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第 5 章 評価実験

5.3 キャッシュヒット率

表5.3: RADIUS情報登録時の応答速度

応答時間(ミリ秒)

指定なし 17.67

NIS属性を指定 36.18

RADIUS属性を指定 45.60

属性を指定した場合としない場合のパケットサイズと応答速度の比較を行うと,パケット サイズが増加したことによる応答速度の低下よりも,属性を指定したことによるDirectory サーバの応答性能の低下が大きくなった.

Network A

Network B File

Server Domain Controller Client

NIS Client

NIS Server

Domain Controller

図5.8: パケットデータ採取環境

5.3.2 ネーミングサービスの利用種別

5.3.1節で採取したNISサーバのパケットデータよりクライアントからリクエストがあ

る情報種別の統計データを図5.9に示す.本学の環境では,ユーザのHOMEディレクト リやメールスプール,コンパイラ等が格納されたディレクトリがNFSで提供されている.

そのため,これらのディレクトリに対するアクセスが発生すると NFS の Mountが発生 し,その際に利用される‘hosts.byname’,‘auto.local’, ‘auto.local.c’の利用頻度が高くなっ ている.

5.3.3 ヒット率測定プログラム

キャッシュヒット率は,採取したパケットデータからヒット率を求めるプログラムを作 成し求めた.測定プログラムでは,評価システムで実装を行っているキャッシュ機構をシ ミュレートした.評価システムではヒット率を求めるために,採取したパケットデータの 実時間が必要となるが,測定プログラムでは有効時間を計算上の数字として扱うため,短 時間でキャッシュのヒット率を求めることが出来る.また,利用する12時間分のパケッ トデータのうち,計算で用いた最大有効時間よりも大きい 2時間分のデータをあらかじ めキャッシュに登録する情報として利用し,残り10時間分のデータを利用してヒット率

図5.9: NIS情報種別

を求めた.次節以降キャッシュヒット率はこのプログラムを用いヒット率を求めた.

5.3.4 キャッシュ有効時間

採取したパケットデータよりネーミングサービスにおいてキャッシュリストに登録して おく有効時間について求めた.対象の情報はユーザ情報とホスト情報とした.

図5.10にNISの結果を示す.ユーザ情報の方がホスト情報に比べ,キャッシュの有効時 間が短くても高いヒット率を示す傾向となった.ユーザ情報,ホスト情報共に約1200秒 でヒット率がほぼ一定になる.また,キャッシュのヒット率を85 %以上を目標としキャッ シュの有効時間を設定する場合,ユーザ情報は800秒,ホスト情報は1200秒必要となる.

図5.11にDomain Controllerの結果を示す.Domain Controllerクライアントは,短い時 間間隔で同じユーザ名,ホスト名に対してリクエストする傾向がある.そのためヒット率 の変化は,急激な変化を伴う傾向となった.

Domain ControllerはNISと異なり,ホスト情報の方がユーザ情報に比べ,キャッシュの

有効時間が短くても高いヒット率を示す傾向となった.ユーザ情報は約11300秒,ホス ト情報は約2000秒でヒット率がほぼ一定になる.また,キャッシュのヒット率を85 %以

上を目標としキャッシュの有効時間を設定する場合,ユーザ情報は7900秒,ホスト情報 は800秒必要となる.

0 20 40 60 80 100

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

cache hit rate[%]

time[sec]

’NIS(hostname)’

’NIS(username)’

図5.10: キャッシュリスト有効時間(NIS)

5.3.5 ユーザ情報におけるヒット率

採取したNIS サーバと Domain Controller のパケットデータを混在させ,ネーミング

サービスを統合した環境におけるユーザ情報のヒット率を求めた.NISクライアントから みたヒット率を図5.12 に示す.‘MIX-NIS(usrname)’ が混在環境のヒット率を示す.NIS クライアントでは,わずかながらヒット率があがるものの影響は少ない.

Domain Controllerクライアントからみたヒット率を図5.13に示す.Domain Controller クライアントでは,統合環境の方がヒット率が向上した.向上の最も高いキャッシュの有 効時間を 2800秒に設定したとき,統合環境の方が28 %向上した.また,キャッシュの ヒット率を85 %とすると混在環境では2700秒の有効時間となった.これは,5.5.3節の 結果と比較すると統合環境の方が,ユーザ情報に関して85 %以上のヒット率を目指した キャッシュの有効時間を設定した場合,8600秒短く設定出来ることを示す.

0 20 40 60 80 100

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

cache hit rate[%]

time[sec]

’DC(hostname)’

’DC(username)’

図5.11: キャッシュリスト有効時間(Domain Controller)

0 20 40 60 80 100

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

cache hit rate[%]

time[sec]

’NIS(username)’

’MIX-NIS(username)’

図5.12: 混在環境におけるNISクライアントからのヒット率(ユーザ情報)

0 20 40 60 80 100

0 1000 2000 3000 4000 5000 6000

cache hit rate[%]

time[sec]

’DC(username)’

’MIX-DC(username)’

図5.13: 混在環境におけるDomain Controllerクライアントからのヒット率(ユーザ情報)

5.3.6 ホスト情報におけるヒット率

採取したNIS サーバとDomain Controllerのホスト情報のパケットデータを混在させ,

ネーミングサービスを統合した環境におけるホスト情報のヒット率を求めた.採取した NISサーバとDomain Controllerのパケットデータから図5.14を想定した実験データを作 成し,ヒット率を求めた.‘Mount Environment 1’ (以下ME1と略す)はユーザ自身のホー ムディレクトリが格納されているFile Serverを示すのにDomain Controllerクライアント はDomain Controllerが提供している資源として利用する.つまりDomain Controllerクラ イアントのユーザは,あたかもDomain Controller自身のディスクであるかのように利用 する環境である.‘Mount Environment 2’ (以下ME2と略す)ではNISクライアントが利 用しているFile Serverを直接Domain Dontrollerクライアントが利用する環境である.

図 5.15 に NIS クライアントからのヒット率を示す.‘MIX-NIS(hostname)’ が ME1,

‘MIX2-NIS(hostname)’ が ME2 をそれぞれ示す.ME1 では,ヒット率の向上は少ない.

これに比べME2では,ヒット率の向上は大きい.向上の最も高いキャッシュの有効時間 の300秒に設定したときに,Domain Controllerの情報と統合していない環境と比べME1 は8 %向上し,ME2は30 %向上した.ホスト情報に関して85 %以上のヒット率を目指 したキャッシュの有効時間を設定した場合,ME1では1000秒,ME2では700秒の有効 時間となった.

図5.16にDomain Controllerクライアントからのヒット率を示す.‘MIX-DC(hostname)’

がME1, ‘MIX2-DC(hostname)’がME2をそれぞれ示す.ME1, ME2いずれの環境におい てもほぼ同程度のヒット率の向上がある.向上の最も高いキャッシュの有効時間の200秒 に設定したときに,統合していない環境と比べME1は21 %,ME2は25 %ヒット率が 向上した.ホスト情報に関して85 %以上のヒット率を目指したキャッシュの有効時間を 設定した場合,ME1, ME2共に700秒の有効時間となった.

Network A

Network B File

Server Domain Controller Client

NIS Client

NIS Server

Domain Controller

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