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6.1 考察 

 

 できる限り情報提供者側に負担をかけずに「誰が何を知っているのか」につ いての情報を集め、それをもとに人物推薦を提供するという目的については、

ほぼ達成できたと考えられる。しかしながらメールを読んで返信するだけでも 負担に感じる人も少なからず居るので、負担を軽減する手段については更に考 えていく必要がある。 

 負担であった、負担でなかったという問題とは別に、「良い勉強になった」と いう声も一部で聞かれた。特にM1の実験参加者からは配信した文章の出典に ついての問い合わせが何件かあり、研究を進めていく上でのサーベイの役に立 ったようである。このような、実験に参加することによって得られるメリット を増やし、アピールしていくことも必要であろう。 

 また、今回の実験では最初のデータ収集の段階で推薦を多く受けた人がシス テムによる人物推薦でも多く推薦される傾向が見られた。今後、人物推薦を提 供した結果として一部の人に多くの相談が持ちかけられて負荷が集中するよう な事態になった場合には、負荷を分散するために何らかの手段が必要になるこ とも考えられる。 

 検索結果については、比較的短期間に1000通程度のメールを用いて集め たデータとしては有効な検索結果が得られたと考えている。より価値のある人 物推薦を提供するには個人プロファイルの一層の充実が望ましいが、今回の実 験で配信した量を上回るメールを配信することは負担を増大させてしまう。し

かしながら情報収集にあまり長い期間をかけてしまうと、実験が終了する頃に は初期に収集した情報が陳腐化して価値を失っているといった事態も考えられ る。本来であれば長期的に人物推薦を提供し、常にデータを更新して最新の情 報に保つというやり方が望ましいが、本研究科の博士前期課程の学生は二年間 でほぼ全員が入れ替わってしまうため、長期的な個人情報収集の場には向いて いない。 

 しかし、推薦システムを利用した人からは「意外な人の意外な知識が見つか って面白い」「自分が推薦されるのは嬉しい」などといった意見が聞かれ、個人 情報を利用した人物推薦システムの価値は認識されているといえる。やはり、

出来るだけ短期間で効率よく情報収集を行う手段を今後も検討していく必要が あるだろう。 

 

6.2 結論 

 

 本研究ではナレッジマネジメントの理論、既存のナレッジマネジメント支援 ツール及び Know‑Who マネジメントの理論と実践についてのレビューを行った 上で、Know‑Who マネジメント支援の一つの手法として、人の評判や評価をメー ルを用いて収集し、収集した情報をもとにした人物推薦を提供するという枠組 みを提案した。情報収集と人物推薦については実験と評価を行い、提案した枠 組みの有効性を実証した。 

     

謝 辞

 研究を進めるにあたっては多くの方の力をお借りしたが、まず誰よりも指導 教官の國藤進教授にお礼を申し上げたい。文系出身者で右も左も分からない私 を常に温かく見守り、根気よく指導して頂いたことは感謝に堪えない。

 また、関連性検索エンジンを提供して頂いた金井貴助手のご協力が無ければ 本研究は完成しなかった。金井先生には PC-UNIXの手ほどきまでして頂き、

大変にお世話になった。

  Know-Whoマネジメントの理論面に関しては、副テーマ指導教官の梅本勝博

助教授に数多くの助言を頂いた。この助言があったからこそ、本研究の問題意 識を固める事が出来たと思う。

 副指導教官の藤波努助教授には研究に関連すること以外にも様々なことを教 えて頂いた。良い意味で刺激して頂いたことで視野が広がったと思う。

 本研究は実験に参加して頂いた皆様のご協力があって初めて成立している。

大量のメールに返信し、分厚いアンケートに回答して頂いた皆様のおかげで、

無事に研究を完成させる事が出来た。皆様にはどれだけ感謝しても足りない。

 創造性開発システム論講座の同期である羽山徹彩氏には自らの研究の時間を 割いてブレインストーミングに付き合って頂いた。思考が袋小路に入り込んだ 私を常に新鮮な視点で救い出してくれた事には、大変感謝している。

 頼りになる博士後期課程の先輩方をはじめとする創造性開発システム論講座 の皆様には仮配属の期間も含めて二年間、本当にお世話になった。途中で投げ 出すことなく何とかここまで来られたのは皆様の叱咤激励があればこそである。

 最後に、この歳まで学生生活を送らせてくれた両親にお礼を言いたい。進学 について相談した際に何も云わずに賛成し、物心両面で援助をしてもらったお かげで今の私がある。 

 今までお世話になった全ての人達に、本研究を捧げる。 

     

参 考 文 献 

[1] 緒方広明、古郡延子、金群、矢野米雄『分散型人脈活用支援システム PeCo‑Mediator‑II の 構 築 』 ( 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 、 Vol.80,No.7,pp.1‑10,1997) 

[2] 野中郁次郎、竹内弘高著『知識創造企業』(東洋経済新報社、1996) [3] 徳永健伸『情報検索と言語処理』(東京大学出版会,1999)

[4] 國藤進他『知的グループウェアによるナレッジマネジメント』(日科技連出 版社,2001)

[5] 國藤進、山口高平『ナレッジマネジメントと IT』(人工知能学会誌、

Vol.16,No.1,pp.42-48, 2001)

[6] Sigvald J. Harryson(2000) Managing Know- Who Based Companies, Edward Elgar Pub

[7] ダベンポート・トーマス・H.プルサック・ローレンス著『ワーキング・

ナレッジ』(生産性出版,2000)

[8] 吉田匡志、伊藤雄介、沼尾正行『口コミによる分散型情報収集システム』

第 10 回 マ ル チ ・ エ ー ジ ェ ン ト と 協 調 計 算 ワ ー ク シ ョ ッ プ (MACC2001)2001.11.16-17

[9] 金井貴、斉藤主税、國藤進『文書による情報検索を用いた対話場における 創造性支援』(日本創造学会論文誌,Vol.5,pp.122-132, 2001)

[10] Takashi Kanai, Li Jian,Susumu Kunifuji,  Related Document-based Information Filtering Applied to the Association Model Information Retrieval System.  Fourth International Conference on Knowledge- Based Intelligent Engineering Systems and Allied Technologies, pp.225-228,Aug. 2000

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