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まとめ

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訪日外国人旅行者の獲得に対する3社の対応をまとめると、3社とも訪日外国人旅行者 の獲得に対応できている。

次にキーワード2「多様化・個性化するニーズへの対応」をみていく。

5-1-2.多様化・個性化するニーズへの対応

旅行商品は各社似たりよったりの商品が多く出回る傾向にあり、旅行回数が増えると共 に消費者は旅行慣れし、近年では旅行ニーズが多様化・個性化してきている。そのため、

旅行業者もそれに対応していくことが重要となる。では、多様化・個性化するニーズに対 して、各社どのような取り組みを行っているのかをみていきたい。

まず、JTBをみていく。

① JTB

JTBは分社化により誕生した旅行事業会社群のひとつである地域総合型会社を中心に、

これまで需要が小さかった市場を掘り起こすことで、多様化・個性化するニーズに対応し ている。

例えば、エコツーリズムを取扱うブランド「ファーブル」の展開である。これは、専門 ガイドの案内で自然観察やトレッキングを行うものである。また、団塊世代向け商品とし て、陶芸工房の見学など大人の社会見学を取り入れたプログラム「心ゆく旅~ゆとり世代 のゆったり紀行」や50歳以上を対象とした、語学や文化を学ぶ海外旅行プログラム「悠

遊Study」を販売している。

次に、近畿日本ツーリストをみていく。

② 近畿日本ツーリスト

近畿日本ツーリストは個性化するニーズに対応する商品を、イベント・コンベンショ ン・コングレス(以下ECC)事業本部カンパニーから提供している。ECC事業本部カン パニーは、企業や法人を対象にビジネス・ソリューションを行うことを主な事業内容とし ている。その一環であるツアー&トラベル事業では、スポーツ体験・観戦ツアーや自然体 験・エコツアー、映画プレミアムイベント参加ツアーなど、趣味の旅・こだわりの旅を提 供している。これは企業や法人を主なターゲットとしているが、普通のパッケージツアー では物足りないという個人消費者のために商品提供も行っている。

また、インターネット上では、店舗では売っていない「テーマに沿った旅行」を集めた 旅行サイト「旅コレクト」を展開し、普段なかなか体験することが出来ない旅行の提供も している。

さらに、新設の本社旅行事業創発本部では「メイト」、「ホリデイ」の商品企画部門と仕入 部門を統合し、多様化する顧客のニーズにより迅速に対応できるようにした。事業に特化 することで各事業の特性・専門性を発揮することができ、企業全体の収益拡大が期待でき る。

ECC 事業カンパニーの商品は、これまでの旅行商品とは異なるターゲットを対象とし ているため、他の旅行会社が狙わない顧客を得ることができる。さらに旅行事業で培って きたノウハウを活かし、この分野の既存企業とも差別化することができる。

次にH.I.S.をみていく。

③ H.I.S.

H.I.S.は主力事業である海外旅行事業で、多様化・個性化するニーズに対応している。

例えば、基本挙式パッケージを設け、それにオプションを付け加えることでオリジナル のプランにできる商品を、海外で挙式したいカップルに提供している。他にも、ウィーン 国立歌劇場など海外の有名なコンサートホールへ行く音楽鑑賞ツアー、国立公園や世界自 然遺産へ訪問するエコツアー、列車の乗り降りや車窓からみえる景色の情報提供などきめ 細やかな対応が必要とされる鉄道ツアーを販売している。

④ まとめ

多様化・個性化するニーズへの対応に対する3社の対応をまとめると、3社とも多様化・

個性化するニーズにも対応できている。

続いて、キーワード3「店舗販売の強化」をみていく。

5-1-3.店舗販売の強化

既存旅行会社は、旅行商品の販売を店舗中心に行っている。しかし、インターネットの 普及と共に、ネット上でのみ旅行商品を販売する旅行会社が成長してきた。そのため既存 旅行会社は、ネット旅行会社と差別化するために、店舗販売を強化する必要がでてきた。

ここでは、旅行各社の店舗販売の強化に向けた取り組みをみていきたい。

まず、JTBをみていく。

① JTB

JTBは個人需要の取り込みを強化するため、2003年に首都圏に様々な店舗を開設した。

まず、4月に都市型店舗の実験店として、汐留シティーセンター内にビジネス客用の「ク イックサイト」と30代女性向けの「リゾートサイト」の2つのエリアで構成された店舗

「ビレッジ汐留」を開設した。クイックサイトは迅速性を重視し、立ったまま顧客と向か い合う高めのカウンターを設けた。それに対し、リゾートサイトはカウンターではなく、

ホテルラウンジのようにコンシェルジェ方式専用デスクを設け、相談や申し込みが必要な ときにデスクに向かう仕組みにした。

6 月には旅慣れた個人顧客へ積極的にアピールするため、H.I.S.の旗艦店がある新宿に 海外個人旅行専門店「トラベルデザイナー新宿」を開設した。さらに、8月には50 歳以 上の中高年層や高所得者層をターゲットとした高品質旅行販売強化店舗「ロイヤルロード 銀座」を開設した。この店舗では、豪華ホテルや入手困難なコンサートなど付加価値の高 いツアーの企画・販売している。しかし、財務分析の安全性で述べたが、JTB は建物や 土地などの固定資産を多く所有しており、長期的安全性が悪いため、今後新しい店舗を出

