第 4 章 座屈 131
4.1.4 はりの座屈荷重
1 単純ばり
次の梁の座屈荷重Pcrを求めよ.(EI : 一定) P
境界条件 : y(0) =y(`) = 0, y00(0) =y00(`) = 0
p = 0なので「基礎方程式の一般解」=「斉次方程式の一般解」
y(0) = 0 ⇒ 0 = A+a y00(0) = 0 ⇒ 0 = −k2A
y(`) = 0 ⇒ 0 = Acosk`+Bsink`+a+b`
y00(`) = 0 ⇒ 0 = −Ak2cosk`−Bk2sink`
0 0 0 0
=
1 0 1 0
−k2 0 0 0 cosk` sink` 1 `
−k2cosk` −k2sink` 0 0
| {z }
K
A B a b
|K| 6= 0なら(A, B, a, b) = (0, 0, 0, 0) となり「たわみなし」で興味なし.
(A, B, a, b) 6= (0, 0, 0, 0)の解の存在条件は |K|= 0
|K| = −
1 1 0 0
−k2 0 0 0 cosk` 1 sink` `
−k2cosk` 0 −k2sink` 0
=−
1 1
−k2 0
sink` `
−k2sink` 0
= −k2·k2`sink`
|K|= 0 ⇔ k = 0 , sink`= 0
k = 0は,「P = 0 , たわみなし」で興味なし.
sink`= 0 ⇒ k`=nπ (n : 整数) ⇒ k`=
s P
EI` =nπ ⇒P = n2 π2 EI
`2 従って P = π2EI
`2 , 4π2EI
`2 , 9π2EI
`2 , · · · において y= 0でない解が存在する.
この例題の解は y=Bsink`=Bsin nπx
` であることと合わせて,
n = 1 P = π2EI
`2 : 単純ばりの座屈荷重 Pcr
n = 2 P = 4π2EI
`2 : この荷重に達するまでにはりは座屈する.
... 2 固定- 単純支持
次の梁の座屈荷重Pcrを求めよ.(EI : 一定)
-
-- - P
境界条件 : y(0) =y(`) = 0, y0(0) = 0, y00(`) = 0
q = 0 なので「基礎方程式の一般解」=「斉次方程式の一般解」
y(0) = 0 ⇒ 0 =A+a y0(0) = 0 ⇒ 0 =Bk+b
y(`) = 0 ⇒ 0 =Acosk`+Bsink`+a+b`
y00(`) = 0 ⇒ 0 =−Ak2cosk`−Bk2sink`
0 0 0 0
=
1 0 1 0
0 k 0 1
cosk` sink` 1 `
−k2cosk` −k2sink` 0 0
| {z }
K
A B a b
(A, B, a, b) 6= (0, 0, 0, 0) の解の存在条件は |K|= 0 0 =|K| = 1·
k 0 1
sink` 1 `
−k2sink` 0 0
+ 1·
0 k 1
cosk` sink` `
−k2cosk` −k2sink` 0
= k2sink`+ (−k3`cosk`)→tank`=k`
tank`−k`= 0 ⇒ k` = 4.5 くらい(下図) → 単純ばりの場合(k` =π)より座屈しに くい.
−4.00
−2.00 0.00 2.00 4.00
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00
y y=tankl
kl
y=kl
4.5
3 片持ち梁
次の梁の座屈荷重Pcrを求めよ.(EI : 一定)
P
この場合,下図のように固定端の反対側に鏡像のようにたわみ形状を延長させると長さ が2倍の単純ばりと同様に扱える.
2
P
単純ばりの座屈荷重 Pcr = π2EI
`2 から
` → 2` として
問題の座屈荷重 Pcr = π2EI 4`2 4 両端固定
次の梁の座屈荷重Pcrを求めよ.(EI : 一定)
P
* 下図のように座屈する時には,長さが `
2 の単純ばりと同様に扱える.
P / 2
座屈荷重 Pcr = π2EI
` 2
2 = 4π2EI
`2
* 下図のように座屈する時には,長さが `
2 で固定-単純支持の場合と同様に扱える.
/ 2
座屈荷重 P = (4.5くらい)2EI (`/2)2
以上を合わせるとこの時の座屈荷重 Pcr は上の2ケースの小さい方,すなわち 4π2EI
`2 である.
5 一般的な状況での梁の座屈荷重
一般に区間(−π, π)で定義される関数f(x)は f(x) = a0
2 +
X∞ n=1
ancosnx+
X∞ n=1
bnsinnx と書ける(Fourier級数).
係数の決定法
Z π
−πcosnxcosmxdx =
2π (n=m= 0) π (n=m6= 0) 0 (n6=m)
Z π
−πsinnxsinmxdx =
( π (n=m6= 0) 0 (n6=m)
Z π
−πcosnxsinmxdx = 0 から
an = 1 π
Z π
−πf(x) cosnxdx bn = 1
π
Z π
−πf(x) sinnxdx となる.
x= 0からx=`のたわみ形状をx=−`からx= 0の部分に図のように拡張すると,たわ み形状は奇関数となる.奇関数ではai = 0 (i= 0,1,· · ·)である.従って,区間0< x < ` で定義されたf(x)はf(x) =
X∞ n=1
fnsin nπ
` xと展開できる.(Fourier級数の半区間展開) これを用いて次の梁(EI : 一定)の座屈荷重を計算してみよう.
P
q(x)
まず,荷重q(x),たわみy(x)を展開する.
q(x) =
X∞ n=1
qnsin nπ
` x y(x) =
X∞ n=1
ynsinnπ
` x これらは,境界条件
y(0) = 0 , y(`) = 0 y00(0) = 0 , y00(`) = 0
を満たしていることに注意する.これらを,微分方程式EIy0000+P y00 =q に代入すると,
X∞ n=1
yn
nπ
`
2(
EI
nπ
`
2
−P
)
sin nπx
` =
X∞ n=1
qnsin nπx
`
上の式を満たすためには yn = qn
nπ
`
2
EInπ` 2−P
∴ y =
X∞ n=1
qn
nπ
`
2
EInπ` 2 −P
sin nπ
` x
すべてのnに対して,EInπ` 2 6= P ならば係数ynが計算でき,解yを構成することが 可能である.ところが,P → EIπ2
`2 となると|y1| → ∞(q1 6= 0)となり|y| → ∞になる.
この時,Pcr = EIπ`22 である.この座屈荷重は分布荷重が存在しない時の座屈荷重と等し く,分布荷重がある場合でも,分布荷重の無いときの座屈荷重が意味のあることを示唆し ている.
一般に座屈荷重はPcr = γEI
`2 (γ :定数) と書ける.座屈する部材の応力はσ= Pcr
A = γE
`2A/I で ある(A : 部材の断面積).ここで,回転半径 r =
sI
A を導入するとσ = γE
(`/r)2 となる.この
`
r を細長比(slenderness ratio)という.細長比が大きい(ひょろっとしている)ということは σ が小さい,つまり,座屈しやすいということであることがわかる.