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2mg を 筋注

p 値 リスク比 95%信頼 区間

リスク比 95%信頼 区間

ビタミン K欠乏

30/30 (100)

5/13 (39)

3/10 (30)

<0.001 2.6 1.3-5.2 3.3 1.3-8.6

重症ビタ ミンK欠 乏

29/30 (100)

3/13 (23)

2/10 (20)

<0.001 4.2 1.5-11.3 4.8 1.4-16.7

ビタミン K欠乏性 出血症

25/30 (83)

1/13 (8)

1/10 (10)

<0.001 10.8 1.6-71.7 8.3 1.3-53.9

頭蓋内出 血

13/30 (43)

0/13 (0)

0/10 (0)

0.001

表 5-3:胆道閉鎖症患者における異なる予防投与法下での母乳栄養と人工乳栄 養でのビタミンK欠乏の発生リスク

(文献 2 より引用)

他方、Mager ら3)によると、43 例の軽度から中等度の胆汁うっ滞肝疾患患者 と、44 例の健常児および 29 例の軽度から中等度非胆汁うっ滞肝疾患患者の PIVKA-II 値を検討した結果、胆汁うっ滞肝疾患患者が 61.9±144、非胆汁うっ 滞肝疾患患者が 1.2±3 と、胆汁うっ滞群で有意な上昇が認められた。また、

PIVKA-II 値は血清直接ビリルビン値(r2= 0.172, p=0.003)、総胆汁酸(r2=0.22, p=0.001)、肝疾患の重症度(r2=0.24, p=0.0001) と正の相関が認められたと報 告している。

また、エキスパートオピニオンとして Diamond ら4)は、閉塞性黄疸の術前に は凝固能を検査し、必要に応じてビタミンK投与や新鮮凍結血症などを投与す べきとしている。

日本小児科学会新生児委員会ビタミンK投与法の見直し小委員会による「新

ビタミンK欠乏 重症ビタミンK欠乏 ビタミンK欠乏性出 血症

リスク 比

95%信頼 区間

リスク比 95%信頼区 間

リスク 比

95%信頼区 間

人工乳栄養児 n=93 1 na 1 na 1 na 母乳栄養+生直

後に 2mg を筋 注

n=10 4.7 1.4-15.8 18.6 1.9-187.0 9.3 0.6-138

母乳栄養+1mg を毎週経口投 与

n=13 6 2.1-16.8 21.5 2.4-1910 7.2 0.5-108

母乳栄養+25μ g を連日経口投 与

n=30 15.5 7.2-33.6 89.9 12.7-632.0 77.5 11.0-548.0

ライン(修正版)」においては、合併症を持たない場合にはK2 シロップの3 回投与法が推奨されており、また、生後3ヶ月までK2シロップ2mg を週1回 投与する方法が留意事項として付記されている5)。日本小児科学会の全国調査

6)によると、1,373 施設のビタミンK欠乏性出血 71 例のうち、ビタミンK製剤 3回投与例のうち 10 例に頭蓋内出血がみられ、そのうち7例が胆道閉鎖症・肝 炎であった。一方、日本小児外科学会の 2009 年の全国調査では、胆道閉鎖症 84 例のうち病的出血が 11 例みられ、そのうち 5 例(6.0%)が頭蓋内出血であっ た。ビタミンK製剤の 3 回投与が一般的になった後の 1989 年から 2009 年の 11 年間の集計では、胆道閉鎖症 2,417 例中 104 例(4.3%)に頭蓋内出血を併発して おり、胆道閉鎖症に合併した頭蓋内出血の頻度は平均 9.5 例/年であった。即 ち、K2 シロップの3回投与例でも胆道閉鎖症の場合には頭蓋内出血が生じ得 る。

【害の評価:薬剤投与の副作用】

ビタミンK製剤の治療的投与に対する英国のガイドライン7)では、① ビタ ミンK欠乏性出血症が疑われた時には、例え診断が確定していなくてもビタミ ンK製剤1mg を静注する。但し、ビタミンK製剤の静注はアナフィラキシー反 応を惹起することがあるのでゆっくりと静注する(筋注は禁忌)② 重症例には 新鮮凍結血漿 10~15ml/kg の輸注を併用する③ 最重症例には第Ⅸ因子複合体 濃縮製剤の併用を考慮する、となっている。また、ケイツーの添付文書8)に おける使用上の注意点として、プロトロンビン時間、トロンボテスト、ヘパプ ラスチンテストの実施や PIVKA の証明を行い、ビタミンK依存性凝固因子の異 常を確認すると共に、適用上の注意として、急速投与でショック症状があらわれ ることがあるため点滴静注が望ましく、点滴静注する場合は、製剤の光分解を防 ぐための遮光カバーを用いるなど十分に注意することが挙げられている。

