第 3 章 アナログ位相器を用いた端末用アダプティブアレー 18
3.4 まとめ
電圧制御可能な位相器を用いたアダプティブアレ ーアンテナのシステムについて検討 を行った。上述の位相器を用いることで受信機の回路規模をおよそ1/(アンテナ素子)に 軽減できる。このシステムにおいて位相器の移相レンジを考慮し 、できるだけ少ない移 相量でアダプティブビームフォミング、ヌルステアリングが行えるようなアンテナ配置 を示した。また、最適ウェイト計算によって得られるウェイトの位相項のみを用いてウェ イト乗算を行う際に、振幅項を無視することで生じるキャンセリングビームの方向誤差 について検討を行った。その結果振幅値、得られたウェイトの位相項によって、第2、第 4素子の位相量をある決まった方向に動かしていくことでずれを補正できる。つまり最 適ウェイト計算後、SNRを最大にするまで位相量を変化させていけばよい。
第 4 章 結論
本研究では、移動体通信における端末用アダプティブアレ ーアンテナシステムについ て検討を行った。近年の端末では小型化、軽量化の傾向があり、これらの端末へのアダ プティブアレ ーの適用の可能性について検討を行った。まず初めに小型端末に搭載可能 にするため、ウェイト計算による回路規模が簡易であるLS-CMAについて検討を行い、
そのプロトタイプを作成した。高速通信での適用を想定し 、その際の最適パラメータの 決定を行い、実装に関する事前知識とした。その結果、ビットレートが20Mbpsの高速 通信においても簡易な構造で約10km/hの移動で生ずるフェージングに対して有効であ ることが分かった。
続いて受信器の構造自体を簡易にするため、ウェイト乗算を電圧制御が可能な位相器 を用いる回路構成を持つアダプティブアレーアンテナについて検討を行った。この構成 により従来の構成と比較すると受信構造がおよそ1/(アンテナ素子数)に軽減することが できる。また新しいアンテナ配置により位相器の移相量の改善を行った。また位相項の みを用いてウェイト乗算を行う際に生じるキャンセリングビームの方向誤差について検 討を行い、振幅値と得られた位相ウェイトより簡単な条件によって、第2、第4素子の 位相量を変化させることで方向誤差が補償できることを示した。
高速通信における移動体端末へのアダプティブアレ ーアンテナの適用について、その 搭載の可能性と有効性を示した。
謝辞
本研究を進めるにあたり,厳しくかつ丁寧に御指導下さった新井宏之教授、市毛弘一 講師に深く感謝致します。
また、研究全般に渡り惜し むことなく御協力を頂いた M2の村松慎太郎氏に深く感謝致 します。
最後に研究生活を共に過ごした新井研究室、市毛研究室の皆様にも深く感謝致します。
参考文献
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[4] Masahiro Murase, Yoshikazu Tanaka, and Hiroyuki Arai ”Propagation and An-teenna Measurements Using Antenna Switching and Random Field Measurements”
IEEE Trans. Vehicular Tech., Vol.43, No.3, pp.537-541, Aug 1994 [5] 新井宏之著”新アンテナ工学” 総合電子出版社, 1996
[6] 菊間信良”Adaptive Signal Processing with Array Anntena” ”科学技術出版, 1999”