ま 上 図 黄 校 本 に 校 語 と い う 形 で 保 存 さ れ て い る
。 し か し な が ら
、 張 元 済 は
、 黄 丕 烈 が 校 勘 作 業 を し た 上 図 黄 校 本 を 見 て い な い の で
、 袁 伯 夔 の と こ ろ か ら 借 り た も の を
「 旧 鈔 本
」 の 原 本 と 見 な し て し ま っ た
。 そ の た め
、 後 世 の 人 々 は 通 行 本 の 後 十 志 の 底 本 に つ い て
、 極 め て 混 乱 し た 認 識 を 持 っ て し ま っ た の で あ る
。
五
、 ま と め
最 後 に
、 今 ま で 述 べ て き た 通 行 本
『 夷 堅 志
』 の 後 十 志 の 底 本 の 諸 説 を 整 理 す れ ば
、 次 の 一 覧 表 の と お り で あ る
。
○ 張 元 済の 説 明 袁 伯 夔本
( 旧 鈔本 の 原 本 黄 丕 烈 の校 語 付
)
通 行 本
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〇 従来 の 認 旧 識 鈔 本 の 原本
=
袁 伯 夔本
上
=
図 黄校 本
通 行 本
○ 筆 者 の考 証 旧鈔 本 の 原本
( 已 佚) 宋 刻 本
耕 煙 草堂 本 上 図 黄校 本
( 本文 は 旧 鈔本 に よ る、 校 語 は宋 刻 本
、草 堂 本 の異 文
) 袁
伯夔 本
( 校語 を 参 考 して 新 た に抄 写
)( 已 佚
)
通 行 本
- 100 -
『 夷 堅 志
』 通 行 本 の 底 本 に つ い て は
、 従 来 の 研 究 者 は 張 元 済 の 説 明 に 依 拠 し
、 安 易 に そ の 底 本 を 黄 丕 烈 所 蔵 旧 鈔 本 の 原 本
、 或 い は 上 図 黄 校 本 と 見 な し て し ま い
、 し か も 通 行 本 に 保 存 さ れ て い る 数 条 の 校 語 を 黄 丕 烈 の 校 勘 作 業 の 結 果 と 考 え た
。 本 章 に お い て は
、 上 海 図 書 館 に 所 蔵 さ れ て い る 黄 丕 烈 校 本 を 基 礎 資 料 と し て
、 そ の 本 文 は 黄 丕 烈 が 旧 鈔 本 に 基 づ い て 新 た に 作 成 し た も の で あ る こ と を 明 ら か に し た
。 ま た
、 そ の 中 に は 宋 刻 本
・ 草 堂 本 の テ キ ス ト も 混 入 さ れ て お り
、 上 図 黄 校 本 に 残 っ て い る 校 語 を 通 じ て
、 黄 丕 烈 の 校 勘 経 緯
、 及 び 残 っ て い な い 旧 鈔 本 の 姿
、 宋 刻 本 と の 異 文 な ど が 確 認 で き る こ と を 指 摘 し た
。 更 に
、 通 行 本 の 底 本 に つ い て は
、 上 図 黄 校 本 と 通 行 本 の テ キ ス ト の 比 較 を 通 し て
、 旧 説 の 旧 鈔 本 の 原 本 或 い は 上 図 黄 校 本 に 基 づ く の で は な く
、 旧 鈔 本 を 底 本 と し て ほ か の 版 本
( 草 堂 本 と 宋 刻 本 な ど
) の 異 文 を 参 考 に し て
、 新 た に 作 成 し た も の と 結 論 づ け ら れ る の で あ る
。 注
( 1
) 周 亮 工
『 書 影
』 巻 二
( 上 海 古 籍 出 版 社
、 一 九 八 一 年
)、 第 五 二 頁
。
( 2
)
『 新 校 輯 補 夷 堅 志
』( 中 文 出 版 社 影 印
、 一 九 七 五
)。
( 3
)
『 新 校 輯 補 夷 堅 志
』、 第 七 三 八 頁
。
( 4
)
『 新 校 輯 補 夷 堅 志
』、 第 三 八 頁
。
( 5
)
『 新 校 輯 補 夷 堅 志
』、 第 七 三 八 頁
。
( 6
) そ れ ぞ れ
『 支 甲 志
』 巻 八
「 晁 氏 蜝 異
」、
『 支 癸 志
』 巻 三
「 柯 山 蛇 妖
」、
『 支 癸 志
』 巻 七
「 九 座 山 杉 蘭
」、 巻 八
「 黄 徳 昭 事 太 宗
」 に あ る
。
( 7
)
『 中 国 古 籍 総 目
・ 子 部
』( 中 華 書 局
・ 上 海 古 籍 出 版 社
、 二
〇 一
〇 年
)、 第 五 冊
、 第 二 一 六 五 頁
。
( 8
) 伊 原 弘
、 静 永 健 編
『 夷 堅 志 の 世 界
』( 勉 誠 出 版
、二
〇 一 五年
) に 収 録
。
- 101 -
( 9
) こ の 抄 本 は 二
〇
〇 二 年 に
『 続 修 四 庫 全 書
』 に 収 録 さ れ て 影 印 公 刊 さ れ た が
、 影 印 時 に 脱 落 し て し ま っ た 黄 丕 烈 の 校 語 が 数 多 く あ る の で
、 注 意 す べ き で あ る
。
( 10
)
『 続 修 四 庫 全 書
』 の 説 明 に よ る
。
( 11
) 中 国 国 家 図 書 館 の 中 華 古 籍 資 源 庫 デ ー タ ベ ー ス に よ る
。
( 12
) 通 行 本 は
「 翹
」 と し て い る が
、 ま た 何 の 説 明 も な い
。
( 13
) そ の 原 因 に つ い て は
、 紙 幅 の 都 合 上
、 稿 を 改 め て 論 じ た い
。
( 14
) 続 修 四 庫 全 書 影 印 本 に は そ の 淡 朱 筆 の 校 語 は 見 え な い
。
( 15
) 上 図 黄 校 本 の 校 語 は
、 誤 字 の 右 側 に 傍 線 を 引 き
、 更 に 天 頭 に 異 文 を 記 録 す る と い う 形 で あ る が
、 こ こ で は 便 宜 上
、「 某 作 某
」 と し た
。
( 16
) 上 図 黄 校 本 か ら 通 行 本 の 底 本
( 袁 伯 夔 本
) に 至 る ま で
、 ほ か の 版 本 と 校 合 を 行 っ て い る の か ど う か
、 例 え ば
、 以 上 に 述 べ た
「 羅 仲 寅 逢 故 兄
」 の 欠 文 を 埋 め た こ と は 誰 に よ っ て 行 わ れ た の か な ど
、 多 く の 問 題 が 残 さ れ て い る が
、 今 後 の 課 題 と し た い
。
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