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つのアイディアの合流に端を発し,その相互作用に よって理解される 。

そして,これらのアイディアが合流したところに司法制度改革審議会という 新たな政策の場が設置され,従来から司法制度改革の必要性を訴えていた佐藤 幸治が会長に就任した。佐藤会長の下で作成された意見書は,規制緩和論とプ ロフェッショナリズムの両方を包含する形で,今次改革を定義し,法曹人口の 大幅増員や法科大学院制度などの改革プログラムを提示した。この意見書は,

後に法案作成の場所として設けられた司法制度改革推進本部にも受け継がれ,

その審議に拘束力を有した。 しかし,意見書は,制度設計の詳細というよりも 方針を示したにすぎず,細部の設計は推進本部を中心とした制度化段階の課題

として残された。そこでは,推進本部事務局や検討会,中央教育審議会,自民

党司法制度調査会がそれぞれ関係し合いながら 1つのシステムを構築していき,

結果として,「プロセスによる姜成」を中心とした新しい法曹選抜・養成制度 の中にいくつかの矛盾が生み出されることとなった。

最後に,本稿の分析の含意と課題を整理しておきたい。第一に,本稿の結論 は法曹選抜・養成制度を超えて,裁判員制度などの他の改革にも適用できるだ ろうか。もちろん,それぞれの改革にはそれぞれの流れがあることを考慮する と,無批判にそれを適用するべきではない。しかし,但木敬ーが指摘するよう に,今次改革が司法試験制度改革の流れの中に端を発するものであるとすれ ば

305),

それを長期にわたりトレースしてきた本稿の分析は,少なくとも改革 のマクロな過程を捉える上で有用であろう。また,本稿では,司法制度改革を

305)  但木 (2009b: 49‑50)参照。

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司法制度改革とアイディアの政治 (2• 完)

めぐるアイディアとして,規制緩和論とプロフェッショナリズムを提示した。

その描写は不十分なものにとどまっているが,他の諸改革が進展してきた過程 を研究する上でも,それらは分析の出発点となるかもしれない。

第二に,本稿は比較政治学などで展開されている「アイディアの政治」枠組 みを採用し,今次改革を説明したが,この理論枠組みは主に方法論の部分で問 題を抱えている

。研究者が「アイディア」という用語を使うとき,その指示対

象は様々だが,ある程度の「自明性」をそこに持たせている。そのとき,アク

ターが程度の差はあれ当たり前のものとして受け入れる前提を,研究者はどう やって知ることができるのだろうか。それがどの程度アクターに影響し,また それが影響を及ぼすメカニズムがどのようなものであるかを,どうやって知る ことができるのだろうか

306)

。この点に関して

,筆者は現時点で明確な答えを

持ち合わせていないが,今後検討していく必要がある。

また,本稿は利益アプローチでは今次改革が説明できないとして,アイディ アアプローチに目を向けたが,利益アプローチがまった<説明力を持たないわ けではない。特に,那須弘平も認めるように

,制度改革の停滞期はむしろアク

ターの利益からの方が説明しやすいかもしれない

307)。実際,アイディアアプ

ローチのさしあたっての課題は,アイディアと利益の関係を模索することであ ろう

。存在論の異なる 2

つの

立場を単純に 1

つの枠組みに統合することは難し いかもしれないが,それぞれの利点と欠点を認識しながら,その相補性を検討

していくことは,重要な理論的課題である

308)

今次司法制度改革に対しては様々な評価がなされてきている

日弁連が法曹 の質の低下への懸念などから方針転換し,司法試験合格者数の増員スピードを 落とすよう求めはじめた一方で

309),

そのような主張に対し規制緩和論的な立 場から批判する者もいる

310)

。今後,

2010

年以降の司法試験の運営方針が決定

306) Campbell  (2008)参照。

307) 那須 (1992: 148)参照。

308) Blyth (2009: 218‑219), della Porta and Keating (2008: 32‑38)参照。

309) 日本弁護士連合会「法曹人口問題に関する緊急提言」参照。 310) たとえば,伊藤 (2008)参照。

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され,法科大学院制度が安定期に入り,また予備試験が実施されはじめれば,

こうした議論はさらに活発になることが予想される。改革後の制度が抱える矛 盾や緊張が,再改革を促すことになるかもしれない311)。この点の当否につい ては稿を改めて検討したい。

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司法制度改革とアイディアの政治 (2•

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