1 趣 旨
国際連合は、2000年6月に、「女性2000年会議:21世紀に向けての男女平 等・開発・平和」を開催する予定である。
これをふまえて、国立婦人教育会館においては、男女共同参画社会の形成のために重要 な課題を国際的な視野から討議し、女性のエンパワーメントの推進に資するとともに、国 内外のネットワークの形成を図ることを目的とした国際フォーラムを開催する。
2 期 日
平成11年11月25日(木)〜27日(土)2泊3日
3 参加者
(1) 総数 508名 (2) 内訳
①参加プログラム別
a.初日のみの参加者 286名 b.3日間を通しての参加者 222名
②国籍別
a.日本 472名
b.外国 36名(18か国から)
③外国人国籍別内訳(国名アルファベット順)
アジア州 20名(バングラデシュ1名、カンボジア1名、フィリピン8 名、ヨルダン1名、韓国2名、マレーシア1名、モル ディブ1名、ネパール4名、ベトナム1名)
大洋州 1名(バヌアツ1名)
アフリカ州 3名(モザンビーク1名、タンザニア1名、ジンバブエ1名)
ヨーロッパ州 1名(イギリス1名)
北アメリカ州 10名(カナダ2名、メキシコ1名、アメリカ7名)
南アメリカ州 1名(パラグアイ1名)
4 プログラムの概要
(1) 基調講演「女性と人権」
スウェーデン産業大臣モナ・サリーン氏のメッセージが駐日スウェーデン大使によ って代読された。
(2) シンポジウム
テーマ:「政治、職業、教育における女性と人権」
パネリスト: セシリア・ルースストロムルイン氏
駐日スウェーデン大使館二等書記官(国籍スウェーデン)
リンダ・チャオ・ヤン氏
アジア開発銀行米国代表(国籍アメリカ)
ジョティ・トゥラダー氏
ILOニューデリー支局ジェンダー女性労働者問題シニア・ス ペシャリスト(国籍ネパール)
パトリシア・クラントン氏
ニュー・ブランズウィック大学名誉研究者、パーソナル・アン ド・プロフェッショナル・エンパワーメント研究所長(国籍カ ナダ)
コーディネーター:猪口 邦子氏
上智大学法学部教授
アジアの経済危機が女性の人権とエンパワーメントの促進への取り組みに与えた世 界的な影響と、その克服の可能性などについて、また、「女性差別の再生産」「いつの まにか身についた らしさ の修正」などについて、意見交換が行われた。
(3) 分科会
①第1分科会「政治・政策決定過程への参画」
パネリスト:セシリア・ルースストロムルイン氏 パク・クムオク氏
社団法人愛の友事務総長(国籍韓国)
木村 陽子氏
奈良女子大学生活環境学部助教授 コーディネーター:岡沢 憲芙氏
早稲田大学社会科学部教授
コーディネーターによる導入の後、韓国、日本、スウェーデンにおける状況の報 告が行われるとともに、アメリカなどの外国からの参加者によるそれぞれの国の状 況の報告が行われた。また、「少子・高齢化が女性にとってマイナスではなく追い風 になる可能性があること」「クォータ制度は諸刃の剣になること」「男性の家庭参加 を増やし、女性の社会参加を増やす必要があること」「女性が力を発揮できる政策を 見極めるために、情報公開を進める必要があること」などについて、意見交換が行 われた。
②第2分科会「職業」
パネリスト:ジョティ・トゥラダー氏 大河原愛子氏
ジェーシーフーズ代表取締役(国籍アメリカ)
大沢 真理氏
東京大学社会科学研究所教授 藻谷ゆかり氏
有限会社ダ・ヴィンチ代表、いい紅茶ドットコム主宰 コーディネーター:下村 満子氏
ジャーナリスト、元「朝日ジャーナル」編集長
コーディネーターによる導入の後、各パネリストから、次のことについての報告 が行われた。
・働く女性に対する条件整備の世界的な変化(この四半世紀において)
・日本における女性労働の現状と課題
・労働界における意識や差別等についての日米の比較
・大企業、及び外資系企業の現状と課題
また、「賃金格差」「終身雇用」「能力主義」「転換期における新しい価値の創造」
などについて、意見交換が行われた。
③第3分科会「教育・学習」
パネリスト:パトリシア・クラントン氏 ジョセフィン・バリオス氏
大阪外国語大学外国人教師(国籍フィリピン)
中村 誠氏
岡山大学法学部教授、文部省生涯学習局生涯学習調査官 天野 正子氏
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科教授 コーディネーター:金井 淑子氏
横浜国立大学教育人間科学部教授
コーディネーターによる導入の後、各パネリストから次のことについて報告が行 われた。
・フィリピンのカトリックの女性徒の教育と解放
・日本におけるエンパワーメントに生かす教育、学習
・生涯学習における個別化、エンパワーメント、オーセンティシティ(本物になる こと)
・教育・学習へのエンパワーメント・アプローチ
また、外国からの参加者から各国の現状についての報告があった後、「女性の理工 系大学への進学」「共学と別学」「男性のエンパワーメント」「自分のジェンダー感の 問い直し」「隠れたカリキュラム」などについて、意見交換が行われた。
(4) 全体会
パネリスト:各分科会の専門家 コーディネーター:下村 満子氏
各分科会のコーディネーターによる分科会報告の後、参加者との間で、男女共同参 画社会の実現のために、以下のことについての意見交換が行われた。
・ 男女共同参画社会を形成しようとしている候補者に投票してはどうか。
・ 男性社会で当たり前と思っていたことを女性の視野で再吟味してみよう。
・1人1人がエンパワーして自分自身を変え、世界を変えよう。
・コンピュータなどの新しい情報機器を積極的に活用しよう。
・女性の立候補を資金的に援助する団体(WINWIN)を支援してはどうか。
・今は21世紀の新しい文明が生まれるための崩壊現象が起こっているが、別な見方 をすれば、私たちは非常にいい時代に生まれてきたともいえるので、国際的ネット ワークを創り、家や母国に帰って、自分の分野でできることから始めよう。
5 今後の課題・展望等
(1)フォーラムの実施に当たっては、今年度初めて日本人専門家5名による企画委員会 を開催し、企画・運営に対する助言等を得たことにより、政治、職業、教育の分野 に係る様々な分野の専門家を国内外から幅広く招へいすることができるとともに、
男女共同参画をめぐる諸問題の解決に資する討議が効果的に行われるなど、充実し たフォーラムとなった。
(2)今年度も、総理府が国際協力事業団(JICA)の研修員受入事業の一環として実 施している「男女共同参画セミナー」の研修員(12カ国12名)が全期間参加し たが、分科会等においても積極的に意見交換等を行っており、大変有意義であった。
今後もこのフォーラムへの参加を期待したい。
(情報交流課専門職員 油原ゆう子)
参加者全員での記念撮影