(表9).
坪崎ら 10 ) によると「仕事自体が不規則で,家族 の理解と協力なくしては,看護の仕事は続けにく
3) 得られた情報から,母子の関係性のステージを 中心とした内容について分析を試みた.
5
.用語の定義
・カンガルーケア: 児を母親の乳房の間に抱いて裸 の皮膚と皮膚を接触させながら保育する方法
2).
・ステージ: 本研究では橋本の提唱する発達モデル におけるステージ
15)を指標として用いた.
・関係性: 児の出生時,親は親として生まれ,児の 成長と共に親も育っていき,同時に母子の関係性 は育っていくものであり,「ない」ところから始ま り徐々に発達していくものである
16).
倫理的配慮
日本看護協会「看護研究における倫理指針」を 参考にした.具体的には,対象者に本研究の調査 目的を文書にて説明し同意を得た.得られた情報 は研究者間のみで共有し,個人情報には最善の注 意を払った.
結 果
1.対象の属性( 表1)
富山大学看護学会誌 第6巻2号 2007
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2
.データ分析結果
データは各事例において全KC の回数が異なる 為,それに伴って抽出した場面数も異なった.実 際は,事例A ,F においては
8場面,事例B 及びC では
5場面,事例D ,E ,G については
9場面の 分析を行った.それぞれの場面について〈児の情 報及び母の言動〉〈母子の関係性についての分析
〉の2項目に分け,母子の関係性に焦点を当てた 分析とした.その結果,図3 のように全事例にお いてKC の回数を重ねるごとに母子の関係性は進 展していた.この
7例の関係性の進展を概観する と,順調に関係性が進展する群と,比較的進展が 緩慢であった群に区別することができた.また,
一時的に児が重篤となり,KC を施行できない状 態となった状況において,関係性のステージが後 退するが,KC 再開によって関係性のステージは 速やかに回復することも観察された.この特徴的 な
3点については,その詳細を図4 から
7に示し た.なお,分析と考察で用いた母子の言動の中で も有用と考えられた部分にはアンダーラインを引 いた.
早期産児のカンガルーケアと母子の関係
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7
事例は最短で生後23 日,最長108 日の入院期 間を経て退院したが,表1 のような経過をたどっ ていた.図3 とあわせて考えると,母子の関係性 が比較的緩慢だった2 事例に共通する要因として 在胎週数が短く,児が超低出生体重児であったこ と,および初回KC 開始までの期間が長かったこ とが共通していた.
以上のことから,事例を母子の関係性の進展に おける共通性から前述した3 点の特徴にまとめる と,
1
.KC 施行によるステージの進展が順調であった 事例
2
.ステージの進展が比較的緩慢であった事例
3.児の状態が一時的に重篤に陥ったが回復した 事例
となった.以後この3 点について明らかになった ことを記述する.
1
.KC 施行による関係性の進展が順調であった事 例
表1 から関係性の進展が順調であった
5事例
(C,
D,E ,F ,G) に共通していたことは,初回KC が 出生後20 日以内に実施されたことである.中でも 事例D ,F ,G については特に関係性の進展が顕 著であり,この
3事例は出生後10 日以内にKC を 実施していた.
2
.関係性の進展が比較的緩慢であった事例 図3 より,事例A とB における関係性の進展は 緩慢であったと言える.この
2事例に共通してい
たことは,表1 から分かるように児の出生週数が 在胎30 週未満であり,体重が
1000g未満であっ たこと,さらに初回KC 開始が出生後
30日以上経 過していたことである.
3
.児の状態が一時的に重篤に陥ったが回復した 事例
事例A においては日齢66 日目,事例C では43 日 目に児の状態が一時的に重篤となった.児の状態 が落ち着くまでの間KC は一時中止となった.そ の後児の状態が回復し,事例A では日齢68 日目に,
事例C では59 日目にケア再開した状況を図5 ,6 に 示す.また,これらの事例では表1 に示した矢印 の時点においてKC は一時的に中断され,母子の 関係性は後退した.しかしケア再開に伴いその関 係性は回復していた.KC 再開時における母子の 関係性の分析より,両母親は初回KC 前と同様の 緊張と不安の中で再びケアを行うこととなってい た.
考 察
以上結果より,7 事例の早期産母子の関係性は,
ステージに若干の高低差はあるもののいずれも進 展していたことがわかった.そこで母子の関係性 が進展する過程に影響を及ぼす要因,ならびに
NICUにおける援助の方向性について前述の結果 に対応させながら述べる.
1
.KC 施行による関係性の進展が順調であった事 例
5
事例においては,出生後早期にKC が開始さ れたことが関係性の進展に影響を与えたと考えら れる.つまり,クラウス・ケネルが母子の接触が いかに重要か
17)を述べていることを裏付けている と考えられる.また,花沢の対児感情評定尺度を 用いた母子の関係性に関する笹本ら
8)の先行研究 によると,KC 実施後に母子の関係性が深まった とされている.この結果からも本研究における結 果同様,KC 実施により母子の関係性は進展する ことは明らかと考えられる.
ここで事例D の分析の一部
(図7) を見てみると,
初回KC において緊張した様子は見られたものの,
ケア後の感想では「嬉しくて涙が出た.」「肌のカ サつきやしわの
1本,指の
1本
1本,体の凹凸ま 富山大学看護学会誌 第6巻2号 2007
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