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アメラジアンのアイデンテイティー AASO 卒業生の語 りから一

ドキュメント内 卒業生の語りから 一 (ページ 57-74)

第 1節 調 査 対 象 に つ い て

1‑1. 調査の方法と調査にいたるまで

本章で引用・分析する語りは、 2014年8月から9月にかけておこなった、

AASOでの学校生活を経験し、卒業していったアメラジアンの方々から得られ た半構造化インタビュー調査の結果である。

筆者は、 2014年の1月から2014年12月現在にいたるまで、 AASOにボランティ アスタッフとして受け入れられ、以降、 1〜2ヶ月に1度(滞在時はl〜2週間、

長期休暇時等は3週間〜4週間)の頻度でAASOに訪れ、ボランティアとして業 務をこなしながらフィールドワークの許可を得ることができた。現在も、ボ ランティアスタッフとしてフィールドワークを継続中である。具体的なボラ ンティアスタッフの業務内容として、教材作成や授業補助、 JSLの授業、清掃、

イベント時カメラマン、学童スタッフ、害虫駆除等の雑務をこなしながら教 員、スクール関係者、生徒との聞にラポールを築いていった。また、東京都 でAASOの活動がある際は、補助員として参加した。

インタビ、ュー調査に応じられた語り手のアメラジアンの方々は、主にAASO 校長であるセイヤー・みどりから御紹介を頂いた。また、実際に語り手の方 からも雪だるま方式でAASOの卒業生を紹介して頂くことができた。結果的に、

卒業してまもない方から社会人となって結婚している方まで、 8人のアメラジ アンの方々にインタビ、ュー調査をおこなうことができた。調査対象者のなか には、進学や仕事の関係で東京に出ている方もいた。従って、東京と沖縄の 二箇所で聞き取りをおこなった。

半構造化インタビ、ュー調査で質問した項目は以下の7点である。この7つの 質問を軸に、文脈に応じて枝葉となる部分を聞き取っていった。

①もし、 「あなたは

00

人なのですか?」と聞かれたらなんと答えますか?

②自分のことを説明するときにアメラジアンというカテゴリーを用います か?

③ウチナーグチを意識的に用いた・使い分けた経験はありますか?

④敢えてウチナーグチもしくはエイサーや三味線などの沖縄文化の習い事を 学ぼうと思ったことはありますか?

⑤内地に住んでみたいと思いますか?また、それはなぜですか?

⑥自分がウチナーグチを身につけたと思われる 「場」にどのようなものを思 い浮かべますか?

⑦ウチナンチュとしてのアイデンティティを感じる瞬間はありますか?また それはどういった瞬間ですか?

なお、文中のインフォーマントの名前は全て仮名に変更し、地名などの固 有名詞にも変更を加えている。さらに、聞き取り中は王にノートにメモを取

りながらおこなった。聞き取り場所が主に学校期間中のAASOの一室内でおこ なわれたものが多かったため、ボイスレコーダーが他の子どもたちの関心を 惹き、聞き取りが中断される可能性を考慮し、ボイスレコーダーの使用は控 えた。語りを引用する際、調査対象者の語りの部分は一一一、調査者は〔〕に

t

舌っている。

1‑2.調査対象者のフ。ロフィール

①.トニー(男性)

トニーは1980年代後半、アメリカ人の父と沖縄出身の母のもと沖縄県に生 まれた。姉と兄が1人ずついて、現在は結婚し独立している。また、母子家庭 で、育っている。小学校から卒業までをAASOで過ごし、高校は県内の公立北高 校に進学した。その後、東南アジアの大学に進学し、現在は沖縄で翻訳関係 の職についている。家庭内での言語は日本語と英語が半分ずつを占めている

とし、う。

②.メグ(女性)

メグは1990年初頭に沖縄県東市で生まれ、岡市で、育った。アメリカ人の父 と、沖縄出身の母、兄の4人家族である。父は22歳の頃から沖縄に居住してい る。家庭内では日本語を主な使用言語とするが、メグは父と話す際のみ英語 を用いる。父は「わじわじ〜jなどの簡単なウチナーグチを話すが基本的に は英語話者である63。メグは東市の第一小学校から岡市の第二小学校へ転校し、

中学校は従兄弟がAASOに通っていた影響から母の薦めで同校に入学した。

AASO在籍時には、公立中学の南中学校にも籍を置いていた。AASO卒業後、公 立第四高校を経て、県内の南大学へ進学した。大学卒業後は、半年間ほどア ルバイトをした後、東京に居を移しファッショ ンモデルとして活動している。 メグはAASO卒業生のなかでは未だ少数派の「内地進出組Jとして 「ナイチャ 一」との接触を日々経験している。

③.マイク(男性)

マイクは1990年代初頭にアメ リカ人の父と沖縄出身の母のもと東京で生ま れた。東京でl年半ほど過ごした後、アメリカ西部、アメリカ東部と移動し、

再び日本に戻り、関東、東北と居を移した。マイクが東北にいた頃に両親が

63  ウチナーグチで イライ (する) という意味に近い。

別居し、マイクが小学4年生になる頃に母の実家のある沖縄へと二人の弟たち とともに移動した。以後、東京の大学に進学するため沖縄を離れるまで母と 二人の弟と沖縄に住んでいた。小学4年生で、沖縄に来た時点で、日本語能力は全

