4. 応答時間と受信時の忙しさの推定モデルの構築 20
4.2 コンテキストデータと応答時間の関係性の分析
どのようなコンテキスト時に送信されたメッセージに対する被験者からの応答 時間が早いかを調べるため,初めに収集したデータの中で,連続値として存在す る各属性
• メッセージの受信時間
• メッセージの内容のレベル
• メッセージ受信時の被験者の忙しさ と応答時間の関係性を調査する.
次に,応答時間との明らかな関係性を見つけられなかったメッセージ受信時の 被験者の忙しさに対して,応答時間に加え他のコンテキストデータと共に分析を 行い,関係性が存在するかについて検証を行った.
4.2.1 タスクレベルと応答時間の関係
送信された各タスクのレベルと,被験者が応答するまでの時間の関係を図6に 示す.結果として,レベル1,3,2の順で応答時間は早かった.よって,応答時間 とタスクレベルには関係性が存在すると考えられ,タスクのレベルに関するデー タは応答時間の推定に有効である可能性を確認した.また,分析前はタスクのレ ベルが低い順に受信者にとっての返事の敷居が低く,応答時間が短いものと思わ れたが,結果は,小さな差ではあるがレベル3のほうがレベル2よりも応答に時 間が必要であることを示した.これは,調べることで答えることができるという タスクと,自分で回答を考える必要があるタスクの難易度を比べた場合,前者の 方が難易度の高いタスクであったと考えられる.よって,タスクの難易度を設定 する際は,受信者が回答をどのように作る必要あるかが大きく関係していると言 え,割り込むタスクの難易度を設定する上で重要になると考える.
4.2.2 受信時刻と応答時間の関係
通知された各タスクの受信時刻と応答時間の関係を図7 に示す.結果として,
朝,昼,夕方,の順に応答までの時間が早かった.この傾向は,一般的に活動を 活発に行う日中の時間帯よりも,1 日のタスクを終え始める遅い時間帯の方が,
与えられたタスクに対応しやすいからであると考えられる.この結果より,前項
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レベル1 レベル2 レベル3
図 6: タスクののレベルと応答時間の関係
と同様,通知する時間帯は応答時間と関係性を持っており,応答時間の推定に利 用することができると言える.
4.2.3 忙しさと応答時間の関係
各メッセージが送信された際の被験者の忙しさと応答時間の関係を図8に示す.
結果として,2(忙しい)と4(暇)と答えられた際のメッセージへの応答が顕著 に早く,反対に5(とても忙しい),3(どちらでもない) と答えられた際の応 答時間が顕著に遅かった.実験を行う前の仮説では,受信者の忙しさに伴い通知 メッセージへの返信は困難になると考え,グラフは右肩下がりの図になると考え られたが,実際は同じ“忙しい”に相当する1(とても忙しい)と2(忙しい)の 間に大きい差が生まれた.この結果を考察するにあたり,実験後被験者に対し“ 何故忙しさのレベルが1の時は返信できず,忙しさのレベルが2の時は返信でき たケースが多かったの” について尋ねたところ,どうしても外せない作業中でな い限り,少し忙しい時の方が返しやすいと答えた被験者が多く存在した.割り込
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朝 昼 夕方
図 7: 受信時刻と応答時間の関係
てしまうというケースが意外にも多く存在することが示された.この結果からで は,忙しい時と暇な時の応答時間の値が類似しており,応答時間を推定する分析 には適さないと考える.しかし,受信者の忙しさのレベルを,レベル1(とても 忙しい)とレベル2(忙しい)のどちらであるか,もしくはレベル4(暇)とレ
ベル5(とても暇)のどちらであるかで応答時間に大きく差を生む傾向が確認で
きた.
4.2.4 各タスクのレベルにおける忙しさと応答時間の関係
上述した3種類の分析により,応答時間はメッセージ内容のレベル,受信時刻,
そして受信者の受信時の忙しさと関係性を持つ傾向が確認できた.しかし,前項 の応答時間と忙しさの関係性に関しては,忙しい時と暇な時の応答時間の値が似 通っており,応答時間を推定する分析には用いづらいと考える.忙しさと応答時 間の関係性を紐解くには,より詳細なコンテキストを把握する必要があると考え る.そこで,より詳細に応答時間と忙しさの関係性を紐解くにはため,他のコン テキストデータと同時に検証を行う.
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とても忙しい 忙しい どちらでもな い
暇 とても暇
図 8: 忙しさと応答時間の関係
タスクのレベル毎に,受信者の忙しさと応答時間の関係性を分析する.図??∼??