【推奨文の作成】

定量的システマティックレビューとしては、アウトカムに沿ったエビデンス を述べる適切な論文は検索範囲に認められなかった。しかし、胆道閉鎖症が疑 われるような閉塞性黄疸の患者を診察した際、ビタミンK欠乏症に対するビタ ミンK製剤の補充は当然であり、添付文書上も重篤な副作用が認められていな いことから、胆道閉鎖症が疑われるような患者を診察した場合には、術前にビ タミンKを静脈内投与する事を強く推奨する。

参考文献

1) 白幡 聡:ビタミンK欠乏性出血症 周産期医学. 2010;40:993-995.

2) van Hasselt PM, de Koning TJ, Kvist N, et al.: Prevention of Vitamin K Deficiency Bleeding in Breastfed Infants- Lessons From the Dutch and Danish Biliary Atresia Registries. Pediatrics 2008;121:e857-863.

3) Mager DR, McGee PL, Furuya KN, et al.: Prevalence of Vitamin K Deficiency in Children with Mild to Moderate Chronic Liver Disease. J Pediatr

4) Diamond T, Parks RW.: Perioperative management of obstructive jaundice Br J Surg 1997;84:147-149

5) 白幡 聡、伊藤 進、高橋幸博、他:「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症 に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)」日児誌

2011;115:705-712.

6) 白幡 聡、伊藤 進、高橋幸博、他: 乳児ビタミンK 欠乏性出血症全国調査 成績(1999~2004 年). 日産婦新生児血会誌 2006;16:S55-56.

7) Williams MD, Chalmers EA, Gibson BES, et al.: The investigation and management of neonatal haemostasis and thrombosis. Brit J Haematol 2002;

119:295-309.

8) ケイツーN 注添付文書(第 8 版、2009 年 9 月)

CQ8: 30 日以内の葛西手術は有用か?

推奨:胆道閉鎖症の自己肝生存率を考慮した場合、30 日以内の葛西手術を行う 事を提案する。

推奨の強さ「2」:弱く推奨する(一致率 94%)

エビデンスの強さ:C

解説

【文献検索結果】

Pubmed より 112 篇、医中誌より 30 篇、その他 Hand search による 1 篇の合 計 143 文献について2次スクリーニングを行い、30 日以内に葛西手術後を施行 した症例の自己肝生存率について記載されている 15 文献を検索した結果、メタ アナリシスが可能であったのは3文献1〜3)であった。

【益の評価:自己肝生存率の上昇】

葛西手術を施行した 312 症例を対象としたカナダの縦断研究1)では、30 日未 満の手術例と 31 日から 90 日、および 91 日以降の手術例の成績を比較検討し、

4年自己肝生存率は、生後 30 日未満の手術で 49%、生後 31 日から 90 日の手術 で 36%、生後 91 日以降の手術で 23% (p<0.0001)であった。ただし、それ以降の 年齢における自己肝生存率は示されていない。

1,044 症例を対象としたフランスの後方視的研究2)では、葛西手術を生後1 カ月までに施行した症例と、生後2カ月、3カ月、およびそれ以降に施行した 症例を比較検討した結果、20 年自己肝生存率は生後 30 日までの手術が 39%、生 後 2 カ月までの手術が 32%、生後 3 カ月までの手術が 28%、生後3カ月以降手術 が 19% (p=0.0002)であったことより、30 日以内の葛西手術は自己肝生存率を上 げると結論している。

一方、米国の単一施設で葛西手術を施行された 92 人の胆道閉鎖症患者のうち、

30 日未満で手術を施行された9症例を対象とした後方視的研究3)では、生後 11.0±4.3 カ月の時点で肝移植を施行された症例は7例(77.8%)、30 日以降に葛 西手術を施行されて肝移植となった症例は生後 32.1±7.1 カ月の時点で 53.4%

