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まとめ

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 64-69)

またPprimary画像をフィルタ画像として用いた画像処理の応用例として,図6-13にPΔ画像

からPprimary画像を減算した画像(PΔ–Pprimary 画像)を示す。

この補正により,散乱光子成分を取り除いたPΔ画像に対してPΔ–Pprimary画像は骨構造の成 分が抑制されることを明らかにした。これにより,追尾照射などにおいて骨構造と重なりあ った腫瘍や金マーカなどの視認性が向上する可能性が示唆された。

った腫瘍や金マーカなどの視認性の向上に役立つと考えられる。

またシンプルMCシミュレーションでは,任意の物質から放出されたコンプトン散乱光子

のみからPprimary画像を生成することが可能である。よって,本補正法により画像照合に用い

る物質の強調や画像照合の弊害となる物質の抑制がPprimary画像によって同時に可能となるこ とが示唆された。

7 章 結語

本研究では,MVポータル画像およびMVCBCT画像の画質低下の原因となる幾何学的変位 と散乱光子の問題に対して新たな補正法を考案し画質改善することを目的とした。

まず,装置の幾何学的変位の補正のため,幾何学的変位の原因として主に挙げられる重力 によるビーム軸の変位,EPIDの変位,ネジレや傾きの影響を調査し,幾何学的変位測定用フ ァントムと解析ソフトを開発することによりその変位量を測定した。その結果から,ガント リ回転時における幾何学的変位に最も影響する因子がガントリ回転時における EPID の平面 方向及びビーム軸方向の変位であることを明らかにした。

またFDK再構成アルゴリズムをベースとし,EPIDの三次元的変位の補正が可能な三次元 再構成プログラムを開発した。上記のEPIDの三次元的変位量を補正項として追加した結果,

胸部ファントムの MVCBCT 画像(Axial,Sagittal,Coronal 画像)のボケが,視覚的評価,

MTFによる客観的評価によって改善されることを確認した。

これにより,MVCBCTではガントリ回転時におけるEPIDの三次元的変位測定の必要性が 示され,変位の情報を取得するために開発したファントムとその測定法が有用であることが 確認された。また開発した再構成プログラムにおいて,EPIDの三次元的変位の補正アルゴリ ズムが合理的に施行されていることが確認された。

次に,EPIDに入射する散乱光子を補正するため,まず体内から生じる散乱光子のEPIDに 対する寄与をMCシミュレーションにより詳細に解析した。従来のMCシミュレーションは 長時間を要するため,MV 領域の光子の体内における主な相互作用であるコンプトン散乱に 注目したシンプルMCシミュレーションコードを開発し,MC計算時間の短縮を行った。

シンプル MC コードによる計算の信頼性を確認するため,EGS5 とのベンチマークテスト を行った。検出領域にサンプリングされた散乱光子のフルエンスとそのエネルギースペクト ルはEGS5によるシミュレーションと良く一致したことにより,シンプルMCシミュレーシ ョンは散乱光子の解析に有用であることを確認した。また,電子の計算を含めた EGS5シミ ュレーションに対し本手法による計算時間は1/26に短縮された。一方,電子の計算を除いた EGS5 シミュレーションとはほぼ同じ計算時間を要した。開発したシンプル MC コードはマ ルチスレッドを用いた並列計算に対応しているため,GPU実装による更なる高速化が期待出 来る。

シンプルMCシミュレーションによる散乱光子解析データと本研究において考案した補正 法により,MV ポータル画像から散乱光子成分を取り除き,除いた散乱光子は一次光子の状 態に戻して EPID に投影させた。これにより,コンプトン散乱を多く起こした物質の濃度値

を向上させたフィルタ画像が取得されることを明らかとし,MV ポータル画像の濃度分布が 視覚的,客観的に改善することを確認した。画像上において視認可能な構造が増えたことに より,より正確な画像照合の可能性が示唆された。

またこのフィルタ画像は,コンプトン散乱を多く起こした物質を画像上において抑制する フィルタ画像として応用可能であることを明らかにした。胸部のMVポータル画像では,骨 構造抑制フィルタとして活用できたことから,追尾照射などで問題となる骨構造と重なりあ った腫瘍や金マーカなどの視認性の向上に役立つと考えられる。

さらに,本研究において開発したシンプルMCシミュレーションは,任意の物質から放出 された散乱光子のみを一次光子の状態に戻し画像化することが可能である。これにより,画 像照合に用いる物質の強調や画像照合の弊害となる物質の抑制を同時に行うことができる画 像処理の可能性が本補正法から示唆された。

以上より,本研究で考案した幾何学的変位の補正および EPID に入射する散乱光子の補正 が画質改善に有用であることが明らかとなった。

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