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まとめ

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 141-162)

第 4 章 VDT 画面の明度条件が作業効率と生理的心理的反応に及ぼす影響(1)

5.4. 考察

5.4.5. まとめ

本 章 で は 、 文 字 と 背 景 の 明 度 差 が 同 一 ( L 値 の 階 調 差 128) と な る 10 条 件 間 に お い て 、 VDT 作 業 効 率 、 疲 労 、 イ メ ー ジ 評 価 に 差 が み ら れ る か 検 証 し た 。 そ の 結 果 、 10 条 件 間 の 作 業 効 率 に 顕 著 な 差 は み ら れ な か っ た が 、 黒 文 字 ( L 値 0) に 対 す る グ レ ー 背 景 ( L 値 127) の 条 件 は 作 業 量 の 向 上 に 適 し て い な い 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 生 理 指 標 の 変 動 と 明 度 条 件 と の 規 則 性 は 見 出 さ れ な か っ た 。 し か し 、 陰 画 表 示 で 背 景 の 明 度 が 最 も 高 い 条 件 ( 白 文 字 :L 値 255、 グ レ ー 背 景 :L 値

127) は 、 WCAG2.0 に 不 適 合 な が ら 疲 労 感 は 最 も 低 く 、 見 や す さ や 読 み や す さ の イ メ ー ジ 評 価 は 最 も 高 か っ た 。 こ の 結 果 か ら 、 文 字 と 背 景 の コ ン ト ラ ス ト 比 4.0:1~ 6.2:1 の 条 件 下 で 、同 一 明 度 差 の 場 合 、 国 際 基 準 へ の 適 合 の 可 否 と 疲 労 感 及 び 主 観 評 価 の 程 度 は 一 致 し な い こ と が 示 唆 さ れ た 。 イ メ ー ジ 評 価 結 果 よ り 、 画 面 の 広 範 囲 を 占 め る 背 景 の 明 度 値 は VDT 画 面 の 機 能 性 や 審 美 性 に 関 わ る 印 象 評 価 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 推 察 さ れ る 。 本 章 で は 、 明 度 差 に 加 え 光 源 色 と し て の 輝 度 差 に も 着 目 し た が 、 高 輝 度 差 の 条 件 が 必 ず し も 生 理 的 心 理 的 反 応 に お い て 高 評 価 と は い え な か っ た 。 本 章 に て 、 同 一 明 度 差 条 件 に お い て も 、 文 字 と 背 景 に よ る 明 度 の 組 み 合 わ せ が 作 業 効 率 と 心 理 的 反 応 に 及 ぼ す 影 響 は 異 な る こ と が 確 認 さ れ た 。 そ の 要 因 に つ い て は 、VDT 作 業 を 構 成 す る 明 度 差 及 び 輝 度 差 以 外 の 因 子 も 踏 ま え た さ ら な る 検 討 が 必 要 と 考 え ら れ る 。

第 2 章 か ら 本 章 ま で の 結 果 を 踏 ま え る と 、VDT 機 器 の 機 能 特 性 と し て の 輝 度 に 加 え 、 作 業 環 境 に お け る 照 度 も VDT 画 面 上 の コ ン ト ラ ス ト を 知 覚 す る た め の 要 素 で あ る 。厚 生 労 働 省 に よ る「 VDT 作 業 に お け る 労 働 衛 生 管 理 の た め の ガ イ ド ラ イ ン 」 で は 室 内 環 境 に お け る 入 射 光 に よ る 照 度 基 準 の み 示 さ れ 、 画 面 上 の 照 度 に よ る 画 面 か ら の 反 射 光 の 許 容 基 準 は 示 さ れ て い な い 。 し か し 、 画 面 か ら の 反 射 光 は 文 字 の 見 え の コ ン ト ラ ス ト に 影 響 す る 因 子 の 一 つ で あ り 、VDT 作 業 の 遂 行 に お い て 十 分 に 配 慮 す べ き 事 項 で あ る 。 本 研 究 に て 検 討 し た 明 度 設 定 値 は 、VDT 機 器 に よ る 輝 度 と 作 業 環 境 に よ る 照 度 と を 介 す る こ と に よ っ て 知 覚 上 の コ ン ト ラ ス ト を 決 定 づ け る 。し た が っ て 、ICT 活 用 コ ン テ ン ツ の 作 成 者 が 適 切 な 表 示 色 を 設 定 す る と と も に 、 利 用 者 及 び 職 場 や 教 育 機 関 の 環 境 衛 生 管 理 者 が 機 器 調 整 及 び 環 境 整 備 を 適 切 に 行 う こ と は 、 VDT 作 業 の 快 適 な 視 環 境 構 築 に 不 可 欠 と い え る 。

