本研究では,近年問題視されている生活習慣病患者の増加の解消を目的とし,その原因と なるストレスを効率的に解消する画像提示システムを提案した.システムでは,事前に複数 の刺激画像を提示した際の表情,および,リラックス効果のある自然映像を提示した際の時 系列的な表情変化を記録しておく.そしてこの変化に合うように刺激画像を表示する順序・
時間を決定することで,リラックス時と同様の時系列的な表情変化を誘発する.リラックス している際の表情変化をもう一度誘発させることで,意図的にリラックス状態を作り出す ことを目的とした.
被験者10名に対してシステムの評価実験を行うため,ストレスを意図的に負荷させるク レペリン検査を実行し,その後に意図的に並び替えた画像を提示した.その際の心拍を取得 し,心拍変動係数CVRR を計算したところ,8名の被験者において画像提示時の方がリラ ックス状態にあることが明らかとなった.また,クレペリン検査後に,画像をランダムに並 び替え,表示時間も一定にした画像を見せた際のCVRRを計算し,意図的な並び替えを行 った際と比較した.その結果,8名の被験者において意図的な並び替えを行ったほうがリラ ックス効果は高くなるということが明らかとなった.この結果から,同じ画像を利用しても,
画像の並び順序や画像の表示時間を変更することで人間の感情を意図的に誘発することが 可能であるといえる.ストレスを手軽に解消させるシステムは,生活習慣病の予防のみなら ず,うつや不眠症などの心の病気に対しても効果的であるため,このシステムを用いること で快適な日常生活を行えるといえる.
今後の課題として,今回の実験では刺激画像に対してほとんど表情を変えない被験者も いたため,提示する画像を改めて選択する必要がある.また,現在のシステムでは認識でき ないような表情を捉えるため,Eurelian Video Magnificationなどを利用し,表情変化を増大 させることで表情認識精度を向上させることが考えられる.また,現在のシステムではリラ ックス状態の誘発しか行わなかったが,意図的に興奮状態を誘発するなど,ほかの感情を誘 発するシステムを作成していきたい.これが実現すれば,購買意欲を向上させる CM の作 成や,スポーツ前の意図的な興奮状態の提起などが可能になり,様々な分野において活用が 可能であると考えられる.
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謝辞
本研究を進めるにあたり,適切な助言を賜り,また数多くのご指導をしてくださっ た主指導教員である宮田一乘教授に深く感謝します.また,研究に限らず就職活動などの面 でも多くの助言をいただき,時にユニークな玩具などで研究に疲れた心を癒してくださっ た浦正広助教に深く感謝します.
研究や学業の面だけでなく,来たばかりで右も左もわからなかった金沢での生活につい て親身になってアドバイスをいただいた副指導教員の由井薗隆也准教授に深く感謝します.
そして,初めて触れた分野で全く進め方がわからず,途方にくれていた際に適切な助言をい ただいた副テーマ指導教員である神田陽治教授に心より感謝いたします.
宮田研究室の各位には,日頃より沢山の助言をいただきました.眠れぬ夜に趣味の話など を熱く語り合ってくださった北直樹氏,Matthieu Tessier氏に深く感謝いたします.また,研 究がうまくいかない際にお互いに慰めあってくださった王睿氏,Zeng Zhen 氏に感謝します.
そして,研究に疲れた際に持ち前のユニークさで私を楽しませてくださった林千晴氏,城戸 悠里氏に深く感謝いたします.さらに,ゼミなどを通じて有益な助言や精神面の支援をして くださった,蟹江秀俊氏,Wang Hongyu氏,北村勇喜氏,畠山巧幹氏,西澤博大氏,齋藤祐 樹氏に感謝の意を表します.また,疲れを癒すためのゲームやプラモデルなどを山奥まで運 んでくださった Amazon.co.jp とヤマト運輸,辛い研究の中心の支えとなり続けてくださっ た任天堂株式会社に深く感謝いたします.
最後に,本研究の実験に快く協力してくださった被験者の方々に感謝の意を表します.
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