アメリカにおけるアスファルト舗装表面の 破損状況の分類および補修工法
3. アスファルト舗装のクラックシーリングとひび割 れ充填材料および補修方法マニュアル
舗装におけるシーリングとひび割れ補修は,一般的 な維持補修作業である。水や非圧縮性の物質の進入を 防ぐため,また,隣接の舗装を補強するために特別の 材料をひび割れの中あるいは上に用いる。現在のひび 割れ処理の設計,施工について,SHRP と FHWA はひ び割れ処理の有効性の調査を進めてきた。ひび割れ処 理のモニタリングと評価は LTPP のもとで行われた。
このマニュアル(FHWA-RD-99-147)は,クラック処理 のタイミングやクラック処理方法および費用対効果等 について示している。
3. 1 ひび割れ処理プログラムの段階および維持修繕 方法の決定
図−11にひび割れ処理プログラムの段階を示す。8 段階あり,これらに従いひび割れ補修を行う。
ひび割れ箇所の補修方法は表−3に示す維持修繕方 法決定のガイドラインに従い決定する。
ここで,ひび割れ処理とひび割れ修繕の違いは,前 者はシーリングや充填により直接ひび割れの処理を することであり,後者は損傷が激しいひび割れをパッ チングで修繕することである。
写真−26は表面処理を行うべき破損状況を示し,写 真−27は横断ひび割れをシーリングするべきである破
損状況を写真−28はひび割れ修繕を行うべき破損状況,
写真−29は縦断ひび割れ箇所を充填すべき破損状況を 示している。
写真−25 ポンピングの一例
1.建設と維持管理記録から再検討する
・施工年数,設計,修繕等
2.舗装機能/ひび割れ調査
・破損の種類,規模の記録
3.ひび割れ状態,頻度に基づいてひび割れた舗装面のため に維持管理の適切なタイプを決定する
・エッジの損傷はないがひび割れ数が多い場合は表面処理
・エッジの損傷はないがひび割れ数が中程度の場合はひび 割れ処理
・ひび割れ数が中程度でエッジの損傷がある場合はひび割 れ修繕
4.ひび割れ処理をシールか充填か決定する
・ひび割れが毎年横断方向に進行している場合はシール
・ひび割れが横方向への変動が少ない場合は充填
5.材料選定とひび割れ処理方法の手順は以下を参考
・気候(乾燥−凍結,乾燥−不凍結,湿潤−凍結,湿潤−
不凍結)
・交通量(多い,普通,少ない)
・利用可能な機材,人員
・費用対効果(予想処理費と性能)
6.材料と機材の入手
7.ひび割れ処理の実施と点検
8.周期的に処理性能を評価する
図−11 ひび割れ処理プログラムの段階
ひび割れ 密度
平均のエッジ損傷レベル(ひび割れ長%)
少(0〜 25) 普通(26 〜 50) 多(51 〜 100)
少 処置なし 処置なしか
ひび割れ処理 ひび割れ修繕 普通 ひび割れ処理 ひび割れ処理 ひび割れ修繕
多 表面処理 表面処理 修繕
表−3 維持修繕方法決定ガイドライン
写真−26 表面処理候補箇所
3. 2 シーリングと充填の目的および選択
ひび割れシーリングは特別な処理材料を水や非圧 縮性の物質の進入を防ぐため,動きのあるひび割れ
(Working cracks:温度変化や交通荷重によって動く ひび割れ。一般的に3㎜以上の動き)中または上に配 置することであり,ひび割れ充填は水の進入を防ぐこ とおよび隣接した舗装の補強のために動きのないひび 割れ(Non-working cracks:温度変化や交通荷重によっ
て比較的小さな動きしか生じないひび割れ。一般的に 3㎜未満の動き)中に一般的な処理材料を充填するこ とである。
ひび割れシーリングは予防的維持管理手法であり,
理想的には,春や秋のように適度な寒さ(7〜18℃)
の時に行うのが望ましい。新しく発生したひび割れ はシールされることによって,エッジの損傷部分(二 次ひび割れ,はがれ)を最小限に抑えることができ る。一般的にアスファルト舗装では横断方向にサーマ ルクラックが施工後2〜7年後に発生するのに対して,
