第 3 章 文章の組版 21
3.15 引用や文の区切り
文献から一文を引用する,段落を引用するという場面があると思います.まず単語の 引用にはシングルクオート
‘’
を使います.シングルクオートも2
種類あり左シングル クオート(‘
)はキーボードのShiftを押しながら@を押し,右シングルクオート(’
)はShiftを押しながら 7 を押すと入力できると思います.
L
ATEX
ではこれらを区別して記述します.
文の引用ではダブルクオートを使います.
Word
などでダブルクオートを挿入すれば 自動的に“
一文”
のように変換されますがL
ATEX
は不親切で前述のシングルクオートを うまく組み合わせて引用します.これは左シングルクオートを2
つと右シングルクオー トを2
つで括ることになります.他に1
文用のquote
環境や段落ごと引用するためのquotation
環境があります.‘
単語はシングルクオートで囲む’
‘‘
文はダブルシングルクオートで囲む’’
さらに段落ごと引用する場合は段落の左側を字下げして出力します.場合によっては 文字を小さくします.行頭の字下げをしないときは
quote
環境を,字下げするときはquotaiton
環境を使います.\begin{quote}
段落引用はquote
環境で囲む\end{quote}
\begin{quotation}
段落引用はquotation
環境で囲む\end{quotation}
一般的に以下のような使い方になります.
‘単語’の引用はシングルクオートで‘‘文章の一文’’
の引用は左シングルクオート2つと右シングルクオ ート2つです.
‘単語’の引用はシングルクオートで“文章の一文”の引 用は左シングルクオート2つと右シングルクオート2 つです.
段落を引用するquote環境の他にも
\begin{quote} 行頭の字下げをする 段落引用のquotation環境がある.
\end{quote}
といわれている.
段落を引用するquote環境の他にも
行頭の字下げをする段落引用のquotation環境 がある.
といわれている.
和文の引用における引用符は全角のかぎ括弧「」を使ったほうが美しいのですが,欧文 の場合の引用符には半角のクオート
‘’
を使うのが良いと思います.1
つの文書に両者が 混在するのは余り好ましい状態とは言えません.好き好き
L
ATEX 2ε 3.15
引用や文の区切り3
‘FUN’は‘‘Future University-Hakodate’’の 略で,‘FUN’はほげと密接な関わりがあり渡 辺によると「渡辺らによると『ほげはほげで ある.』という説がある.」と考察している.
‘FUN’は“Future University-Hakodate”の略で,‘FUN’
はほげと密接な関わりがあり渡辺によると「渡辺らに よると『ほげはほげである.』という説がある.」と考察 している.
どちらか一方に統一するのが作成者側にも読者にも混乱は少ないでしょう.
L
ATEX
で引 用というものをもう少し効率良く行うには\newcommand{\qu}[1]{‘#1’}% 単語の欧文引用
\newcommand{\qq}[1]{‘‘#1’’}% 1 文の欧文引用
\newcommand{\yo}[1]{「#1」}% 単語の和文引用
\newcommand{\yy}[1]{『#1』}% 1 文の和文引用
のような命令を定義しておけば,後から引用符を統一できます.上記の
\yo
と\yy
を\newcommand{\yo}[1]{‘#1’}% 単語の和文引用
\newcommand{\yy}[1]{‘‘#1’’}% 1 文の和文引用
と変更するだけで文章中の引用符を一括して変更できるわけです.
それは渡辺らによれば\yo{デカルトの名言に
\qu{I think, therefore I am.}がある.}と いう調査結果が存在する.
それは渡辺らによれば「デカルトの名言に ‘I think, therefore I am.’がある.」という調査結果が存在する.
3.15.1 書籍名や雑誌名の引用
書籍名や雑誌名を引用する場合はその名前を強調することになっています.強調といっ ても欧文の場合は
\emph
命令を使ってイタリック体(Italic shape)にします.和文の書籍 名を引用する場合は2
重かぎ括弧(『』)が使われています.\emph{
harticle’s Name
i}
(欧文の場合)『雑誌名』(和文の場合)
以上のような方法を使って何か別の文書を示す場合はその文書名を強調表示します.
渡辺が2004年に\emph{Natural}に投稿した論文
『それが私の生きる道』には「人生そんなもの だよ.」という名言が書かれている.
渡辺が2004年にNaturalに投稿した論文『それが私の 生きる道』には「人生そんなものだよ.」という名言が 書かれている.