であり、30 日未満での葛西手術は自己肝生存率を下げるという結果であった。

ただし、肝移植率では有意差は無く( p=0.166)、肝移植年齢では有意差がみら

い、移植の適応が明確でないなどの影響が考えられるものの詳細は明らかでな い。

これら 3 文献についてメタ解析を行った結果、自己肝生存率のオッズ比は 0.47

(95%信頼区間 0.29〜0.78)と、早期手術の優位性が示された。(図 5-4)。

図 5-4

その他、手術日齢の層別化が 30 日以外で行われた論文も含めた 14 論文の定 性的レビュー4)では、いずれも早期手術の有用性を示唆すると報告されている。

本 CQ では、手術日齢 30 日で層別化した論文を対象としたが、これ以外にもよ り早期に手術を行った場合の有用性を示す論文が多数みられている。症例数の 多い観察研究では早期手術の有用性が示されていて、早期手術は自己肝生存率 を高める可能性が高い。

また、我が国の胆道閉鎖症全国登録における 2005 年から 2014 年までの 10 年間における日齢別黄疸消失率を見てみると、30 日以内 73.1%、60 日以内 66.5%、

90 日以内 59.5%、120 日以内 57.4%、121 日以降 19.6%と、30 日以内の葛西手術 における減黄率は、30 日以降の手術に比較して減黄率の改善に有意差

(p<0.0001)があり、早期手術の有用性が示唆されるが、自己肝生存率との関係 については検討できていない(図 5-5、図 5-6)。

図 5-5: 30 日以内手術例(左)の肝表面に比し、60 日以降手術例(右)では肝 表面の凹凸が著明である。

図 5-6:手術時日齢別減黄率(胆道閉鎖症全国登録 2005~2014 年集計)

手術合併症についての日齢別に検討された報告が無いため、害についてのエ ビデンスは不明である。

【推奨文の作成】

以上より、当初提案された推奨文章案は、「胆道閉鎖症の自己肝生存率を考慮 した場合、30 日以内の葛西手術を行う事を推奨する」と提示された。しかし、

その後の議論で、30 日以内の診断が困難な場合が相当数存在することを考慮す ると、「推奨する」ということが不可能なのではないか、という意見が表明され た。その結果、「理想的には 30 日以内の手術が望ましが、現状を考慮すると困 難が伴う」という内容を記述することで一致し、その後の投票の結果合意が得 られた。また、エビデンスレベルについては、最終的には「C: 効果の推定値に 対する確信は限定的である」で合意に達した。

参考文献

1) Schreiber RA, Barker CC, Roberts EA, Canadian Pediatric Hepatology Research G, et al.: Biliary atresia: the Canadian experience. J Pediatr 2007;151:659-665.

2) Chardot C, Buet C, Serinet MO, et al.: Improving outcomes of biliary atresia: French national series 1986-2009. J Hepatol 2013;58:1209-1217.

3) Volpert D, White F, Finegold MJ, et al.: Outcome of early hepatic portoenterostomy for biliary atresia. J Pediatr Gastroenterol Nutr 2001;32:265-269.

4) Jimenez-Rivera C, Jolin-Dahel KS, Fortinsky KJ, et al.: International incidence and outcomes of biliary atresia. J Pediatr Gastroenterol Nutr.

2013;56:344-354.

CQ9:術後のステロイド投与は有用か?

推奨:現時点でのエビデンスの集積では、長期的な減黄や自己肝生存率の改善 において有意な効果が有るとは認められなかった。一方、これまでの専 門家の治療経験やコンセンサスミーティングの結果を考慮すると、黄疸 無し自己肝生存率の向上を目的としたステロイドの投与についての推奨 を、本ガイドラインでは確定できない。

推奨の強さ「なし」:明確な推奨ができない(一致率 58%)

エビデンスの強さ:B

解説

【文献検索結果】

グルココルチコイドレセプターを介した Cl/ HCO3-の交換装置の活性化によ るステロイドの直接的な利胆作用が明らかになってきており、障害を受けてい る肝細胞の修復、細胆管における胆汁排泄促進、炎症の抑制などステロイドの 投与は胆汁分泌を促進する可能性があると言われている。しかし、胆道閉鎖症 術後にステロイドの投与が有用であるかどうかについては明らかでない。そこ で、一次スクリーニングの対象とした 244 文献のうち、ステロイド投与が黄疸 無し自己肝生存率の向上に役立つのか、ステロイド投与に伴う副作用、という 益と害について検討すべき基準を満たした 13 編1~13)について検討を加えた。

【益の評価:黄疸無し自己肝生存率の向上】

胆道閉鎖症術後のステロイド投与に関するメタアナリシスの2編1、2)、およ び介入研究の2編3、4)が検出されたが、ステロイド投与群とステロイド非投与 群の比較で、黄疸無し自己肝生存率の向上という点に対してはいずれも有意水 準に達していなかった(p=0.60)。(図 5-7)

図 5-7

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