現 在 、VDT 機 器 と し て コ ン ピ ュ ー タ 用 デ ィ ス プ レ イ 製 品 の み な ら ず 、 タ ブ レ ッ ト PC と 呼 ば れ る 平 板 状 の 外 形 に タ ッ チ パ ネ ル 方 式 に よ る 文 字 入 力 / 表 示 機 能 を 備 え た 端 末 や ス マ ー ト フ ォ ン 等 の 携 帯 情 報 端 末 が 普 及 し つ つ あ る こ と か ら 、 新 た な VDT 機 器 の 活 用 を 見 据 え て VDT

作 業 ガ イ ド ラ イ ン を 再 検 討 す る 必 要 性 は 高 い と い え る 。 ま た 、 教 育 機 関 を 対 象 と す る VDT 作 業 ガ イ ド ラ イ ン が 示 さ れ て い な い た め 、 職 場 に お け る VDT 作 業 と の 作 業 特 性 の 違 い に 配 慮 し 、ICT 活 用 学 習 に 適 し た 教 育 環 境 を 整 備 す る た め の 指 針 及 び ガ イ ド ラ イ ン の 策 定 が 求 め ら れ る 。

第 6 章

総 括

本 研 究 は 、社 会 の 高 度 情 報 化 に よ り 普 及 し て い る ICT( Information and Communication Technology ) 活 用 に お け る ユ ー ザ ビ リ テ ィ の 向 上 と い う 観 点 か ら 、 視 覚 表 示 端 末 ( VDT: Visual Display Terminal)

画 面 の 文 字 と 背 景 の 明 度 差 条 件 に 着 目 し た も の で あ る 。VDT 作 業 の 遂 行 に お い て 、 画 面 上 の 明 度 差 及 び 配 色 は 視 認 性 や 疲 労 度 に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 報 告 さ れ て い る 。 職 場 に お け る VDT 作 業 の み な ら ず 教 育 機 関 に お け る e ラ ー ニ ン グ 等 の ICT 活 用 学 習 の 導 入 に よ り VDT 機 器 の 使 用 機 会 は 増 加 し て い る こ と か ら 、 電 子 教 材 や ウ ェ ブ サ イ ト の 画 面 上 の 明 度 条 件 に よ っ て は 作 業 効 率 や 生 理 的 疲 労 及 び 主 観 的 疲 労 感 に 影 響 を 及 ぼ し て い る こ と が 推 察 さ れ る 。 そ こ で 、 無 彩 色 の グ レ ー ス ケ ー ル に よ る 文 字 表 示 を 用 い 、VDT 画 面 の 明 度 条 件 が 作 業 効 率 や 生 理 的 心 理 的 反 応 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 し 、 ユ ー ザ ビ リ テ ィ の 向 上 と 疲 労 の 軽 減 に 有 用 な 明 度 差 条 件 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し た 。

ま ず 、 第 2 章 で は 、 男 子 大 学 生 を 対 象 に 、 文 字 よ り 背 景 の 明 度 が 高 い 陽 画 表 示 8 条 件( 条 件 ① ~ ⑧ )を 用 い て 、VDT 画 面 の 明 度 条 件 が 作 業 効 率 、 作 業 負 担 、 主 観 的 疲 労 感 、 画 面 に 対 す る イ メ ー ジ 評 価 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 し た 。明 度 差 は 、HLS カ ラ ー モ デ ル の L 値 の 階 調 差 32 に 設 定 し た 。 条 件 ① ~ ⑧ の 文 字 は 全 て 黒 ( L=0) と し 、 条 件 ① の 背 景 は 最 大 明 度 差 と な る 白 ( L=255) と し た 。 条 件 ② よ り 背 景 の 明 度 値 を 32 ず つ 下 げ 、 条 件 ⑧ は 最 小 明 度 差 の 32 と な る 。 条 件 ①

