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まとめ-ポスト「第 18 回党大会」政治的発展の道

ドキュメント内 Microsoft Word - 季刊 (張執中).doc (ページ 32-39)

本論ではガ バナンスを 中国の国力 、国と社会 関係の研究 チャン ネ

64 張執中・謝政新「課責或究責?-對中國大陸黨政幹部問責制的實證分析」中國研究 年會発表(台北:政治大學東亞研究所、20101218日)、頁12~17。

65 宋濤「行政問責模式與中國的可行性選擇」『中國行政管理』(北京)2007年第2期、

9~13。

ル とみなし、 ガバナンス の四つの指 標から、中 国が推進す る「善 き 統 治」の条件 を検証した 。総体的に みると、中 国の「善き 統治」 を 阻 止する主要 な圧力は、 国家と社会 の関係変化 のプロセス と現状 に よ るものであ る。中国は 、建国以来 、社会は常 に国家に融 合する も のであり、強力な行政の繋がりが効果的に国家全体を組織してきた。

今 日まで、中 国全体には 成熟した多 元的な管理 主体が存在 しない た め 、党国と第 三部門間に よるある程 度の協力や 、或いはこ れによ り 生 じるせめぎ 合いがあっ ても、多元 的で主体的 な独立した 成長を 促 進 で き る と は 限 ら な い 。 中 国 の 学 者 の 観 点 の よ う に 、「 権 威 主 義 」

totaltarianism

)であれ、「全体主義」(

totalism

)であれ、その遺産 は「 中国の特色 ある社会主 義」モデル に、同時に 「後見者 」、「管 理 者」、「保障者」、「幸福をもたらす 者」、「指導者」といっ た様々な役 割 を兼ね具え させるもの であるため 、当面の中 国のガバナ ンスモ デ ル 概念に最も 適している のは、依然 として政府 主導の全体 主義で あ る66。中国が現段階で推進する「ガバナンス」は、相変わらず、一元 化 された枠組 みの中で、 非政府組織 やその他の アクターに 限定的 に 権 利を与え、 社会公共問 題の管理に おいてその 作用を発揮 させる も のである。

この観点は 、中国から すれば、指 導者レベル の考えは、 中国共 産 党 の独占的地 位に対する 異なる改革 ルートの潜 在的影響で ある。 と り わけ、改革 の過程が権 威をより確 固にするか 、或いはそ の脆弱 性 を 拡 大 す る か に つ い て 、 デ イ ヴ ィ ッ ド ・ シ ャ ン ボ ー (

David

Shambaugh

)は、中国が「天安門事件」から今日までに発生した「ソ

連 及び東欧の 政変の波」 や「色の革 命」の主因 を如何にと らえて い

66 燕紀榮「變化中的中國政府治理」『經濟社會體制比較』(北京)2011 年第 6 期、頁 137~138。

る か理解すべ きであると 指摘した。 中国は、前 共産国家の 崩壊の 理 由 を、経済の 悪化、国民 の離脱、自 己否定、信 仰の危機、 民主主 義 の 多元化、党 内分裂と党 内の腐敗、 西側諸国に よる「平和 演変」 の 陰 謀にまとめ 、これが最 終的に共産 党に社会と 改革の指導 的地位 に 対す る自信を喪 失させたと 考え、また 、「色の革命 」をめぐっ ては 、 米国と

NGO

の役割を重視した67。こうした認識の下、中国では、中 国共産党の執政の地位を維持し、「政権運営能力」を向上させること が、ガバナンス及び善き統治の主要な目標となっている。

よって、本 論では、中 国における ガバナンス と善き統治 の発展 は 典型的な転換ではなく、むしろイムレ・ラカトシュ(

Imre Lakatos

) がリサーチプログラム方法論(

methodology of research programme

) で論じた補助的な仮説(

auxiliary hypotheses

)で、改革開放以降提起 している「社会主義法治」、「社会民主主義」が保護ベルト(

protective belt

)となり、その守るべき核心的価値は党国の「政権運営能力」で あ る。中国は 、改革計画 の中でガバ ナンスにお ける責任・ 参与・ 透 明 性を強調し ており、そ のツール的 価値は共産 党統治の維 持にあ る と いうロジッ クの中で、 その目標は 「政権運営 能力」の強 化、つ ま り国家 の役割の強 化にある 。「体制」、「運用」のロジ ックの下 、「ガ バ ナンス」も 「善き統治 」もまだ国 家唯一の公 共管理模範 とはな っ ていない。こうした背景の下、「第

18

回党大会」政治報告では、国 家ガ バナンスと 社会管理に おける法治 と制度の役 割を特に強 調した 。 法治、説明責任、透明性の三者の密接な関係について、習近平も「権

67 Shambaugh, China’s Communist Party, pp. 41~102; 中央編譯局中國現實問題研究中心課 題組「蘇共民主化改革失敗的教訓」薛曉源・李惠斌主編『中國現實問題研究前沿報 告:2006-2007』(上海:華東師範大學出版社、2007年)、頁193~210;王長江『蘇共:

一個大黨衰落的啟示』(鄭州:河南人民出版社、2002年)を参照。

力を制度の檻に閉じ込める」、「一網打尽にする」と強調しているが68、 中 国の権力運 用モデルや 改革によっ て、習近平 時代に「断 裂」が 生 じるか否か、以下何点か観察すべきである。

「第

17

回党大会」から「第

18

回党大会」にかけて、二世代の指 導者は、整然と順序どおりに政治報告の青写真に基づく改革を進め、

当 面の主要な 政権課題は 、民生・参 与・国際社 会とのキャ ッチア ッ プ にかかる要 求からくる ものである と強調した 。しかし、 中国は 自 身 の考えや発 展ロジック による改革 推進を常と しおり、社 会と政 府 ガ バナンスと いう二つの 方向をめぐ る改革ルー トは、政府 の規制 緩 和 、経済成果 、世論コン トロールメ カニズムの 改善を通じ た社会 の 要 求への対応 である。政 治秩序の維 持はすでに 指導者の共 通認識 で あ ることから 、国家指導 と行政の効 率化を通し 、中国は「 手にお え ない安定」69

