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まず、ひずみがどの部分で発生しているのかを確かめるために、複数の画像に対して局所 明度だけを強調した画像、コントラストだけを強調した画像の2 種類を作成した。その結 果、局所明度だけを強調した画像に対してはひずみは全く見られなかった。逆にコントラス トだけを強調した画像は、輪郭付近の部分にひずみが発生していた。これは、コントラスト 成分の強調の割合が局所明度の強調の割合に比べて非常に大きいからだと考えられる。実際 に、コントラスト成分がどのぐらい強調されているのかを増幅関数を出力して調べてみる と、大きいところでは 10倍近く増幅されているところがあった。よって、もともとコント ラスト成分がある程度強い輪郭付近の部分などに対して、大幅にコントラストの強調を行う ことが、ひずみを発生させている。

4.2 ひずみの原因

fs

0 2fs

fs s f

2

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal Signal

Subband Filter

Highpass Filter Lowpass Filter

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal

2:1 Down Sample Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal

(a)

(b)

(c)

(d)

(e)

(f)

(g)

(a):入力信号、(b):低域フィルタの特性と入力信号、(c):高域フィルタの特性と入力信号、(d):低域通過信号、(e):高域通過 信号、(f):信号(d)のダウンサンプル、(g):信号(e)のダウンサンプル

4.1 Waveletの解析の仕組み

次に、コントラスト成分を強調するとひずみが発生する原因をWavelet変換の仕組みに したがって説明する。

図4.1にWavelet変換の解析の仕組みを示す。ここでは、簡単に説明するためにリフティ

ングWavelet変換ではなく、通常のWavelet変換の場合について説明する。図fig:Wavelet 解析の仕組みの入力信号(a)は周波数特性(b)および(c)の低域通過フィルタ、高域通過フィ ルタにより低域通過信号(d)と高域通過信号(e)となる。ここで、理想的なサブバンドフィ ルタであれば、スペクトルは f s2 を境に分離されるはずである。しかし実際のサブバンド フィルタでは、周波数応答がそれほど急峻ではないので、周波数の漏れ込みがありフィルタ リングした際に余分な部分まで残ってしまう。ここで、(d)、(e)において色のついている部

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal 1:2 Up Sample

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal Subband Filter

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal

Lowpass Filtered Signal

Highpass Filtered Signal

Lowpass - Highpass

Signal

(a)

(b)

(c)

(d)

(e)

(f)

(g)

(h)

(i)

(a):サブバンドされた低域信号、(b):サブバンドされた高域信号、(c)(a)をアップサンプルした信号、(d)(b)をアップサ ンプルした信号、(e):低域フィルタの特性と信号(c)(f):高域フィルタの特性と信号(d)(g):低域通過信号、(h):高域通過

信号、(i):出力信号

4.2 Waveletの合成の仕組み

分が余分な部分である。最後に、Wavelet変換ではこれを2:1ダウンサンプルを行う。(d)、 (e)に対してダウンサンプルを行った信号は(f)、(g)となる。ここで(f)、(g)にはダウンサ ンプルを行ってしまったことにより、周波数のもれこみの部分の折り返しが発生している。

しかし通常、この周波数のもれこみの部分の折り返しはWavelet変換の合成の際にキャ ンセルされる。図4.2にWavelet変換の合成について示す。図4.2では分析側から出力され

4.2 ひずみの原因

4.3 9/7Wavelet変換の周波数特性

た低域のサブバンド成分(a)、分析側から出力された高域のサブバンド成分(b)に対してゼ ロ値挿入による1:2アップサンプルを行うと(c)、(d)となる。次にアップサンプルされた信 号は、周波数特性 (e)、(f)を持つ低域通過フィルタ(e)、高域通過フィルタ(f)によりこれ 等をフィルタリングすると、(g)および(h)となる。ここではまだ、周波数のもれこみ部分 の折り返しが残っていることが確認できる。最後に低域成分(g)から高域成分(h)を減ずる ことによって、折り返し部分のキャンセリングが起こり、元の信号(i)を得ることができる。

しかしここで画像強調では、Wavelet変換で分解した信号に対して強調を行っている。図

4.1の(f)(g)に見られる、周波数の漏れ込みによる折り返しの部分に対しても強調を行って

しまっている。これにより、強調された折り返し部分というのは、当然Wavelet変換の合成 側では完全にキャンセリングを行うことができない。この完全にキャンセリングされなかっ た部分が、ひずみとして現れているのである。

つまり、ひずみの発生はWavelet変換で利用しているフィルタの周波数の漏れ込みが原因 である。そこで、今回提案法で使用しているリフティング9/7Wavelet変換のフィルタの周 波数応答について調べてみた。図4.3に周波数特性を示す。図4.3を見れば分かるように、

明らかにリフティング9/7Wavelet変換で使用しているフィルタの周波数特性は急峻ではな い。つまり、フィルタリングを行った際にかなりの部分で周波数の漏れ込みが起こっている ことがわかる。これが原因で再標本化を行ってしまったときにかなり広い部分で折り返しが

-3 -2 -1 0 1 2 3 0

0.5 1 1.5

Frequency ω[rad]

|H(e

ωj )|

highpass

lowpass

-3 -2 -1 0 1 2 3

0 0.5 1 1.5

Frequency ω[rad]

|H(e

ωj )|

-3 -2 -1 0 1 2 3

0 0.5 1 1.5

Frequency ω[rad]

|H(e

ωj )|

highpass

lowpass

4.4 16tapQMF周波数応答

発生してしまい、その部分が合成側でうまくキャンセリングされないのでひずみとなって現 れている。

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