コンクリート版上へのアスファルトオーバーレイでは,
横断方向にリフレクションクラックが1〜3年後に発 生する。
表−4はシーリングまたは充填処理するかの判断基 準を示している。シーリング材,充填材料は,現在,様々 な特性を持ったひび割れ処理材料が市場にでている。
それらの配合と製造プロセスによれば,ひび割れ補 修材料は3系統に分類される。常温型熱可塑性瀝青材 料としてアスファルト乳剤系のリキッドアスファルト とポリマー改質アスファルト乳剤があり,加熱型熱可
写真−28 ひび割れ修繕候補箇所
写真−29 縦断ひび割れ充填候補箇所 写真−27 横断ひび割れシーリング候補箇所
表−4 シーリング,充填の判断基準
クラックの特徴 クラック処理方法
ひび割れシーリング ひび割れ注入
幅,㎜ 5〜 19 5〜 25
エッジの損傷 最小 中程度
(例えばスポール※のような二次ひび割れ) ひび割れ長の 25%以下 ひび割れ長の 50%以下
年間水平移動,㎜ 3㎜以上 3㎜以下
ひび割れタイプ
横断サーマルクラック 縦断リフレクションクラック
横断リフレクションクラック 縦断コールドジョイントクラック
縦断リフレクションクラック 縦断エッジクラック
縦断コールドジョイントクラック 等間隔のブロッククラック
※スポール:初期ひび割れに沿って生じるアスコンのはがれ
塑性瀝青材料としてアスファルトセメント,繊維補強 アスファルト,アスファルトラバー,弾力性アスファ ルトおよびローモデュラスアスファルトがある。熱硬 化性材料としてセルフレベリングシリコンがある。
これらの材料の種類を表−5に示す。また,材料の 特性をまとめたものを表−6に示す。
3. 3 ひび割れシーリング,充填の処理方法
シーリングと充填の処理方法を図−12に示す。図中 の A はフラッシュフィル型という処理方法で,単に材 料をひび割れれに流し込み,余分な材料をこそげ取る ものである。
D,F,H,J および K は溝切り型という処理方法であ る。材料を充填しやすくするため,ひび割れ箇所を溝 切りにしてその中に材料をあふれ気味かまたはわずか に舗装面より低くなるように流し込む方法である。
また,オーバーバンド型という処理方法があり,こ
れは溝切りしていないひび割れの中および上に材料を 流し込み,あふれた材料をスキージ(写真−30参照)
でバンド型に仕上げる方法で,単純バンドエ−ド型と なる。しごき込まずにそのままにしたものが,図中の C のキャップド型となる。
表−5 ひび割れ補修材料の種類
材料種類 仕 様 好ましい適用 費用範囲 $/kg
①アスファルト乳剤 ASTM D 977,AASHTO M 140
ASTM D 2397,AASHTO M 208 充填 0.15 〜 0.30
②アスファルトセメント ASTM D 3381,AASHTO M 20
AASHTO M 226 充填 0.15 〜 0.30
③繊維補強アスファルト 製造メーカースペック 充填 0.35 〜 0.60
④ポリマー改質アスファルト ASTM D 977,AASHTO M 140 ASTM D 2397,AASHTO M 208
充填
(シールも可能) 0.80 〜 1.20
⑤アスファルトラバー ステートスペック,ASTM D 5078 シール
(充填も可能) 0.45 〜 0.65
⑥弾力性アスファルト
ASTM D 1190,AASHTO M 173
Fed SS-S-164 シール 0.55 〜 0.85
ASTM D 3405,AASHTO M 301
Fed SS-S-1401 シール 0.65 〜 1.10
⑦ローモヂュラス弾力性アスファルト ステート修正,ASTM D 3405 スペック シール 0.75 〜 1.40