Unruly Stability

)に身を置きながら、党国体制の理性 化 を達成しよ うとさせて いる。ただ 、中国が直 面する公衆 衛生・ 災 害 、幹部失職 によって露 呈したその 背景にある 問題は、偽 りのガ バ ナ ンスで、そ こで求めら れるのは、 国家の政治 動員能力や 迅速な 危 機 対応策では なく、外部 による監督 能力である 。限られた ルート に 依 存する部分 的改革を如 何にビジョ ンに繋げる か、部分的 改革を 如 何にバランスよく進めるかが今後の焦点となるだろう。

さらに、習近平が後継者に就任し、新たな「八項目」70を提起して

68 「習近平:老虎蒼蠅一起打 權力關進制度籠」『文匯報』(香港)、2013123日、

http://paper.wenweipo.com/2013/01/23/YO1301230001.htm。

69 Andrew G. Walder, “Unruly Stability: Why China’s Regime Has Staying Power,” Current History, Vol. 108, No. 719 (September 2009), pp. 257~263; Dali L. Yang, Remaking the Chinese leviathan: Market transition and the politics of governance in China (Stanford, Calif.: Stanford University Press, 2004).

70 簡素化の調査・研究には、宴会をアレンジしない、中央の名義での会議開催を厳格 にコントロールする、実質的な内容のないニュースは発表しない、一般の出国では

雰 囲気を正し 、前述の「 制度説」や 「一網打尽 」を訴えて も、こ う し た宣言は胡 錦濤以降の それと類似 するもので 、中央の決 議から 各 種 文書・通知 ・規定等、 様々な要件 を欠いてい る。長期間 にわた っ て、中国の改革は社会の要求に応えるだけで、「決定的なダメージ」

を与えられない渦の中を徘徊している。法治面では、「立法法」は法 律 に対する原 則を示して いるが、行 政機関は依 然としてそ の明確 に 列 挙された事 項外に大き な活動空間 を持ってお り、これが 部門と 政 府 の権力拡大 の手段とな っている。 透明化にお いては、情 報公開 の 鍵 となるのは 、やはり各 レベルの政 府の姿勢で ある。各部 門の利 益 考 慮 の 中 で 、 そ の 行 政 管 理 シ ス テ ム は 長 期 に わ た っ て 、「 保 秘 を 原 則 」とする傾 向にあり、 行政機関の 自由な裁量 権と「例外 」の空 間 を 拡大してき た。説明責 任において は、現在の 問責法規の 内容と 運 用 モデルから 、中央が風 紀検査と組 織システム によって、 司法と 立 法 システムの 裏書計画を 主導し、こ れが問責を 党内権力運 用ロジ ッ ク の一部とし ていること が容易に見 てとれる。 参与面では 、公選 が 伝 統的な組織 幹部の任免 モデルを変 化させ、国 民との相互 作用を 強 化 したが、こ れは党内エ リート選出 の一環に過 ぎない。ま た、国 民 の 自薦参戦と は対照的に 、選挙委員 会及び選挙 区に対する 党組織 の 干 渉が、その ハードルを 上げている 。これもま た現在の中 国が「 ガ バ ナンス」と 「良き統治 」を推進す る中で直面 するジレン マを説 明 す るもので、 党国体制下 における「 政権の地位 」の維持と の衝突 を 生んでいる。

健全な公共 ガバナンス 構造と制度 枠組は、国 家と社会の 効果的 な

空港送迎しない、交通管制を減らし、道路を封鎖しない、政治局委員の報道数・文 字数を減らす、個人は原則的に本や題詞を書かない、宿舎・車の手当てにかかる待 遇規定の厳格な実施が含まれる。「中共中央政治局會議 習近平主持」新華網、2012 124日、http://news.xinhuanet.com/politics/2012-12/04/c_113906913.htmを参照。

運 営の基本条 件であり、 ガバナンス の本質は、 政府と国民 が公共 生 活 を共同管理 することで ある。中国 にとっては 、党国体制 下のガ バ ナ ンスは、一 つには「最 も妥当な権 利の放棄」 モデルを如 何に構 築 す るか、二つ には地方ト ップの権限 と地方保護 主義の問題 を「一 つ 一 つ」徹底管 理できるか である。習 李体制にな っても、問 題の核 心 は 依然として 既存の「二 重指導」体 制と「集団 指導」の政 策決定 モ デ ルへの挑戦 にある。張 徳江が全人 代を掌握し 、王岐山が 中紀委 を 指導 する「別々 の管理」の 中で、社会 の「監督 」、「参 与」の 間の 妥 当 な方法を模 索している が、中国が 「良き統治 」をガバナ ンスの 改 革 目標とする 以上、統治 者は最大限 に社会や国 民と協調し て、ガ バ ナ ンス活動が 最大限に認 知されるよ う努めなけ ればならな い。社 会 や 国 民 の 積 極 的 な 参 与 や 協 力 が な け れ ば 、 せ い ぜ い 「 良 い 政 治 」

good government

)にとどまり、「良き統治」とはならないだろう。

将 来の中国の ガバナンス の発展は、 国民意識の 目覚め、自 主精神 と 法治観念の成熟、政府の役割の再定義が必要である。

翻 訳 : 池畑 裕介 ( 文 化大 學推 廣 教 育部 日本 語 専 任講 師)

( 寄 稿 :201364日 、採 用 :2013625日 )

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