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ものづくり教育およびアイディア創出の実践と評価

4. M2M/IoT のプロトタイプ構築によるものづくり教育システムの提案と実践

4.4 ものづくり教育およびアイディア創出の実践と評価

提案システムによりものづくり教育を実践し,その結果としてものづくりとアイディア 創出の実践結果を述べる。基本構成の構成要素は,3章のM2M/IoTプロトタイプ構築法 に示すとおり,基本構成に基づき,プロトタイピング教育を行う対象者別のM2M/IoTシ ステム構成要素とした。評価は,学生,教師,および第三者による評価を記述する。第三 者評価は,大学教授経験者3名,企業の開発経験者2名から構成されるメンバによるディ スカッションを実施した。

4.4.1情報通信等のIT系学生への実践

大学,大学院の講義および実験研究で実践した。

(1)早稲田大学大学院 国際情報通信研究科

講義および学生実験への適用を行った。講義は,オープンの技術を使ってM2M/IoTシ ステムの構築方法を理解することをテーマに,20名に対して行った。講義を受けた学生 の評価は,M2M/IoTシステムが安価に構築できるため,個人で機器を購入してシステム を作ってみたいという意見が多かった。また,センサー接続などの電気的な技術は情報通 信系の学生には難しいという事前の反応だったが,実際にセンサーからのデータを取得し たり,アクチュエータとしてのLEDランプ点灯やブザー鳴動など動かしたりしたこと で,プロトタイプ作成への意欲が湧いた。さらに研究としてこのうち3名の学生が展開・

実践を行った。学生に対して,M2M/IoTのプロトタイプ構成を示し,この上で,自分の 研究に関わるソフトウェアの実装ができるようになることを目標とした。図4.2の(a)IT 理工系のプロトタイプに,作成した構成を示す。M2M/IoTサーバとM2M/IoTゲートウェ イにおける開発言語は,スクリプト言語のNode.jsで統一し,試行錯誤で自分自身の

M2M/IoTシステムを構築できるようにした。なお,情報通信IT系の学生が苦手とするセン

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サーやアクチュエータについては,HTTPをインタフェースとする標準デバイスとして用 意した。

実際に商用のクラウド環境を使った実験ができ,クラウドサービスの利便性を知ること ができた。また,サンプルソースを書き換えて,自分で工夫した 処理を実装することが できた。さらにスマートフォンを使った遠隔監視などのアイディアを具体的に出すことが できた。ものづくり教育の評価としては,センサーやアクチュエータがプログラム制御で 目に見えた動作をするのが興味深く,プログラム学習にも効果があった。また,センサー からクラウドまでの構成の中で,プログラム処理のゲートウェイとクラウドとの分担や双

カラーLED 気圧,温 度,照度

Raspberry Pi クラウドサービス

Xively/Parse クラウドサービスI/F

Xively/Parse アプリケーション Internet

水耕栽培の環境データ収集と遠隔監視システムなど 構成要素

グラフ アプリ

構築成果: 温度,照度の収集とグラフ化,照度によりLEDランプの明るさを変更 ア イ デ ィ ア の 成 果

ZigBee

新しいアプリ AI分析,ビッグデータ処

理など センサやデバイスの追加

例:Webカメラ,カラーセ ンサ,スマホ 多数のLED

(b) 理工系のプロトタイプ ゲートウェイ処理の追加 例:フィルタリング,ル

ールベース解析など 双方向通信

M2M

Gateway Server/cloud

図4.2 理工系(IT/非IT)の構築成果とアイディア創出成果

LEDランプ

温度,照度 Raspberry Pi ク ラ ウ ド サ ー ビ ス (IaaS)

クラウドサービス I/F

Node.js アプリ Internet

WebSocket アプリ

構築成果: Node.jsアプリによるセンサデータの収集,Websocketを使ったアプリによる

デバイスへの通知

ZigBee

(a) IT理工系のプロトタイプ

M2M

Gateway

Server/cloud

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方向通信ができるようにプロトコルを工夫するなどの,M2M/IoTシステムだからこその システムの仕組みとその実装を学ぶことできた。

アイディア創出の実践結果としては,データ収集やフィードバック制御のための通信プ ロトコルを実装し,その動作実験を通じて,研究のための課題抽出を行うことができた。

さらに,イベント駆動データ収集やルールベース自律制御などの自分のアイディアを実装 し,その実験評価に活用することができた(9)

教師の評価としては,「M2M/IoT全体の理解が深まった」,「研究会等でM2M/IoT研究 の成果をデモすることができて,各自の研究テーマについて説明能力が向上した」,とい う評価であった。第三者からは,プログラムやプロトコルに関する工夫やアイディアを出 すことが,システムにどのように効果があるかを,M2M/IoTの実体験に基づき,習得で きたのではないかという意見が出された。

