3. ニート
3.3. コーホート分析
ニートについては、コーホート分析を行っている先行研究が見当たらない。よって以下 で生年階級・性別・学歴別に括ったコーホートで、年齢推移とともにニート率がどう変化 していくかを見る。「ニート率」とはニート(厚生労働省定義)が15~34 歳の性別・学歴 別卒業者人口に占める割合とする。
また、ニートについても、学歴とニートになる確率に密接な関係があることは、小杉(2005) で指摘されている。下記に小杉(2005)での学歴別ニートの出現率を示す。ここでのニート出 現率は、同年代の卒業者人口に対するニート数の割合である。
表 10 学歴別ニートの出現率
中学卒 高校卒 短大・高専・専門卒 大学・大学院
卒
ニート出現率 8.8 2.6 0.9 1.3
小杉[2005]p.12 より掲載 (データ出典)『就業構造基本調査』(2002)
表 10からわかるように、学歴が低いほどニートになる確率が高くなる。また、学歴構成 についてもここで確認しておきたい。比較対象として、フリーターの学歴構成も併せて再 度示す。
表 11 ニートとフリーターの学歴別構成(厚生労働省定義)
(%)
ニート(厚生労働省定義)
男性 女性
1992 1997 2002 1992 1997 2002
中学校卒 24.6 22.5 25.7 19.9 16.6 22.2
高校卒 65.6 61.1 54.3 56.1 51.9 47.1
短大・高専卒 3.6 4.9 6.3 17.1 20.2 18.6
大学・大学院卒 6.2 11.4 13.7 6.9 11.3 12.0
フリーター(厚生労働省定義)
中学校卒 23.5 19.9 17.2 14.2 10.2 9.5
高校卒 57.5 56.0 51.6 53.6 51.9 46.3
短大・高専卒 8.3 10.3 13.4 24.5 29.1 31.0
大学・大学院卒 10.7 13.8 17.7 7.7 8.9 13.2
総務省統計局『就業構造基本調査』(1992,1997,2002)個票データより筆者作成
表 11 からわかるように、フリーターよりも更に「中学卒」の割合が高く、2002年では 男女ともにニート全体のおよそ4分の1を占める。一方で、「大学・大学院卒」や「短大・
高専卒」の学歴の割合は、フリーターよりニートが高くなっている。
以上のように、ニートに関しても学歴別に特徴が見られるため、分析には学歴も含めて 生年階級・性別・学歴別のコーホートの推移を見ていく。
図 20 生年階級・学歴別ニート率の推移(男性)
051015051015
15 20 25 30 15 20 25 30
中学校卒 高校卒
短大・高専卒 大学・大学院卒
1958-62 1963-67 1968-72
1973-77 1978-82 1983-87
(%)
age
総務省統計局「就業構造基本調査」(1992,1997,2002)個票データより筆者作成
図 21 生年階級・学歴別ニート率の推移(女性)
051015051015
15 20 25 30 15 20 25 30
中学校卒 高校卒
短大・高専卒 大学・大学院卒
1958-62 1963-67 1968-72
1973-77 1978-82 1983-87
(%)
age
総務省統計局「就業構造基本調査」(1992,1997,2002)個票データより筆者作成
図 20・図 21は、生年階級・性別・学歴別ニート率の推移を表したものである。まず言 えるのは、男女とも短大・高専卒、大学・大学院卒ではニート率が非常に低い水準で推移 しているのと比較すると、中学卒、高校卒のニート率はかなり高い。男女別に見ると、男 性では短大・高専卒と大学・大学院卒のグループはニート率はほぼ0%の付近を推移してい たが、1973 年生まれ階級以降、僅かではあるが上昇が見られる。中学卒では 1973~1977 年生まれ階級以降、同年齢時点での世代間格差は数%ずつ見られるようになり、後から生 まれた世代ほど、ニート率が高くなる傾向がある。特に15~19歳時点ではニート率は10% 前後にもなっている。高校卒では、1973~1977年・1978~1982年生まれの階級が15~19 歳のときに、ニート率が15%近くまで上がっているが、その後20~24歳時点では5%以下 に落ち着いている。また、世代間の格差はそれほど見られない。一方高校卒では、この差 は15~19歳から20~24歳へ年齢が経ていくにつれ縮まっていくが、中学卒ではあまり変 化は見られず高止まりしている。
女性でも、やはり短大・高専卒と大学・大学院卒ではニート率は0%に近く、加齢による 上昇も見られない。女性の中学卒、高校卒では、後に生まれた生年階級ほど、同年齢時点 でのニート割合が高くなる傾向がわかる。中学卒では、1973~1977年以降の生年階級では、
15~19歳から20~24歳へ移行する際にニート率に下降の傾向が見られる。