~ ⑤ の 5 条 件 は 、ウ ェ ブ コ ン テ ン ツ の 国 際 基 準 WCAG2.0 に 適 合 す る 。 実 験 の 結 果 、作 業 効 率 に つ い て は 、8 条 件 間 の 誤 入 力 率 に 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 し か し 、 最 大 明 度 差 の 条 件 ① と 最 小 明 度 差 の 条 件 ⑧ と で は 誤 入 力 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。WCAG2.0 に 適 合 す る 条 件 ①

~ ⑤ の う ち ① の 誤 入 力 率 は 基 準 外 条 件 と の 有 意 差 が み ら れ ず 、 基 準

内 条 件 の 中 で 最 も 誤 入 力 率 が 高 か っ た 。 血 圧 、 心 拍 数 に つ い て は 、 い ず れ の 条 件 に お い て も 作 業 前 と 作 業 後 の 測 定 値 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。CFF 値 変 動 率 に つ い て は 複 数 の 条 件 組 み 合 わ せ に お い て 有 意 差 が 認 め ら れ た 。 本 研 究 で は VDT 作 業 後 に CFF 値 が 概 ね 低 下 す る 傾 向 に あ り 、先 行 研 究 と 一 致 し た 。CFF 値 変 動 率 及 び 自 覚 症 に よ る 疲 労 評 価 に よ り 、 文 字 と 背 景 の 明 度 値 に よ る コ ン ト ラ ス ト 比 が 国 際 基 準 値 4.5: 1 以 上 に 適 合 す る 条 件 は 、画 面 へ の イ メ ー ジ 評 価 に お け る ユ ー ザ ビ リ テ ィ の 向 上 及 び 疲 労 感 の 軽 減 に 有 用 で あ る と い え る が 、 国 際 基 準 に 適 合 す る 条 件 に お い て も 、 低 い 明 度 差 は 疲 労 感 を 増 加 さ せ る 場 合 が あ る こ と が 確 認 さ れ た 。 陽 画 表 示 の VDT 画 面 の 場 合 、 作 業 効 率 の 向 上 及 び 疲 労 の 軽 減 の 点 か ら 、黒 文 字( L 値 :0)対 し て 明 度 差 が 最 大 と な る 白 背 景( L 値 :255)よ り 、背 景 の 明 度 差 を わ ず か に 落 と し た 条 件( 背 景 の L 値 :159~ 223 前 後 )の 方 が 作 業 効 率 の 向 上 に 適 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。 し た が っ て 、 ウ ェ ブ コ ン テ ン ツ や e ラ ー ニ ン グ 教 材 等 の VDT 画 面 を 介 し て 利 用 す る デ ジ タ ル コ ン テ ン ツ の 文 字 表 示 に つ い て は 、 国 際 基 準 へ の 適 合 の み な ら ず 最 大 明 度 差 の 条 件 を 避 け る 等 、 文 字 と 背 景 を 適 切 な 明 度 に 設 定 す る た め の 十 分 な 配 慮 が 求 め ら れ る 。

次 に 、 第 3 章 で は 、 第 2 章 と 同 じ 男 子 大 学 生 を 対 象 に 、 文 字 よ り 背 景 の 明 度 が 低 い 陰 画 表 示 8 条 件 ( 条 件 ① ~ ⑧ ) を 用 い 、 第 2 章 と 同 様 に VDT 画 面 の 明 度 条 件 が 作 業 効 率 、 作 業 負 担 、 主 観 的 疲 労 感 、 画 面 に 対 す る イ メ ー ジ 評 価 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 し た 。 条 件 ① か ら 条 件 ⑧ の 文 字 は 全 て 白 ( L=255) と し 、 条 件 ① の 背 景 は 最 大 明 度 差 と な る 黒( L=0)と し た 。条 件 ② よ り 背 景 の 明 度 値 を 32 ず つ 上 げ 、 条 件 ⑧ は 最 小 明 度 差 の 32 と な る 。条 件 ① ~ ④ の 4 条 件 は 、ウ ェ ブ コ ン テ ン ツ の 国 際 基 準 WCAG2.0 に 適 合 す る 。 実 験 の 結 果 、 作 業 効 率 に つ い て は 、8 条 件 間 の 作 業 量 と 誤 入 力 率 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 血 圧 、 心 拍 数 に つ い て は 、 い ず れ の 条 件 に お い て も 作 業 前 後 の 測 定 値 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。CFF 値 に つ い て は 、全 て の 条 件 に お い て 作 業 後 に 低 下 し た 。 8 条 件 の う ち 6 条 件 に お い て 作 業 後 の CFF

