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コートジボワールのコメ生産と 水産養殖の振興に向けて

ドキュメント内 世界の農林水産 2012年夏号(通巻827号) (ページ 33-38)

ジボワールコート

アビジャン リベリア

ヤムスクロ(首都) ガーナ ギニア

ブルキナファソ マリ

去る

2

20

日から

24

日にかけて、西アフリ カのコートジボワール・アビジャンにおいて、

日本政府の任意拠出事業によりコメと水産 養殖の生産振興を目的としたワークショッ プが開催されました。その概要を紹介します。

ワークショップの目的

コートジボワールには、それぞれ政府のお

墨付きを得た

「国家コメ開発戦略」 「国家水

産養殖戦略」がありますが、大統領選後の 混乱に伴う政治不安でその実施が遅れてい ました。

 このようななか、今回のワークショップは、

幅広い関係者の参集のもと、戦略の中での 優先分野は何か、そこにどのようなプロジェ クトが必要か、ということについて議論し、

FAO

技術協力局事業調整官 鶴崎一郎

コートジボワールのコメ生産と

のプロジェクトでどこまでそれがカバーされ ているか(リソース分析)

」 「

どの部分に支援が 足りていないか

GAP

分析)

」を検討したう

えで、今後どこに焦点を当てるべきかの優 先分野を特定します。そのうえで、その優 先分野における具体的なプロジェクト案を 話し合いました。こうした分析・議論の手 法は、

CARD

(アフリカ稲作振興のための共同 体)で行われているやり方を採用させていた だいたものです。

また、この日本の任意拠出事業は「南南協 力」がひとつの大きな特徴で、フィリピンか ら来たコメの専門家、ベトナムから来た養 殖の専門家がそれぞれの分科会に加わり、

合意を得ることを目的に行われました。

ワークショップの概要

ワークショップには、コメ関係者・養殖関係 者ともに行政、民間、農家を合わせて約

30

名が参加し、

5

日間にわたって行なわれまし た。

1

日目の午前中は、開会式に続き、全体 会合で「コメ戦略」

「養殖戦略」について総

合討議を行い、午後からはコメ、養殖のそ れぞれの分科会に分かれての議論が行われ ました。

 それぞれの分科会とも、種子(種苗)、水 管理、栽培技術、機械化、マーケティング といった個々の小セクターごとに、

「戦略は

何を目指しているものか(ニーズ分析)

」 「現行

左上:ティラピアの餌。原料を調達して自前 で配合していた。左下:出荷できるサイズ

20cmくらい)になったティラピア。右:ティ ラピアの養殖池。すべてアビジャン郊外のバ ンジェビルBingervilleにて。

上:開会式の来賓の方々。向かって右から2 人目がコートジボワールの動物水産資源大臣、

3人目が農業大臣。下:コメ分科会にて、議 論の進め方を熱心に説明するCARDのコンサ ルタント。

全体会合の風景。共通の議題 についてはコメ・養殖双方の関 係者が一堂に会し議論した。

34SUMMER 2012

各々の国における取り組みを発表するともに、

グループ討議で適宜助言を行いました。参加 者は、アジアの進んだ技術や制度に非常に関 心を寄せていました。

3

日目の午後には、現地視察を行いました。

机上の議論だけではなく、実際に現場では何 が問題になっているのかというイメージを持っ てもらうためです。

ほぼ丸

4

日間における熱心な議論の結果、コ メ・養殖両方の分科会とも、次のようなプロジ ェクト案に合意することができました。

コメ

①用水関連インフラのリハビリ・維持、②資 金へのアクセス、③資材へのアクセス、④マー ケティングへの支援、⑤機械化への支援 養殖

①施策手法の強化、②中小事業家に対する 資材・マーケティングへの支援、③内政混乱 により影響を受けた地域の復興

 異なった関係者がそれぞれ知恵を出し合い ながら “具体的に何をすべきか” という点に合 意した意義は大きいと思います。

これからの動き

しかし、これで終わりではありません。プロ ジェクト案は今後、肉付けされ、政府の予 算当局やドナーと交渉して予算を勝ち取り、

実施されなければなりません。

 両分科会とも、最後に「今後の進め方」

のセッションを設け、政府が責任を持ってプ ロジェクト案を肉付けし再度関係者に諮る、

など、今後の役割分担について話し合いま した。

 このワークショップで生まれたプロジェク トの卵が、将来、実際のプロジェクトとして 育ち、同国の食料安全保障に寄与すること を切に願っています。

左:簡易脱穀機。右:水田風景。日 本やアジアの風景とあまり変わらない。

P h o t o J o u r n a l

C o t e d ’ I v o i r e

現地のコメ普及員(右端は筆者)

現地視察でコメ農家の説明を 熱心に聴く参加者。コートジボ ワール南部のアグボビルAgbo villeにて。

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37SUMMER 2012

ドキュメント内 世界の農林水産 2012年夏号(通巻827号) (ページ 33-38)

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