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ドキュメント内 Microsoft Word - 第3準備( 最終版) (ページ 78-200)

79 ア 辺野古崎・大浦湾の自然生態系

(ア) 地理的特徴

辺野古崎・大浦湾は、沖縄県のうち沖縄島名護市東海岸にあ り、太平洋に面する地区に位置する。同地域は、サンゴ礁が広 がる辺野古崎周辺と外洋的環境から内湾的環境の特徴を持つ大 浦湾が一体となって存在するという極めてまれな地理的特徴を 有する。そして、辺野古崎周辺のサンゴ礁には、準絶滅危惧種 に指定されているリュウキュウスガモ、ベニアマモなど7種の 海草の藻場が安定的に広がっている。辺野古崎に隣接する大浦 湾は、全体的に水深が深くなっているが、湾奥は、海底が砂れ きから泥へと移り変わり、水深が深くなるスロープラインに沿 ってユビエダハマサンゴの大群集が分布する。平成 19 年9月 には、大浦湾の東部に高さ 12メートル、幅 30 メートル、長さ 50 メートルの広範囲にわたる絶滅危惧種のアオサンゴ群落(チ リビシの青サンゴ群集)が発見された。湾奥の大浦川や汀間川 の河口付近には、オヒルギやメヒルギといった大規模なマング ローブ林や干潟が広がっている。さらに、辺野古崎と大浦湾の 接点である大浦湾西部の深部には、琉球列島では特異な砂泥地 が広がっている。

(イ) 生態系の特徴

環境省 は、絶滅 の恐 れのある野 生生物(動植物 )につい て、

「レッドリスト」を作成し公表している。レッドリストでは、

絶滅危惧のカテゴリーとして、要保全性の高い順に、絶滅寸前

(CR)、絶滅危惧(EN)、危急(VU)の3区分に分類している。

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辺野古崎・大浦湾は、レッドリストの中でも最も要保全性の 高い絶滅危惧IA類(CR)に指定されているジュゴンの生息 域のほぼ中心に位置し、海草のみを餌とするジュゴンの生息に は欠かせない餌場となっている。同地域のサンゴ礁には、沖縄 に生息するカクレクマノミなど6種のクマノミ全てが観察され るなど魚類が豊富に生息し、絶滅危惧Ⅱ類(VU)のエリグロ アジサシなど渡り鳥の生息地ともなっている。公益財団法人世 界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が平成 21 年に行 った調査では、大浦湾においてわずか1週間の調査で 36 種の 新種及び国内初記録の 25 種の十脚甲殻類(エビ・カニ類)な どの生息が確認されるなど、生物学的にも貴重な地域である。

河口部のマングローブ・干潟には、トカゲハゼなどの魚類のほ か、ミナミコメツキガニといった甲殻類、シマカノコ、マング ローブアマガイなどの底生生物などレッドリスト掲載の生物が 多数生息している。さらに、大浦湾西深部の砂泥地は、詳細な 生息地が知られていなかったオキナワハナムシロや新種の甲殻 類など特異的な生物群と希少種が分布するなど、サンゴ礁の発 達する琉球列島の中にあって極めて特異な生物相を有する。

(ウ) 辺野古崎・大浦湾が自然環境の重要性

豊かな自然環境を有する辺野古崎・大浦湾は、沖縄県の「自 然環境の保全に関する指針(平成 10 年)」により、沿岸地域の 大部分が、評価ランクⅠとして、自然環境の厳格な保護を図る 地域とされてきた。また、同地域は、レッドリスト掲載種を多 数育むなど生物多様性の見地から保全上の配慮をすべき地域と

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して平成 13 年に環境省により「日本の重要湿地 500」に選定 されている。さらに、海洋生物多様性保全戦略(環境省;平成 23 年)の「海域の特性を踏まえた対策の推進」の記述において は、「藻場、干潟、サンゴ礁などの浅海域の湿地は、規模にかか わらず貝類や甲殻類の幼生、仔稚魚などが移動分散する際に重 要な役割を果たしている場合があり、科学的知見を踏まえ、こ のような湿地間の相互のつながりの仕組みや関係性を認識し、

残された藻場、干潟やサンゴ礁の保全、相互のつながりを補強 する生物の住み場所の再生・修復・創造を図っていくことが必 要である」とされ、その重要性が強調されている。「生物多様性 国家戦略 2012-2020」においては、ジュゴンについて、「引き 続き、生息環境・生態等の調査や漁業者との共生に向けた取組 を進めるとともに、種の保存法の国内希少野生動植物種の指定 も視野に入れ、情報の収集等に努めます」とされ、その保全が 急務となっている。

ジュゴンの保護は国際的な関心事となっており、国際自然保 護連合(IUCN)においては、平成 12 年、平成 16年に次い で平成 20年のバルセロナ総会でも「2010 年国連国際生物多様 性年におけるジュゴン保護の推進」が決議されている。

