3.6 数値解による検証
3.6.2 サーマルクエット流れ
ロットした. 多成分拡張法で用いた2D9Vモデルは有限差分法による結果と良く一 致していることが確認できた. 密度に関しては二成分モデルは一成分モデルと同 じ結果が得られることが確認された. また, 二成分の存在比については常に計算領 域全体で1:1となることが確認できた. 尚,定常状態に達するまでの一成分モデル と二成分モデルの結果は一致していることから,多成分拡張法は非定常流れを正 しく扱えることが確認できた.以上より多成分拡張法は非熱流体において有用で あると結論付けられる.
e0 = (0,0)
e1i =³cos³iπ2´,sin³iπ2´´
e2i =√
2³cos³iπ2 + π4´,sin³iπ2 − π4´´
e3i = 2³cos³iπ2´,sin³iπ2´´
e4i = 2√
2³cos³iπ2 +π4´,sin³iπ2 −π4´´
e5i = 3³cos³iπ2´,sin³iπ2´´
(i= 1,2,3,4)
(3.57)
また, 2D21Vモデルにおける平衡分布は式(3.58)より求められる.
neqσi(r, t) = Mσρ(r, t)
1 + (eσiε(r,t)·u(r,t))+ (eσi2ε·u(r,t))2(r,t) 2
−u2ε(r,t)2(r,t)+ (eσi6ε·u(r,t))3(r,t) 3
−(eσi·u(r,t))(u(r,t)·u(r,t)) 2ε2(r,t)
(3.58)
(但し, ρ(r, t) = 0の時neqσi(r, t) = 0とする)
ここで, Mσは仮想粒子の速さ毎のパラメータである. また, 2D21Vモデルにお いて動粘性係数νは
ν =
µ
τ− 1 2
¶
E∆t (3.59)
式(3.59)となる. ここで, Eは流れ場の代表内部エネルギーを表す. 3.6.1節と同 様に混合流体の動粘性係数は式(3.59)で表される. 熱伝導係数kについては以下 の式となる.
k = 2RρE∆t
µ
τ − 1 2
¶
(3.60) ここで, Rは気体定数, ρは流れ場の密度を表す. 動粘性係数と同様に混合流体 における熱伝導係数も式(3.60)に従う. また,相互拡散係数Dは3.6.1節と同様に 自己拡散係数8となるので式(3.61)となる.
D =
µ
τ − 1 2
¶
E∆t (3.61)
8自己拡散係数Dは, LBモデルや計算条件に依存しており,密度ρ, 内部エネルギー(温度)εと 単一緩和係数τに比例する. 一般的に密度が大きくなる程Dは小さな値となり,内部エネルギ ーおよび単一緩和係数が大きくなる程Dは大きな値となる.
次に, 二成分の相互作用を考慮した平衡分布を求める. まず, 二成分の総和によ る局所物理量を式(3.6),(3.7),(3.8)より求める. ここで得られた局所物理量を用い て式(3.58)から二成分総和の平衡分布を求め, 式(3.10),(3.11)を用いて二成分の相 互作用を考慮した各成分の平衡分布を算出する. 以上により一成分熱流体2D21V モデルを二成分熱流体2D21Vモデルに拡張することができた.
尚, 二成分流体のシュミット数Scは式(3.62)となる. 尚,Er, Ebはそれぞれ成分 r, bの代表内部エネルギーを表す.
Sc = Er(2τr−1)
Eb(2τb−1) (3.62)
この拡張二成分2D21Vモデル及び一成分2D21Vモデルを用いて解析を行う. 次 に,解析条件を図3.5に示す. 格子点数は126×126,上壁を加熱移動壁,下壁を冷却 固定壁, 左右を周期境界とした. 境界における粒子反射条件として, 移動壁では滑 りあり条件, 固定壁では滑りなし条件を与えた. また, 境界上の格子点には巨視的 な物理量をディリクレ条件として与えた. その他の解析条件は表3.2のように置い
Fixed wall(T=0.48) Moving wall(T=0.52)
U
Periodic Periodic
[0,0]
[0,125]
[125,0]
y
x
図 3.5: Problem specification of thermal Couette flow
た. また,定積比熱Cv = 1とし, 局所温度T(r, t) をT(r, t) = ε(r, t)/Cv = ε(r, t) とした. 尚,各物理量は全て無次元数である. 図3.6に定常状態におけるx= 64で の水平方向の流速を示す. 図3.6の横軸はx= 64における水平方向流速,縦軸は鉛 直座標である. また, ◇は反応多成分拡張法による二成分モデルによる結果, 実線
表 3.2: Details of thermal Couette flow
1Comp (Original) 2Comp (MCEM)
Single relaxation time 1.0 r:1.0, b:1.0
Local density(Entire domain) 0.10 r:0.050, b:0.050
Moving wall(Speed) 0.30 0.30
Moving wall(Static temperature) 0.52 0.52
Fixed wall(Speed) 0.00 0.00
Fixed wall(Static temperature) 0.48 0.48
は拡張前の一成分モデルによる結果であり良い一致が見られる. 尚, 解析解[21]は 式(3.63)となる.
u(y) = 0.3y/125 (3.63)
流速に関し計算領域全体で一成分モデルと拡張二成分モデルで比較を行った結果, 同じ結果を得られることが確認できた. 次に, この時のx = 64における温度分布 を図3.7に示す. 図3.7の横軸はx = 64における温度, 縦軸は鉛直方向座標であ る. また, 図3.7の◇は二成分モデルによる結果, 実線は拡張前の一成分モデルに よる結果であり良い一致が見られる. また, +は式(3.64)の解析解[12]である. 式
(3.64)の右辺第三項は粘性散逸を表す.
T(y) = 0.04y/125 + 0.48 + 0.09y(1−y/125)/(4×125) (3.64) 温度に関し計算領域全体で一成分モデルと拡張二成分モデルで比較を行った結 果, 同じ結果を得られることが確認できた. また, 密度に関しても計算領域全体で 一成分モデルと拡張二成分モデルで比較を行った結果,同じ結果が得られた. 二成 分の存在比については計算領域全体で常に1:1となることが確認できた. 定常状態 に達するまでの一成分モデルと二成分モデルの結果が一致していることから,多 成分拡張法は非定常流れに対しても有効であると考えられる.以上より熱流体モ デルについても本拡張法は有用であると結論付けられる.
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図 3.6: Horizontal velocity at x= 64
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図 3.7: Temperature at x= 64