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第 3 章 Deep Extreme Learning Machine に基づくチーム戦術の推定 16

3.5 まとめ

3.4.2 実験結果

実験の結果を表3.5に示す.表3.5において,提案手法の全評価指標の平均が 比較の精度を上回っていることが確認されたため,提案手法で用いたDELMの 有効性が確認された. 続いて,定性評価を行う.提案および比較手法を用いて基 本戦術を推定した結果の一部を図3.3に示す.ただし,本実験では,図に示され るチームAの基本戦術を推定している.図より,提案手法が比較よりも正しく基 本戦術を推定可能としていることが確認でき,その結果がGTに最も近くなって いる.具体的には,比較手法は正解がリトリートである区間をフォアチェックや ビルドアップとして多く誤推定しているのに対して,提案手法は正しくリトリー トを推定している.以上のことから,DELMにより,基本戦術の推定精度を大幅 に向上させることを可能とした.

表3.5: 各手法の再現率(Recall),適合率(Precision),およびF値

提案手法 比較手法

基本戦術 再現率 適合率 F値 再現率 適合率 F値 リトリート 0.888 0.853 0.870 0.847 0.860 0.853 フォアチェック 0.807 0.801 0.804 0.759 0.766 0.762 ビルドアップ 0.878 0.889 0.888 0.811 0.854 0.831

速攻 0.747 0.786 0.766 0.769 0.804 0.786

平均 0.830 0.835 0.832 0.797 0.821 0.808

Team A Ground

truth 提案手法

0 50 100 150 200 250 (フレーム)

リトリート フォアチェック ビルドアップ 速攻 Team A

7HDP$

比較手法 Team A

図3.3: 提案および比較手法によって得られた基本戦術の推定結果

いて基本戦術を推定した. 以上により,少量の学習データにおいてもパラメータ が最適化され,従来の基本戦術の推定手法と比較して高精度化が実現された.

第 4 章 チームの戦術の関係性に基づ く制約を導入したチーム戦術 の推定

4.1 はじめに

本章では,チームの戦術の関係性に基づく制約を導入したサッカー映像におけ る基本戦術を推定する手法について述べる.提案手法では,表4.1に示すチーム の戦術の関係性とボールの保持率に着目して基本戦術の推定することで精度の向 上を可能とする.図4.1に提案手法の概要を示す.まず,はじめに2チームそれ ぞれのフォーメーション特徴量を算出する.次に,得られたフォーメーション特 徴量を用いて,前章において提案したDELMのパラメータを学習し,テストに おけるフォーメーション特徴量をそれぞれ構築したDELMに入力することで推 定値を取得する.その後,競い合う2チームの両方が攻撃または守備の戦術にな らないことに着目して,表4.1に基づき2チームの基本戦術の組み合わせを算出 する.最後に,選手とボール位置より算出したボールの保持率からチームがボー ルを保持した区間を算出し,その区間に基づいて基本戦術の組み合わせの更新を 行う.以上により,サッカーの戦術の関係性に基づいて基本戦術を推定すること が可能となり,精度の向上が期待される.本章の最後では,実験により,チーム の戦術の関係性を用いない手法や基本戦術を推定する等の最新手法との比較によ り,チームの戦術の関係性を用いて基本戦術を推定する手法の有効性の確認を行 う.ただし,本章では,3.2と同様に「リトリート」,「フォアチェック」,「ビルド アップ」,および「速攻」の4種類の基本戦術の推定に焦点を当てた.

以降,4.2において,フォーメーション特徴量の算出について述べ,4.3におい

て,DELMに基づく基本戦術の推定値を算出する方法について述べる.その後,

4.4において,チームの戦術の関係性に基づいて基本戦術を補正する手法につい て述べ,4.5において,提案手法の有効性を検証するために,実際のサッカー映 像に手法を適用し基本戦術を推定する実験を行う.

表4.1: 2チームにおける戦術の関係性.Ret,FC,Set,Poss,Swはそれぞれリ トリート,フォアチェック,セットプレイ,ビルドアップ,速攻を示す.

チームA

基本戦術 Ret FC Set Poss Sw

Ret - - - ✓ ✓

FC - - - ✓ ✓

チームB Set - - ✓ -

-Poss ✓ ✓ - -

-Sw ✓ ✓ - -

-テストデータ 基本戦術の推定

DELM(Team A)

サッカー映像 i 前処理

学習データ

入力 出力

入力 入力

推定結果 Ret FCPoss Ret FC Poss

Team A Team BDELM(Team B) フォーメーション特徴量を 用いたDELMの学習

DELMに基づく基本戦術の推定値の算出2チームの戦術の関係性に基づく 基本戦術の組み合わせ算出

Sw

Sw特徴量の算出

Team A 選手 位置 Team B 選手 位置

第一段階第二段階 Team A 選手 位置 Team B 選手 位置

ボール保持率の算出

ボール 位置

ボール保持率を用いた試合状況の変化に 基づく推定結果の更新 1 -10

Team A Team B

l

: フレーム番号 適用前 適用後

l 修正されたフレーム

Team A:Poss

推定結果の修正 Team B:FC

Team A:Ret Team B:Sw

出力 l

基本戦術の変化点 パラメータの設定

lTRACAB image tracking system 特徴量の算出特徴量の算出 特徴量の算出

推定結果 図4.1:提案手法の概要.前処理として特徴量の算出を行う(4.2).提案手法では,2つの段階により構成されている.ま ず,第一段階では,DELMに基づき基本戦術の推定値を算出する(4.3).続いて,第二段階では,チームの戦術の関係性 とボール保持率に基づき基本戦術の推定結果を補正する(4.4).

4.2 前処理:フォーメーション特徴量の算出

本節では,TRACAB image tracking system1により事前に取得した選手位置デー タを用いてフォーメーション特徴量を算出する.フォーメーション特徴量は選手 間の距離や選手の速さ,加速度の大きさ,移動方向などの計111次元の特徴量 により構成される.ただし,フォーメーション特徴量の算出は3.2と同様の手法 で行われる.提案手法では,各チームの選手位置から特徴ベクトルxji R111

i= 1,2, . . . , N;j ∈ {teamA,teamB};Nはサッカー映像の総フレーム数)をそれ ぞれのチームごとに算出する.