このような他の文書の引用には新たに欧文用の引用命令
\yousyo
や,和文用の\wasyo
などを作るとあとで統一したいときには便利でしょう.\newcommand{\yousyo}[1]{\emph{#1}}%欧文
\newcommand{\wasyo}[1]{『#1』}%和文 渡辺が2004年に\yousyo{Natural}に投稿した論文
\wasyo{それが私の生きる道}には「人生そんなもの だよ.」という名言が書かれている.
渡辺が2004年にNaturalに投稿した論文『それが私の 生きる道』には「人生そんなものだよ.」という名言が 書かれている.
3.15.2 ダッシュ
ダッシュには和文と欧文のものを併せると
4
種類ほどあります.ひとまとめにしたい単 語の区切りや,文の中断などに使います.半角ダッシュ‘–’ 数値の範囲などを表す.
全角ダッシュ‘—’ 文の中断を表す.
全角ダーシ‘―’ 欧文の全角ダッシュに近い意味を表しますが,若干高さが違います.
倍角ダーシ‘―――’ 和文での文の中断などを表す.
さらにダッシュに似たものにハイフンとマイナスがあります.
ハイフン‘-’ 欧文で単語の途中にハイフネーションとして挿入される.
マイナス‘−’ 数学記号で負の数値を表す.
以上の記号を混同することなく正しく使うのが好ましいです.倍角ダーシを出力するため
にはokumacroパッケージを読み込みます.出力方法は表
3.6
の通りです.表3.6 ダッシュなど 記号の種類 出力 入力・命令
半角ダッシュ
– --
ハイフンを2
つ 全角ダッシュ— ---
ハイフンを3
つ 全角ダーシ ― ― 全角のダッシュ 倍角ダーシ ―――\
――‘\’
と全角ダーシ2
つ ハイフン- -
そのままマイナス −
$-$
数式中でハイフン1
つ‘‘When I was a young---a little dog---I could read about 100--200 books in a day.
This is a just fairy-tale.’’
“When I was a young—a little dog—I could read about 100–200 books in a day. This is a just fairy-tale.”
良く見ると分かりますが全角ダーシと単語のあいだには余分な空白を入れません.以下 の例はちょっとまずい書き方です.
3.15.3 ハイフネーション
行末に長い単語がある場合にその単語のハイフネーションにあった改行位置を見つけて
L
ATEX
は改行を行います.ユーザーが明示的に改行位置を指定することもできます.\hyphenation{
h複数の語句i}
\-
(位置指定)好き好き
L
ATEX 2ε 3.15
引用や文の区切り3
\-
は文章中で直接‘Ghost\-script’
のように使います.\hyphenation
の場合はプリア ンブルなどに\hyphenation{Ghost-script Post-Script}
のような記述をします.
George Johnson and George Brahms always say supercalifragilisticexpialidocious, they always say super\-cali\-fragilistic\-expi%
ali\-docious, and Robert sometimes say
\mbox{supercalifragilisticexpialidocious}.
George Johnson and George Brahms always say su-percalifragilisticexpialidocious, they always say super-califragilisticexpialidocious, and Robert sometimes say supercalifragilisticexpialidocious.
‘super
なんちゃら’
の1
つ目,2
つ目では改行の位置が違います.\mbox
命令を使うと 改行を許しません.ハイフネーションを\hyphenation{su-per-cali-frag-ilis-tic-ex-pi-ali-doci-ous}
とするとか
\hyphenation{super-cali-fragilistic-expiali-docious}
とするかは,言語によってもハイフネーションのパターンが違うので注意が必要です.
3.15.4 改行
改行はバックスラッシュ
‘\’
(Windows
などでは円‘Y
=’)を2
つ並べて‘\\’
のようにす れば入れることが可能ですが,文章の中に改行を入れるときは慎重に挿入しなければいけ ません.できることならばユーザ側の強制的な改行は挿入しないほうが良いでしょう.同 じ段落とある文字列を区別したいときは改行ではなく引用(3.15
節参照)を使うのが良い でしょう.\\*[
h長さi]
\newline
\par
任意引数に改行を行うときの縦の長さを指定できます.ページの先頭での改行を行うこ とはできません.アスタリスクを付けると改行直後にページを改めることを禁止します.
\newline
は‘\bs\’
とほぼ同時の命令です.\par
は改行ではなく改段落,すなわち段の 終わりを示します.その直後の文字列は字下げされます.改行は\verb|\\| のように\\バックスラッシュ を2つ続けて書くと\\[1cm]ユーザによる強制的 な改行が挿入されます.\par
この文章は新しい段落から組まれ\newline 字下げされる場合があります.
改行は\\のように
バックスラッシュを2つ続けて書くと
ユーザによる強制的な改行が挿入されます.
この文章は新しい段落から組まれ 字下げされる場合があります.