はメッセージレベル毎の忙しさと応答時間の関係について示すグラフである.ま た本項では,通知に対してメッセージが返信されなかったケースの存在を考え,
分析するにあたり,メッセージの応答時間をレベル単位(5 段階)のものと時間 単位のものの2 種類を用意した.表?? は5 段階のレベルに分割された応答時間 の詳細である.
前項までの結果から,タスクレベルが1 で,かつ忙しさが4(暇)もしくは2
(忙しい)の時が応答時間が一番短いと仮説が立てられる.しかし,図??,図??
を見ると,タスクレベルが2 で忙しさが4(暇)もしくは2(忙しい)の値の時 が応答時間が一番短い.また忙しい時のタスクレベル1 の通知に対する応答時間 は他のレベルのものと比べて一番遅かった.この結果から,タスクレベルと受信 者の忙しさの間にも関係性があり,複数のコンテキストのパターンから応答時間 を求めることが可能であると考えられた.
図??∼??は忙しさのレベルを極端な2段階(忙しい,暇)にした場合における,
メッセージレベル毎の忙しさと応答時間の関係について示すグラフである.図??,
を確認すると,レベル1,3 のレベルに属す内容を持つメッセージは暇な時の方 が応答時間が短いのに対し,レベル2のメッセージは忙しい時の方が応答時間が
短かった.図?? ではその傾向を顕著に確認することができなかったが,やはり 同様にレベル1,3 のメッセージは,暇なタイミング程早く返ってくる傾向が見 られた.この結果からも,タスクのレベルと受信者の忙しさによって応答時間に 違いが生まれることが確認できる.
4.2.5 メッセージの各受信時間帯における忙しさと応答時間の関係
通知を受信した時間帯毎に,受信者の忙しさと応答時間の関係性を分析する.
図??∼??は受信時間帯毎のの忙しさと応答時間の関係について示すグラフである.
時間帯と応答時間の関係性は,朝に近い程応答時間が遅く,夕方になるほど応答 時間は早いという結果であった.しかし,忙しさが暇である時の場合,夕方にお ける応答時間は他の時間帯と比べて遅くなった.この結果から,通知を受信する 時間帯のデータを加えることで,より応答時間と忙しさの関係性が明らかになる ことが確認できた.
図9∼10は忙しさのレベルを極端な2段階(忙しい,暇)にした場合における,
受信時間帯毎の忙しさと応答時間の関係について示すグラフである.特に図9よ り,朝におけるメッセージの受信が他の時間帯における受信よりも顕著に異なる 特徴を持つことが分かった.この結果からも,受信時の忙しさのデータに他のコ ンテキストデータを加えることで,より鮮明に応答時間を求められる可能性を示 すことができる.
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忙しい 暇
朝 昼 夕方
図 9: 受信時間帯毎の時間単位で見た場合の応答時間と忙しさ(2 段階)の分析
1 2 3 4 5
忙しい 暇
朝 昼 夕方
図10: 受信時間帯毎のレベル単位で見た場合の応答時間と忙しさ(2段階)の分 析
本節の分析を通し,応答時間と様々なコンテキストデータの間には関係性が
ションから得られるコンテキストデータから応答時間を求られる可能性が高いと 言える.
4.3 機械学習による応答時間の推定
実験より得られた受信者のコンテキストデータを用いて,実際に応答時間の推 定をどの程度の精度で行えるかを検証し,最適な割り込みタイミングの推定モデ ルを提案する.また応答時間だけでなく,受信者の忙しさに関しても推定が行え るかについても検証を行う.
本研究では機械学習により得られるF値を推定モデルの精度として扱う.
4.3.1 応答時間の推定方法
被験者から得られたデータより,以下の6種の属性値と,正解値として通知に 対する応答時間のデータを入力値として,機械学習を用いて応答時間を推定する.
機械学習アルゴリズムにはSVM,RandomForest,J48 を用いる.
• 送信者(実験者)が誰か
• 送信メッセージの内容のレベル(表1 にて説明する3種類)
• 送信者(実験者)のメッセージ送信時間帯(AM 9:00∼AM 11:59,PM 12:00∼PM14:59,
PM 15:00∼PM 17:59,PM 18:00∼PM 21:00の4種類)
• 受信者(被験者)の行動カテゴリ(表2 にて詳細を説明する.)
• 受信者(被験者)の場所カテゴリ(表3 にて詳細を説明する.)
• 受信者(被験者)の“Moves” ログの種類(移動中,停滞中の2種類)