くなく、家庭内では全て英語を使用していた。祖父母と話す際は母の通訳が 必要だ、った。小学校卒業までを基地内の学校に通い、中学校はAASOに入学し た。日本語を本格的に学んだのはAASOに入学してからだ、った。また、AASO在 籍時には公立中学校の第五中学に籍を置き、第五中学校で期末テストやイベ ントがある際はAASOから出向いていた。高校は公立の第六高校へ一般入試で 進学し、現在は東京にある私立大学法学部に通っている。

④.スコット(男性)

スコットは、アメリカ軍所属の父と沖縄出身の母との聞にアメリカで生ま れ生後5ヶ月で一家揃って来日した。3歳まで中園地方で過ごし、以降、現在 まで沖縄で暮らしている。家族構成は、父、母、姉の4人家族で、父親との会 話は全て英語である。母と姉との会話は日本語と英語をその時の気分のまま に使い分けている。幼稚園から中学校卒業までAASOで過ごし、県立第七高校 へ進学、大学入学に向けて受験勉強の日々を送っている。マイクはスコット

よりも学年が一つ上だ、がAASO在籍歴はスコットの方が長い。

⑤.エミリー(女性)

エミリーはアメリカ出身の父(黒人)と沖縄出身の母のもと沖縄で生まれ た。父と母は離婚しており、現在は母と姉の3人で暮らしている。調査時の年 齢は10代後半であった。

AASOは保育園から在籍しており 中学卒業までを同校ですごした。現在は、

県内の公立第八高校に推薦入試で合格し在籍している。母は英語が聞くこと はできるがあまり喋れないため、家庭内では主に日本語で話す。姉と話す際 に英語を使う時がある。

インタビューの翌日からアメリカ留学に行くことになっている。

⑥.マリ(女性)

マリは、アメリカ人の父、沖縄出身の母との聞にアメリカ西部の州で生ま れた。2歳までアメ リカで、育った後来日し、東北地方の米軍基地で3年ほど過

ごし、 5歳になる前に沖縄に移った。 以降、現在まで沖縄に父、母、弟と居住 している。④スコットの姉にあたる。マリは保育園に通い始めるようになっ てから家庭では主に日本語を用いるようになり、英語しか話せない父とのコ ミュニケーションが疎遠になる経験をしている。マリの父は東北地方にいた 時に退役しており、沖縄に来る頃には「軍属」という身分で、はなかったが、 軍属時代の友人が偶然にも沖縄の妻の実家周辺でパソコン関係の店を出店し ていたため、共同での経営というかたちで来沖後すぐに仕事をはじめた。

なお、マリは現在は、県内の大学に通っている。

⑦.ジャスティン(男性)

ジャスティンは、アメリカ人の父と沖縄出身の母のもと沖縄で生まれた。

母子家庭で育ち、母とおばと住んでいる。家庭内ではほとんど日本語を話す。

学校はフリースクールの保育園からAASOにすぐに移り、卒業までを過ごした。

高校は県内の公立北東高校に進学している。母の影響でAASO在籍からエイサ ーのダンサーとして活動していたが、現在は休職中である。県内で、アルバイ

トをしている。

③.パーパラ(女性)

ノ〈ーパラは、アメリカ人の父親(黒人)と沖縄出身の母親の聞に沖縄で生 まれた。現在は、母親と、二人の弟、妹と沖縄で住んでいる。家庭内ではほ ぼ日本語を使用し英語を喋る機会はほとんどないという。ノミーパラは幼稚園 から小学校5年生まで北西市の米軍基地内の学校に通い、小学校6年生から中 学校を卒業するまでAASOで過ごした。高校は北西市の公立北西第一高校に推 薦入試で進学し、現在は県内の大学に通っている。

表12 インタビュー調査に応じてくれたインフオーマントの基本情報

名前 性別 年齢 出 生I 出身地 現 在 の 家族 冨 語 AASO 

居 住 地 構成 環 境 在 籍

(家庭 期 間

①  卜ニー 男性 20代後 沖 縄 沖 縄 沖縄 9年 以

②  メ夕、 女 性 20代 前 沖 縄 沖縄 東京 日本語 3

母 、 兄 (父と

は英 語)

③  マイク 男性 10代後 東京 日本 東京 英語 3

(沖縄 弟、弟 日本語

を含

④  スコツ 男性 10代後 アメリ 日本 沖縄 日本語 9年 以

(沖縄 母 、 姉 (父と

を含 は英

⑤  ヱミリ 女 性 10代後 沖 縄 沖縄 沖縄 母 、 姉 ほぼ日 9年以

(アメ 本 語

リカ)

⑥  マリ 女 性 19 沖 縄 日本 沖縄 日本語 8

(沖縄 母、弟 (父と

を含 は英

⑦  ジャス 男性 20 沖 縄 沖縄 沖縄 母、お lまぼ日 9年 以

ティン l 本 語

⑧  』\一−/\ 女 性 19 沖 縄 沖縄 沖 縄 日本語 4

弟、妹

注)名前は全て仮名。年齢、居住地は調査時(2014年8月7日−9月18日)の ものとする。

ドキュメント内 卒業生の語りから 一 (ページ 57-74)

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