第 3 章 M2M インタフェースの最適化
3.1 はじめに
発展を続ける M2M は様々な機器へ搭載され,利用されている.特に,セン サから取得した情報をサーバに送信するシステムでは,センサデバイスの普及 により,より身近な機器への搭載が進んだ.代表的な例では,電気・ガス・水 道等のエネルギー管理分野における検針作業を自動化するM2Mがある.また,
在庫,販売情報を取得する自動販売機,満車・空車情報を管理する駐車場,万 が一に備え機器の異常検出を行うエレベータ向けM2Mがある.最近ではBEMS やHEMSに代表されるビル・家屋の電気使用量監視や,小中規模太陽光発電シ ステムから発電量や状態を通知するシステムにも M2M が利用されている.こ れら情報の伝達には,通信プロトコルの設定が不可欠であり,プロトコルの設 定を行わずしてデータの送受信は行えない.M2Mは,敷設費用が安く済み,よ り遠くへ情報を送受信できる利点がある.また,ワイヤレスであるため移動が 容易で,センサおよび送受信機自体が移動しながら情報を送ることが可能とな る.現在では一部自動車のナビゲーションシステムに搭載され,自車の位置情 報をクラウドと接続して運用されている.M2Mを利用したワイヤレス通信の利 点は,正にこの遠隔への設置や移動体においてある.携帯電話網の成熟と LTE を中心とした通信速度の高速化により通信プロトコルのIP化が進み,アナログ からデジタルへの移行と M2M を含めたスマートフォン,タブレット,クラウ
ドサービスの成長は,よりつながりやすく高速化された新しいサービスを育て ると共に,我が国の生成・流通・蓄積される情報量を加速度的に増大させた.
通信網がブロードバンド化するということは,単位時間あたりに送受信される データ通信コストが下がる.1つ1つのデータは大きくないが,多くの機器がネ ットワークに情報を送る M2M は,ビッグデータとして解析・利用されること で,新しい価値のある情報へと進化する.これら環境の整備と技術の進化によ り,M2Mを使ったサービスの創出が増加している.ビッグデータ流通量の推移 を見ると,2012年の流通量は2005年の5倍となっており,デジタル化された 情報により流通量が増大していることがわかる(表 3-1).ウェアラブルデバイ スやスマートフォンなど携帯デバイスにおけるセンサ類は各種管理・分析とい った領域でも研究が進められており[64],2012 年には RFID や GPS といった M2M系情報の利用がほかと比べて大きく前進している.RFID では2005 年か ら2012年で約9 倍.GPSでは10 倍以上の伸びを示している(図 3-1).この ような RFID,GPS やセンサデバイスを搭載したモバイル端末(図 3-2)や,
人の体に装着するウェアラブル端末もまた,M2Mの発展により拡がるデバイス の1つである.
表 3-1 ビッグデータ流通量推移(メディア別)[65]
(TB)
2005年 2008年 2011年 2012年
アクセスログ 521 1,008 1,566 2,147
Blog、SNS等記事 155 379 721 1,129
電子メール 64,566 121,085 178,501 238,048
気象データ 877 1,958 4,176 6,229
RFIDデータ 64,519 309,559 370,440 583,942 GPSデータ 33,116 104,928 228,801 348,143
Eコマースにおける販売ログ 12 28 50 69
携帯電話 17,765 36,068 56,544 75,881
固定IP電話 38,035 80,958 132,017 178,474 CTI音声ログデータ 2,509 5,662 10,878 15,019
画像診断 71 191 445 630
電子カルテ 227 636 1,032 1,635
業務日誌 1 2 4 6
電子レセプト 2 4 5 7
POSデータ 201,823 371,272 551,026 765,424
経理データ 100 161 234 397
顧客DB 4 7 11 16
出典の引用データには記載がありませんが、各数値は四捨五入された数値です.
したがって,数値の総計は合計値と異なります.(総務省確認済み)
図 3-1 ビッグデータ流通量推移(メディア別)[65]
図 3-2 RFIDと3G,バッテリーを搭載したモバイル計測端末「K-SOK」
0 100000 200000 300000 400000 500000 600000 700000 800000 900000
2005年 2008年 2011年 2012年
(単位:TB)