入スケジュールを作成する。併せて、必要となる機能、監視、バックアップ、

非機能(データ量、通信速度、ユーザー数稼動率、保守体制等)の各要件について整理 し、システムの要件を定義する。また契約形態についても検討12)を行う。

ⅱ.システム化計画書

作成・整理した内容を仕様書としてまとめ、業者に提案依頼および見積依頼(機器見 積(簡易構成図)、作業見積、プロジェクト管理見積、保守見積)を実施し、システム 会社を決定する。システム導入・構築の契約に当たっては、契約における重要事項およ び発注者と受注者の間での役割分担・責任関係の明確化を行う。

契約後、受注者はシステム化計画書(作業方針、作業内容・作業方法、スケジュール、

作業体制および管理、事業管理手法、品質管理手法、リスク管理手法)を作成し提出す る。

(3)要件定義

発注者と受注者は要件定義について、機能要件、関係者の役割と権限、監視要件、バッ クアップ要件、非機能要件(規模性能要件・信頼性要件・拡張性要件・事業継続性要件)

について、その内容を確認・整理する。

(4)システム設計

システムの設計は、以下の手順により実施する。

ⅰ.基本設計

要件定義に基づき、システム運用のために必要な技術的課題を検討し、実現可能な方 策を業務の効率化・効果を考慮し決定する。基本設計での成果物として、基本設計書と テスト計画書を作成する。

基本設計書には、信頼性や可用性などの非機能要件を含めて、サービスレベル定義の 分析方法と、効果目標や要求事項達成、安定した運用、異常時の業務継続への適応を確 保できるようなサービスレベル基準、サービスレベル管理の方法を定め、記載する。

12) 経済産業省『情報システム・モデル取引・契約書(第一版)』、『情報システム・モデル取引・契約書 (追補

版)』を参照のこと。

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ⅱ.詳細設計

基本設計に基づき詳細設計を実施する。詳細設計の成果物として、詳細設計書を作成 する。

詳細設計書には、セキュリティ対策について記載 13)する。また、詳細設計では画面 インタフェース設計を行う。インタフェース設計においては、ISO/IEC 2506X(人間中 心設計の国際規格)に記載されたユーザビリティ向上に関する情報やユーザビリティ の評価法を参照し、認知性と作業効率の向上についての検討を充分に行うこととする。

また、アクセシビリティについては一般的な日本語表示による操作を基本とするが、他 言語対応、音声サポート等の対応についてはシステム要件としてあらかじめ確認事項 とするのがよい。

ⅲ.品質管理

設計・開発においては、品質・信頼性の確保に主眼をおき、インスペクション(成果 物に入り込む欠陥の早期発見と除去)等適切なレビュー手法を採用することとし、品質 計画を策定・実施する。品質管理の成果物として、品質計画書と品質管理報告書を作成 する。

(5)環境構築~プログラミング~テスト

システムの設計に基づき、以下の手順により環境構築、プログラミング、テストを実施す る。

ⅰ.環境構築(機器調達、設置)

実環境への機器設置、各種設定、動作検証においては、発注者側システム管理者また はシステム保守業者と充分な協議、調整、指示の下、準備・作業を実施する。なお、実 環境を必要としない作業(設計、構築、単体・結合テスト等)については受注者が用意 した場所にて実施する。

ⅱ.ソフトウェア設計等

ソフトウェア設計、プログラミング、そしてソフトウェアテストの一連のソフトウェ ア開発を実施する。

ⅲ.テスト

要件、仕様について、システムが正しく動作し、充分な性能・品質が確保されている ことを確認する。システム試験環境(システムテストデータを含む)は、システム開発 受注者にて用意する。このとき、システム試験に本番環境機器の使用可否については発 注者との協議にて決定する。実環境でのシステム総合テストにおいては、発注者側シス テム管理者またはシステム保守業者と充分な協議、調整、指示の下、準備・作業を実施 する。

(6)運用

システムの運用開始前に、システムユーザーおよびシステム管理者へのシステム運用支 援を実施する。

13) (独)情報処理推進機構「安全なウェブサイトの作り方」、「SSL/TLS暗号設定ガイドライン」、「Web

Application Firewall 読本」、「『高度標的型攻撃』対策に向けたシステム設計ガイド」、「組織における内部不正 防止ガイドライン」、「セキュア・プログラミング講座」を参照のこと。

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ⅰ.システムユーザー

システムに対するユーザーの立場ごとに、システムの研修計画を策定し、研修を実施 する。具体的には次のとおりである。

a.研修で使用するシステム稼動環境及び機能を提供する。システム本環境の利用可 否については発注者と協議の上、決定する。

b.研修で使用するテキスト等の作成や、必要となる準備作業(研修用機器の設定、

研修用のデータ作成等)を実施する。

c.研修では、システム化の経緯、システムの概要から具体的な操作等の詳細に至る まで全般的な説明を実施する。また、研修時の質疑応答の他、研修終了後アンケー ト等を行い、システムに関する説明・理解が充分であるかを確認することが望まし い。

ⅱ.システム管理者

システム管理者には、運用・管理に必要なツール、手順書等を作成し提供するととも に、運用管理事業者の質問等に対して、技術支援に応じること。

その他運用に必要な成果物として、ユーザーマニュアル(システムでのユーザー立場 別)、管理者マニュアル、ユーザー研修テキスト、管理者研修テキスト、監視対応手順 書、障害対応手順書を作成する(詳細は協議にて決定する)。

ⅲ.その他

作業状況・進捗については月次報告を基本とし、必要に応じて随時実施する。瑕疵担 保責任については、契約に基づいて実施する(1年以内にシステムを正常使用での不具 合が発見された場合においては、受注者の負担において迅速な修正、修理を行う等)。

また開発完了後の成果物として、ソースコード一式、実行プログラム一式、初期データ 一式、設定ファイル一式を納入する。

(7)維持管理・更新~保守

システムの稼働を維持管理・更新するために検討が必要な項目は以下のとおりである。

ⅰ.システムの維持管理 a.システムの冗長化 b.サーバー監視 c.セキュリティ対策 d.バックアップ e.点検実施 f.障害対応 g.システム改善

ⅱ.システムの更新

a.ドメイン/サーバー証明書管理(更新)

b.システム更新(機能更新または不具合修正)方法 c.マスターデータ(基本情報)の更新

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