被験者の対面授業とオンライン授業における発言意欲の結果を図10に示す.対面授業とオ
ンライン授業のいずれについても,絶対発言したくない人数は0であった.第5章では発言
意欲を0%から100%まで5段階に分けた.ここでも同様に0%(絶対発言したくない)から
100%(必ず発言したい)まで 5段階に分けており,発言意欲50%以上の人数が半分以上占
めた.被験者の発言意欲が大体に高いといえるだろう.その中に,発言意欲の評価について
「どっちでもいい」と回答する被験者はc,f,jである.「できれば発言したくない」と回答
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する被験者は e と gである.c とjの発言量は後半で増加し,特に j の発言量は多く増加し
た.eの発言量は前後同じで変化がない.そして,実験内容に関する内容では,妨害フィルタ
ーが出る前後に発言意欲の変化と発言頻度の変化に関する結果は図 11と図12に示す.7人
の発言意欲が高まった.9 人の発言頻度が高まった.重畳図の妨害に関する評価の結果を図
13に示す.
図 8 各被験者の発言量
図 9 総発言量 0
2 4 6 8 10 12 14
a b c d e f g h i j
妨害ない 妨害あり
63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73
妨害ない 妨害あり
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図 10 発言意欲
図 11 発言意欲が高まる結果
0 1 2 3 4 5 6
絶対したくない できればしたくない どっちでもいい できればしたい 必ずしたい
オンライン授業 対面授業
0 1 2 3 4 5 6
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図 12 発言頻度を増加する結果 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9
図 13 重畳図の妨害に関する評価 0
1 2 3 4 5 6 7 8 9
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考察
実験の結果により,妨害あり視聴の発言量が通常視聴での発言量より多い結果となったが,
有意差は認められなかった.図10に示したように,被験者10人のうち,発言意欲が75%以
上の人は 5 人で半分を占めていた.つまり,被験者の発言意欲がもともと高かったので,妨
害の有無を問わず発言する人が多かったものと考えられる.一方,発言意欲が低い人(gさ
ん以外)に限ると有意傾向が認められたため,妨害によって発言意欲を高めることができる
可能性が示唆された.また,予備実験の結果より,動画コンテンツの面白さが高い場合には
発言数が多くなる傾向がある.実験中の各被験者のコメント内容では,視聴動画が面白いと
いうコメントがあった.さらに,図 8 の各被験者の発言量の結果では,前半に発言量が多い
が,後半に発言量が 0である人がいる.これは,予備実験に意味のない発言があることと同
様に,学生が嫌悪感や反抗心を持つ表現であると考える.以上が,妨害なしと妨害ありの発
言量に有意差が出なかった理由と考える.
しかし,図11に示すように,視聴妨害を受けたことによって発言意欲が高まった被験者は
10人中7人いた.また,図12に示すように,視聴妨害を受けたことによって発現頻度が高
まったと感じた被験者は10人中9人にのぼっている.このように,客観的な数値としての有
意差は示されなかったものの,被験者の主観的な印象としては視聴妨害によって受動的発言
行為が促進されていることが示されており,提案手法の有効性が示唆された.
本提案システムは一定人数以上からの発言があると妨害フィルターが表示されなくなるよ
うに設定されていた.つまり,妨害フィルターの消える条件は発言自体の数とは関係がなく,
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発言人数が規定値に達しないと全員に視聴妨害する.実験後のアンケートにより,妨害フィ
ルターが出る時,発言すべきである意識が高いため,普段のオンライン授業より,参加意識
を高めることが示唆された.その一方,自分が発言する同時に他の被験者の発言に着目して
しまった.授業内容にの集中力が弱くなったという問題点も存在する.
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まとめ
本研究では,リアルタイムに行われる分散型のオンライン講義を対象として,講義への参
加意識が低い学生の参加意識を高めることを目標として,講義の正常な受講を妨害すること
で学生への講義への参与を強制する手段を考案した.実装したScreenedScreenは,オンライ
ンで配信される講義映像に視聴を妨害する妨害フィルターを重ねて表示し,講義参加者がテ
キストチャット上で一定人数以上発言をしないと妨害フィルターを表示し続け,視聴を妨げ
るシステムである.これにより,講義参加者に強制的に受動的な発言をさせて講義に参与さ
せ,最終的には講義への参加意識を向上させることをねらっている.ScreenedScreenを用い
た実験により,提案手法によってオンライン授業中の受動的発言を引き出す一定の効果を確
認した.
今回の実験では,被験者10人で実験を行ったため,データ数が十分ではない.提案手法の
有効性をより厳密に実証するためには,より多くの人数による継続的な実験が必要であると
考える.そして,本実験に関する感想の自由記述回答では,本システムを起動する前の手数
があるため,システムの安定性と機能に関するコメントがあった.システムの安定化と機能
の充実も必要であると考えられる.また,利用者に嫌悪感や反抗心を与えないようにするた
め,ニコニコ動画の弾幕のような,より面白さを伴う妨害手段を探求したい.
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謝辞
本研究を進めるにあたり,様々な助言やご指導をしてくださった,西本一志教授,高島健
太郎助教に,この場をお借りして心より御礼申し上げます.
本研究をより良いものにするために,本研究におけるゼミにおいての意見や雑談からの意
見を発言してくださった,西本研メンバーの方々に,また他の研究室メンバーの方々に,こ
の場をお借りして心より御礼申し上げます.
ならびに実験参加者は忙しい時間を割いて協力してくれました.誠にありがとうございま
した.
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参考文献
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https://utelecon.github.io/faculty_members/ (2020年8月20日に閲覧)
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