3.3 アンサンブル・カルマンフィルタ
3.3.2 局所アンサンブル変換カルマンフィルタ
実際には計算機資源に限界があるためアンサンブルメンバー数にも限りがある.
そのため,数少ないアンサンブルメンバーで誤差共分散行列を精度よく再現するこ とが重要である.アンサンブルメンバーが少ないとサンプリングエラーが大きくな るため,離れた点同士の相関では共分散が大きくなり,また,同じ点同士の相関では 分散が必要以上に小さく見積もられてしまい,誤差共分散行列を精度よく再現する ことができないことが知られている(Houtekamer and Mitchell 1998, Hamill and Snyder 2000).
により考案された. LETKFはLEKFと根本的には同じ原理であるが, 主成分解析 を行わないためさらに効率が良くなっている. Harlim and Hunt (2005)によると,
LETKFとLEKFをいくつかのモデルに適応して比較実験を行ったところ, データ
同化性能にほとんど違いがないことが確かめられている.
LETKFではPf の主成分解析を行わず, アンサンブル摂動E[N ×m]を直接用
いて, m個のアンサンブルメンバーが張るm次元空間内で解析を行う.
まず,状態の時間発展は初期アンサンブルメンバーxa(1)i−1,· · ·,xa(m)i−1 と非線形モデ ルM を用いて,
xfi = M³xa(1)i−1,· · ·,xa(m)i−1 ´
= Mxai−1 (114)
で与えられる. ここで, xfi,xai−1はN ×mの行列である.
物理空間での予報誤差共分散行列Pf[N ×N]は, Pf = Ef³Ef´>
= EfI³Ef´> (115)
で与えられる. また, m次元空間内での予報誤差共分散行列P˜f[m×m]を,
P˜f =I (116)
とすれば, 式(115)は, P˜f を用いて,
Pf = EfP˜f³Ef´> (117) と書き表せる. 同様にして, 物理空間での解析誤差共分散行列Pa[N ×N]は,
Pa =EfP˜a³Ef´> (118) と表せる. ここで, 式(102)に式(111)を代入すると, ,
Pa = (I−KH)Pf
=
Ã
I−Ef
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1³
HEf´>R−1H
!
Ef³Ef´>
= Ef ³Ef´>−Ef
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1³
HEf´>R−1HEf³Ef´>
= Ef ³Ef´>−Ef
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1µ·
I+³HEf´>R−1HEf
¸
−I¶ ³Ef´
= Ef
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1³
Ef´> (119)
m次元空間内での解析誤差共分散行列P˜a[m×m]は, P˜a =
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1
(120) と求められる.
解析値x¯ai [N ×m]を求めるプロセスは,
x¯ai = ¯xfi +Ki³y0−Hx¯fi´ (121) である.ここでは,線形観測演算子Hのかわりにもともとの非線形の観測演算子H を使うことができる.さらに, この式に(111)を代入して,
x¯ai = ¯xfi +Ef
·
I+³HEf´>R−1HEf
¸−1³
HEf´>R−1³y0−Hx¯fi´
= ¯xfi +EfP˜a³HEf´>R−1³y0−Hx¯fi´ (122) このように変形することで, カルマンゲイン行列を直接求めずとも解析値を求める ができる.
次の初期摂動を作り出すアンサンブルアップデートは, Pai = Eai (Ea)>
= EfiP˜ai ³Ef´>
Ea = EfiP˜ai12 (123)
となり, 新しい初期摂動はP˜ai の平方根で与えられる.P˜ai の平方根は一意ではない が, P˜ai12 が対称になるように選ぶ. ここではP˜a−1を固有値分解することによって P˜ai
1
2 が対称行列になるようにする.
P˜a−1 = I+³HEf´>R−1HEf
= VΛV> (124)
P˜a = VΛ−1V> (125)
(P˜a)12 = VΛ−12V> (126) このように固有値分解を行うことで, アンサンブルアップデートのプロセスは,
Ea = EfiP˜ai12
= EfiVΛ−12V> (127)
で与えられる.
以上より,解析値および初期摂動が求まったので, これをもとに次のアンサンブ ルメンバーxai [N ×m]は,
xai = ¯xai +√
m−1Ea (128)
で与えられ,これを初期値として新たな予報を行う.
アンサンブルアップデートで与えられた初期摂動はm−1次元の空間を張るこ とができる. 一方で, breeding法やSV法で与えられる初期摂動は 1
2(m−1)の次 元しか張ることができず, アンサンブルアップデートで与えられた初期摂動の方が 優位であると言える.