(2)東京電機大学大学院 理工学部研究科情報学専攻

計算機アーキテクチャ特論(クラウド編)の実習として,クラウドサービスを用いた,

データ収集とデータ可視化の実験演習を行った。実験演習では,M2M/IoTデータをWeb ブラウザ上にグラフ表示させるJavaプログラムを作成させた。これにより,学生は,商 用のクラウドサービスを活用したM2M/IoTシステムの構築方法の基本を学ぶことができ た。教師からは,ものつくり教育として組み込み技術とクラウドサービスを組み合わせた 新しいアプリケーションのアイディアを創出する機会を与える効果があった,との評価で あった。第三者からはこのものづくり教育を通して,クラウドサービスの実用性を習得で きたと評価された。

4.4.2 機械・電気・電子系などの理工系学生への実践

(1)サレジオ高専 機械電子工学科

サレジオ工業高等専門学校で機械電子工学系学生に対して,講義および研究で実践した。

講義は,4年生30名に対して行った。講義を通して,学生の評価としては,センサーか らクラウドに至るM2M/IoTシステムの範囲の広さを理解し,実際にM2M/IoTプロトタ イプを構築したいという反応が多数の結果だった。

図4.2(b)に,研究で実践したものづくりの実践結果を示す。M2M/IoTプロトタイプとし

て,大気圧,温度,照度センサーからのデータをゲートウェイのRaspberry PiにZigBee 無線インタフェースで送り,さらにクラウドサービスへ送信した。逆方向として,ゲート ウェイからクラウドサービスに登録したデータをゲットし,その値の条件によって,

M2M/IoTデバイスに対して,複数のカラーLEDランプの色の変更や,明るさの変更をし

た。ゲートウェイのプログラムは,教育システム用にサンプルアプリケーションを提供し, 学生がそのまま,あるいは適宜変更を加えて使えるようにした。ゲートウェイの表示画面 には,温度,湿度,カラーのセンシングデータを表示し,また,クラウドサービス上に

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は,アップロードしたセンサーデータをインターネットに接続されたパソコン等のWeb ブラウザ画面から見ることができる。

ものづくり教育の評価としては,M2M/IoTデバイス,ゲートウェイ,クラウド,そし てネットワークそれぞれの要素の役割だけでなく,M2M/IoTシステムだからこそ,それ らが連携したシステム全体の動作を理解できた。実際に,ブレッドボードを利用して,セ ンサーやLEDランプから構成される電子回路作成などのものづくり体験やArduinoとゲ ートウェイをつないでグラフ表示やLEDランプ点灯など目に見えた結果が出てくる体験 により,M2M/IoTの仕組みや動きがより具体的に理解できた。

アイディアの実践結果としては,照度によってLEDランプの明るさを変えるM2M/IoT システムをヒントに,従来から行っていた水耕栽培(10)の遠隔制御に適用するアイディア に結びついた。水耕栽培は,カラーLEDを用いた色の変化による水耕栽培の研究だが,

これにM2M/IoTを適用することで遠隔制御,モニタリングができるようになることが期

待できる。学生からは,温度,湿度などの基本的なセンサーや,人感センサー,画像など を活用したアイディアと,それをスマートフォンで集めクラウドに蓄積して,ビニールハ ウスの監視,安全や介護への応用といったアイディアを創出できたとの評価であった。

教師の評価は,普段,機械・電子工学分野を学んでいる学生であり,特別にM2M/IoT 分野を学んでいないが,「学生が学んでいる分野がM2M/IoT技術の活用によって利便性 が向上する」ということを知ることができた,と評価された。M2M/IoTを適用したこと については,M2M/IoTを知らない場合は,遠隔監視という発想に至らないが,M2M/IoT 技術を知った学生は知識の組み合わせによって,付加価値の創造を行うことができた,と 評価された。

第三者の評価は,M2M/IoTプロトタイプの基本構成に沿ってものづくりをしたことで 比較的容易にプロトタイプが完成したこと,センサーからクラウドまでのシステムとして 体験できたことにより,他の応用へのアイディアが創出できたと評価された。

(2)芝浦工業大学大学院理工学研究科システム理工学専攻

大学院学生6名に対してM2M/IoTプロトタイピングの講義を行い,オープンの技術を

使ってM2M/IoTシステムの構成要素と構築方法を理解した。オープンの技術で入手しや

すいH/W部品やオープンのS/Wを活用することで容易に構築できることが理解できた。

大学院生の研究テーマの一環では,M2M/IoTプロトタイプを作成した後,農業におけ るビニールハウスの監視というニーズをヒヤリングし,この解決にM2M/IoTを適用した アイディアをプロトタイプ拡張として形にした。温湿度センサー,ZigBee通信,ゲート ウェイを介してクラウド上に状態を送信し,ビニールハウスの状況を手元のスマートフォ ンなどから監視できるようにした。異常発生時にゲートウェイを介して異常ランプやメー ルで通知できるようにした。教師や学生からも,プロトタイプ構築を通して,M2M/IoT 構成要素や構築方法を理解でき,実装上の課題と解決への発想力を養うことができた,と