店していくには見極めが必要である。

次に、近畿日本ツーリストをみていく。

② 近畿日本ツーリスト

2008年の事業再編に伴って誕生した「株式会社KNTツーリスト」は、専門販売会社とし て店頭販売事業を担っている。直営店は、ラグジュアリーマーケットに特化した新店舗な ど、店舗コンセプトを明確にした次世代型店舗を展開している。今後さらに量販店やショ ッピングゾーンへの小規模店舗の展開も力を入れていくとしている。このような店舗強化 を行う姿勢は評価できる。

しかし、近畿日本ツーリストは、売上高の減少で、人件費率と減価償却費率が増加して しまっているので、店舗強化のために今以上に人件費を増やすことは、収益性の面からよ くない。これ以上コストを増やすことは避けるべきである。店舗の設立やリニューアルに は、高額な費用がかかるため、成長性・収益性・安全性すべてが思わしくない近畿日本ツ ーリストが取り組むには、リスクが高いといえる。

次にH.I.S.をみていく。

③ H.I.S.

H.I.S.は業界内でこれに最も早く取り組んだ企業である。企業概要で述べたが、1993年

にトラベルワンダーランドという当時国内では最大級の広さを誇る営業所を開設した。店 舗にパッケージツアーや留学、団体、ビジネスセクション、高級旅行などの商品を品揃え し、商品ごとに専門カウンターを設けることで、商品の品揃えの充実と利便性を兼ね備え た営業所として注目を集めた。

また、2004 年に富裕層向けの店舗である銀座ヴィヴァレットも開設している。店舗内 には落ち着いた雰囲気を演出するためにサロンスペースを設け、接客に当たるスタッフは 航空会社の接客研修を受講しているため丁寧な接客を行える。専門カウンターを設けたこ とで、効率よく各方面の情報を得られるようになっている。

④ まとめ

店舗販売の強化に対する3社の対応をまとめると、3社とも対応しているが、JTBと近 畿日本ツーリストは財務的に不安があり、見極める必要がある。

最後にキーワード4「新たな収益源の確保」をみていく。

5-1-4.新たな収益源の確保

近年旅行業界は、テロやSARS、長引く不況、原油価格の高騰などの世相の影響で、収 益が低迷している。また、すでに海外・国内旅行市場は飽和状態であることからも、これ 以上市場を拡大させることは難しいと考えられる。そこで、各社が生き残っていくために

は、旅行事業だけに頼らない新たな収益源を確保することが必要となってくる。旅行事業 以外に収益の柱としているものはあるのだろうか。各社の取り組みをみていきたい。

まず、JTBをみていく。

① JTB

JTBは新たな収益源として、近年イベント・コンベンション事業に力を入れている。

2002 年には、海外からも大勢の人が来場する「愛・地球博」では、これまでのイベン ト業は会場までの送迎のみだったが、来場者への入場券や旅行商品の販売、パビリオンな ど出展催事の運営代行、広告宣伝・販売促進、など幅広く扱った。

2006 年の分社化後はイベント・コンベンション事業を旅行事業会社群のうち機能特化 型会社内に設立したJTB法人東京という子会社を中心に行っている。JTB法人東京は、

企業・学校及び地域社会と旅行者との交流を軸に、旅の持つ様々な可能性を切り口とした 調査・商品開発・広報・販売促進などの幅広いソリューションの提供を目指している。取 り組みの例をあげると、アンチエイジング国際シンポジウム&エキスポ2006といった国 際イベントの開催や、その他にも企業の経費削減のために新商品の発表・周年事業などの イベントや福利厚生代行などにも力を入れている。

以上のように、JTBはイベント・コンベンション専門の部門を設けており、新たな収益 源の確保に対応できている。

次に、近畿日本ツーリストをみていく。

② 近畿日本ツーリスト

旅行業界にとって、薄利多売の低収益ビジネスから脱却することは長年の課題となって いる。旅行大手各社が旅行事業の低迷に悩む中、近畿日本ツーリストはいち早く事業の抜 本的見直しに取り組んだ。2004年4月には「脱総合旅行業」を掲げ、「収益の源泉を、関 係機関の手数料に求めるコミッションだけでなく、お客さまからいただけるようになる」

(『近畿日本ツーリスト』, http://www.knt.co.jp/kouhou/news/05/no01-0104.html,2005 年1月4日)ことを目指した。そして同月末に、有力な収益源だったクラブツーリズムを 売却し、同年1月には新たな事業の柱として法人向けのイベント・コンベンション事業に 重点を置き、ECC事業本部カンパニーを立ち上げた。ECC事業本部カンパニーは、展示 会やセミナーの開催、企業の販売促進活動支援などを手がける。イベント関連の事業は大 手の広告会社が強いが、近畿日本ツーリストは大手が手を出さない小規模の案件をきめ細 かく獲得していくとしている。

先行きに不安を抱える旅行事業に頼らずに、新しい事業であるEEC事業本部カンパニ ーで収益を得ようとしていることは評価できる。

次に、H.I.S.をみていく。

ドキュメント内 1 (ページ 67-98)

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