⑧セルフレベリングシリコン ASTM D 5893 シール 5.75 〜 6.75
表−6 材料種類と特性
特 性 材料種類(表−3,4に対応)
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
応急処置(短期) 可 可 良
早くて簡単 可 良 良 可 良 良 良
短期養生 良 良 良 良 良 可
接着性 良 良 可 可 可 可 可 可
密実性 可 可 可 良
軟化抵抗性(フロー) 可 可 可 良 良
たわみ性 可 可 可 良 良
弾力性 可 可 可 可 良
老化/風化抵抗性 可 可 良
磨耗抵抗性 可 良 可
写真−30 U 型に仕上げるスキージ
材料投入方法はひび割れの中に直接材料を入れる 場合とひび割れを溝切りし,3側面の接着を防ぐよう,
材料投入の前に溝の底に接着防止の裏込め材をおく場 合がある。溝のタイプとしては溝切りしない場合とラ ウターあるいはソーで均一な溝を形成するタイプがあ る。しごき取り,あるいは仕上げの方法はくぼませる,
あふれさせる,ふたをするおよびバンドエード式の4 種類である。溝切りおよびオーバーハンドの寸法はほ ぼ全てのシーリングまたは充填作業はひび割れ溝に直 接材料を流し込むが(図−12の A〜 I),時にはポリウ レタン製の裏込め棒のような接着防止材料がシールす る前に動きのあるひび割れ溝の底に設置される(図−
12の J〜 L)。この裏込め棒はシーリング材が施工の際 に,底面に流れ込むことを防ぐとともに,溝の周辺と 3面で接着しないようにすることにより,シーリング 材の供用性能が良くなる。
3. 4 ひび割れ処理機械性能と特徴
表−7にひび割れ処理機械の特徴を示す。写真−
31〜35にひび割れ処理機械を使用した補修状況を示 す。
3. 5 ひび割れ処理箇所の供用寿命
本論では,損傷などに関して,数多くの評価が行なわ れた。これらの結果を踏まえて,図−13に示す図を活用 して供用寿命を判定することができる。ここでは,ひ び割れ補修後の補修箇所の供用寿命が 75%または 50%
図−12 各種処理方法 A.フラッシュフィル型
材料 ひび割れ
75〜125 ㎜
12〜19 ㎜
38 ㎜
12 ㎜
12 ㎜ 12 ㎜ 12 ㎜
12 ㎜ 38 ㎜
12〜19 ㎜ 3㎜厚
5㎜厚 25 ㎜幅
仕上げ キャップ
裏込め材
裏込め材
裏込め材
裏張り ロッド
裏張り ロッド
裏張り ロッド
裏込め材 裏込め材
裏込め材 25 ㎜
wide
wipe zone 12 to
19mm
12 to
19mm 25mm
35mm 9mm
8㎜厚
(バンドも含む) 35mm
16mm
35mm
16mm 25mm
B.単純バンドエード型 C.キャップド型 D.標準溝切り型
E.標準流し込みバンドエード型 F.深い裏込め−溝切り型 G.深い流し込みバンドエード型 H.浅い裏込め−溝切り型
I.浅い流し込みバンドエード型 J.深い裏込め−空洞型
(裏張りロッド)
K.深い裏込め−溝切り型
(裏張りロッド)
L.深い流し込みバンドエード型
(裏張りロッド)
表−7 ひび割れ処理機械の特徴
操 作 機械の種類 特 徴
クラック カッティング
垂直スピンドル ローター
鋭利なカーバイド(炭素補強)
チップやダイヤモンドローラー ビットのみ仕様
回転式インパクト ローター
鋭利なカーバイド(炭素補強)
チップのみ仕様 ランダム
クラックソー
かなり真っ直ぐなひび割れに 使用
ひび割れ 清掃/乾燥
ブロアー ブラスト速度(60 to 100 m/s)
エアー コンプレッサー
油分,水分フィルター装備 圧力最小 600kPa 流量最小 0.07 ㎥ /s
速度最小 990m/s
ホットエアーランス
速度最小 990m/s 温度最小1,370℃
舗装面に非接触 高性能
速度最小 915m/s 温度最小1,650℃