(エ) ラ ム サ ール 条 約 登 録湿 地要件 を充た す国 際 的 に重 要な 湿 地 であること

埋立予定地である大浦湾に注ぎ込む大浦川及び河口域は平成 22 年9月 30日時点で環境省によりラムサール条約湿地潜在候 補地として選定されている。ラムサール条約(「特に水鳥の生息

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地として国際的に重要な湿地に関する条約」)は、干潟をはじめ とする湿地保全の重要性が国際的に認識されたことから、昭和 46 年に採択され、以後、湿地の保全は国際的な課題となってい る。日本は昭和 55 年にラムサール条約を批准し、現在の日本 における同条約登録湿地の数は、46 か所となっている。ラムサ ール条約は、その名が示すとおり、かつては水鳥の保護を中心 とした条約であったが、現在では広く湿地の保護を目的とする ものとなっている。登録湿地の基準については、現在は9の基 準が示されており、そのいずれかに該当すれば登録湿地の要件 を充たすものと評価される。我が国においては、「国際的に重要 な湿地であること(国際的な基準のうちいずれかに該当するこ と)」、「国の法律(自然公園法、鳥獣保護法など)により、将来 にわたって、自然環境の保全が図られること」、「地元住民など から登 録への賛意が 得られ ること」が登 録基準とされており 、

「国際的に重要な湿地であること」の要件については、環境省 が平成 13年 12 月に選定した「日本の重要湿地 500」から登録 湿地がほぼ選定されるという方法が採られている。辺野古崎・

大浦湾については、上記のとおり重要湿地 500 選に含まれてい る。また、ラムサール条約登録湿地の国際的な基準に照らして も、環境省レッドリストにおいて絶滅危惧種IA類(CR)の ジュゴンの生息地となっていること(基準1) 、アマモ類の大 きな群落による藻場が形成されていること(基準8)、大浦湾に ついても、「日本の重要湿地 500」への選定理由とされている、

危急種である底生生物が多く生息することやマングローブ林の

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前後に存する水溜まりに止水性昆虫の種の多様性が高いことか ら、優に「国際的に重要な湿地」の要件は充たしていることと なる。このように、辺野古崎周辺の海域は、ラムサール条約締 結のための基準を優に充たしているものであり、国際的に重要 な湿地であることは明らかである。

(オ) 陸域生物の重要性

陸域については、辺野古ダム周辺から土砂が採取され森林が 改変される計画となっているが、当該区域には国指定天然記念 物であるカラスバト等の重要な種が多数確認され、植生はリュ ウキュウマツ群落等から沖縄島北部の極相林であるイタジイ群 落への遷移の過程にあり、環境保全指針においてその大部分が

「自然環境の保護・保全を図る区域」であるランクⅡと評価さ れる区域である。

イ 辺野古崎・大浦湾に生息する希少生物等の価値 (ア) ジュゴン

ジュゴンは西太平洋からインド洋の熱帯及び亜熱帯の浅海域 に生息している。一般に生息には水温と気温が 20 度以上の環 境が必要とされており、西太平洋における分布域では、沖縄県 の周辺海域が北限にあたる。ジュゴンの分布は広い範囲に及ぶ が、生息域が不連続であるため、それぞれの集団(個体群)が 地域固有のものであると考えられている。

日本におけるジュゴンの分布域は、鹿児島県の奄美大島以南 と考えられていたが、近年、ジュゴンの目撃例は沖縄本島の周 辺海域に限られている。

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ジュゴンは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドデータブ ックによると、「絶滅種」「野生絶滅種」「絶滅危惧種」「準危急 種」(野生状態で中期的に絶滅する危険を孕んでいる種)に分類 されており、世界の多くの場所で捕獲禁止とされている。日本 哺乳類学会は、沖縄ジュゴンについて、個体数が 50 頭未満で あるとの判断のもとに IUCN 基準上の「近絶滅種」(近い将来 に高い確率で野生では絶滅に至る危機にある種)に相当する「絶 滅危惧種」に指定している。また、水産庁の「日本の希少な野 生生物に関するデータブック」でも、同じく「絶滅危惧種」に 指定されている。

このように、ジュゴンは、最も絶滅が危惧される生物の一つ として、その保全の必要性は極めて大きい。

(イ) 海草藻場

辺野古から宜野座松田までの礁池内には、「絶滅のおそれのあ る野生生物の種のリスト-植物Ⅰ(維管束植物)」(レッドリス ト)において、準絶滅危惧種に指定されているボウバアマモ、

リュウキュウアマモ、リュウキュウスガモ等で構成される海草 藻場が広がり、環境省が「日本の重要湿地 500」として選定し ている。

水底で、海草類が群落状に生育する場所をいう海草藻場は、

国の天然記念物に指定されているジュゴンの餌場であることは もとより、水質を浄化する機能や底質を安定化する機能をもっ ており、生物の繁殖場、生育場としての重要性があることも知 られている。こうしたさまざまな機能により、海草藻場は、微

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