値 が 有 意 に 低 下 し 、 国 際 基 準 に 適 合 す る 条 件 ① と ④ の CFF 値 変 動 率 は 、 国 際 基 準 に 適 合 し な い 条 件 ⑤ 、 ⑦ 、 ⑧ よ り 有 意 に 低 か っ た 。 疲 労 感 に つ い て は 、 明 度 差 が 最 大 の 条 件 及 び 明 度 差 の 低 い 条 件 に お い て 疲 労 評 価 ス コ ア が 増 加 し た 。 画 面 に 対 す る 見 や す さ の イ メ ー ジ 評 価 は 、 条 件 ② が 最 も 高 か っ た 。 第 2 章 の 陽 画 表 示 と 同 様 に 陰 画 表 示 に お い て も 、 文 字 と 背 景 の 明 度 差 が 最 大 と な る 条 件 は 、 見 や す さ 又 は 読 み や す さ の 評 価 に お い て VDT 作 業 の 推 奨 画 面 条 件 と し て 適 し て い な い 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 陰 画 表 示 の 場 合 、 白 文 字 に 対 し て 明 度 差 が 最 大 と な る 黒 背 景 よ り 、 明 度 差 を や や 抑 え た 背 景 の 方 が 作 業 効 率 の 向 上 に 適 し て い る 可 能 性 が 考 え ら れ る 。 国 際 基 準 に 適 合 す る 明 度 条 件 は 作 業 負 担 の 軽 減 に 有 用 と い え る が 、 国 際 基 準 に 適 合 す る 条 件 に お い て も 明 度 差 が 最 大 の 条 件 は 疲 労 感 を 増 加 さ せ る 場 合 が 確 認 さ れ た 。こ れ ら の こ と か ら 、VDT 作 業 に お け る 画 面 上 の 明 度 条 件 が ユ ー ザ ビ リ テ ィ 及 び 生 理 的 心 理 的 反 応 に 与 え る 影 響 は 、 陽 画 と 陰 画 の 表 示 モ ー ド に よ っ て 異 な る こ と が 推 察 さ れ た 。 第 4 章 で は 、 第 2 章 の 陽 画 表 示 と 第 3 章 の 陰 画 表 示 に よ る 作 業 効 率 、 生 理 指 標 に よ る 作 業 負 担 、 主 観 的 疲 労 感 、 イ メ ー ジ 評 価 を 比 較 し 、 陽 画 と 陰 画 の 表 示 モ ー ド が VDT 作 業 に お け る ユ ー ザ ビ リ テ ィ 及 び 生 理 的 心 理 的 反 応 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 分 析 し た 。 そ の 結 果 、 作 業 量 及 び 誤 入 力 率 の 明 度 差 に よ る 変 化 に は 、 表 示 モ ー ド 間 の 有 意 差 は み ら れ な か っ た が 、 陽 画 表 示 で は 、 作 業 量 及 び 誤 入 力 率 と 明 度 差 と の 間 に 有 意 な 相 関 が 認 め ら れ 、 明 度 差 が 大 き い 条 件 ほ ど 作 業 量 が 多 く 、 誤 入 力 率 が 低 い 傾 向 を 示 し た 。 陰 画 表 示 で は 、 作 業 効 率 と 明 度 差 と の 間 に 相 関 は 認 め ら れ な か っ た 。CFF 値 に よ る 疲 労 評 価 に つ い て は 、 陽 画 表 示 で は 、 明 度 差 が 最 大 の 条 件 の 疲 労 度 が 高 か っ た 。 陰 画 表 示 で は 、 最 大 明 度 差 を 除 く 複 数 の 条 件 の 疲 労 度 が 高 か っ た 。 主 観 評 価 に よ る 疲 労 感 に つ い て は 、 文 字 と 背 景 の 明 度 差 が 高 い 条 件 の 場 合 、 陽 画 表 示 の 疲 労 感 が 低 か っ た 。 し か し な が ら 、 明 度 差 が 最 大 と な る 条 件 に 着 目 す る と 、CFF 値 に よ る 疲 労 評 価 は 陽 画 表 示 で 疲 労 度 が 高 く 、 主 観 評 価 は 陰 画 表 示 で 心 理 的 疲 労 感 が 高 い と い う 結 果 に な

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