レイヤー
1
は、ネットワーク構成要素が手の加えられていないデー タを、媒体を介して送受信するための方法を定義する、OSIモデル 内の基盤レイヤーです。レイヤー1
プロトコルとして良く知られるも のに、SONET/SDHおよびイーサネットがあります。以下の例ではSONET
を使用していますが、ここで示す方法はどのレイヤー1
技術にも適用できます。
第5章:レイヤー1およびレイヤー2の監視およびトラブルシューティング 57
以 下 に
SONET
インタフェース に 対して 実 行したshow interfaceextensiveコマンドの出力サンプルを示します。注目すべきセクション
は太字で表示しており、出力サンプルの後に説明します。
ps@dunkel-re0> show interfaces so-2/0/0 extensive Physical interface: so-2/0/0, Enabled, Physical link is Up Interface index:162, SNMP ifIndex:154, Generation:163
Link-level type:PPP, MTU:4474, Clocking:Internal, SONET mode, Speed:OC12, Loopback:None, FCS:16, Payload scrambler:Enabled
Device flags :Present Running
Interface flags:Point-To-Point SNMP-Traps Internal:0x4000 Link flags :Keepalives
Hold-times :Up 0 ms, Down 0 ms
Keepalive settings:Interval 10 seconds, Up-count 1, Down-count 3 Keepalive statistics:
Input :0 (last seen: never) Output:0 (last sent: never) LCP state:Opened
NCP state:inet:Opened, inet6:Not-configured, iso:Not-configured, mpls:
Not-configured CHAP state:Closed PAP state:Closed
CoS queues :8 supported, 8 maximum usable queues Last flapped :2010-01-19 11:49:06 PST (1d 02:43 ago)
Statistics last cleared:2010-01-20 14:32:52 PST (00:00:02 ago) Traffic statistics:
Input bytes : 192 760 bps Output bytes : 89 808 bps Input packets: 4 1 pps Output packets: 1 1 pps IPv6 transit statistics:
Input bytes : 0 Output bytes : 0 Input packets: 0 Output packets: 0 Input errors:
Errors:0, Drops:0, Framing errors:0, Runts:0, Giants:0, Bucket drops:0,
Policed discards:0, L3 incompletes:0, L2 channel errors:0, L2 mismatch timeouts:0, HS link CRC errors:0, HS link FIFO overflows:0
Output errors:
Carrier transitions:0, Errors:0, Drops:0, Aged packets:0, HS link FIFO underflows:0, MTU errors:0
Egress queues:8 supported, 4 in use
Queue counters: Queued packets Transmitted packets Dropped packets 0 best-effort 2 2 0 1 expedited-fo 0 0 0 2 assured-forw 0 0 0 3 network-cont 2 2 0 SONET alarms :None
SONET defects :None
SONET PHY: Seconds Count State PLL Lock 0 0 OK PHY Light 0 0 OK SONET section:
BIP-B1 0 0
SEF 0 0 OK
LOS 0 0 OK
LOF 0 0 OK
ES-S 0
SES-S 0
SEFS-S 0
SONET line:
BIP-B2 0 0 REI-L 0 0 RDI-L 0 0 OK AIS-L 0 0 OK BERR-SF 0 0 OK BERR-SD 0 0 OK
ES-L 0
SES-L 0
UAS-L 0
ES-LFE 0
SES-LFE 0
UAS-LFE 0
SONET path:
BIP-B3 0 0 REI-P 0 0 LOP-P 0 0 OK AIS-P 0 0 OK RDI-P 0 0 OK UNEQ-P 0 0 OK PLM-P 0 0 OK
ES-P 0
SES-P 0
UAS-P 0
ES-PFE 0
SES-PFE 0
UAS-PFE 0
Received SONET overhead:
F1 :0x00, J0 :0x00, K1 :0x00, K2 :0x00 S1 :0x00, C2 :0xcf, C2(cmp) :0xcf, F2 :0x00 Z3 :0x00, Z4 :0x00, S1(cmp) :0x00
Transmitted SONET overhead:
F1 :0x00, J0 :0x01, K1 :0x00, K2 :0x00 S1 :0x00, C2 :0xcf, F2 :0x00, Z3 :0x00 Z4 :0x00
Received path trace: pilsener-re0 so-2/2/0
70 69 6c 73 65 6e 65 72 2d 72 65 30 20 73 6f 2d pilsener-re0 32 2f 32 2f 30 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 2/2/0...
00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ...
00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 0d 00 ...
第5章:レイヤー1およびレイヤー2の監視およびトラブルシューティング 59
Transmitted path trace: dunkel-re0 so-2/0/0
64 75 6e 6b 65 6c 2d 72 65 30 20 73 6f 2d 32 2f dunkel-re0 so-2/
30 2f 30 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 0/0...
00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ...
00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 ...
HDLC configuration:
Policing bucket:Disabled Shaping bucket :Disabled
Giant threshold:4484, Runt threshold:3 Packet Forwarding Engine configuration:
Destination slot:2, PLP byte:1 (0x00) Direction :Output
CoS transmit queue Bandwidth Buffer Priority Limit % bps % usec
0 best-effort 95 590976000 95 0 low none 3 network-control 5 31104000 5 0 low none
Logical interface so-2/0/0.0 (Index 66) (SNMP ifIndex 179) (Generation 134) Flags:Point-To-Point SNMP-Traps 0x4000 Encapsulation:PPP
Protocol inet, MTU:4470, Generation:141, Route table:0 Addresses, Flags:Is-Preferred Is-Primary
Destination:18.32.74.0/30, Local:18.32.74.1, Broadcast:18.32.74.3, Generation:144
実際にshow interface extensiveコマンドまたはmonitor interface
コマンドを実行したときに何に注目すべきかを理解できるよう、この 出力をレイヤー単位で詳細に見ていきます。
レイヤー
1
およびレイヤー2
技術の監視およびトラブルシューティング で重要なことは、プロトコルによる監視方法、エラーによる接続動作 の影響、およびそれらのエラーがどのようにオペレータに表示される かを理解することです。SONET
モードジュニパーネットワークスの
SONET PIC
は、SONETモードまたはSDH
モードで動作します。SONET
(Synchronous Optical Networking
)およびSDH
(
Synchronous Digital Hierarchy
)は、Telcordia Technologies
社 の『Generic Requirements documents GR-253-CORE
』 の 一 部 として開発されました。この文書では、光ファイバーケーブルを介し てビットストリームを多重化する2
つの方法について解説しています。SONET
とSDH
は、非常に良く似たプロトコルです。SDH
は後から開発されたもので、
SONET
の上位集合と見なすことができますが、SDH
は世界中で採用されているのに対して、SONET
の採用は北米 に限定されるため、SDH
が標準として捉えられています。プロトコルの実際の仕組みは非常に複雑であり、本書が目的とする範囲 を超えます。ここで把握すべきことは、SONET/SDHレイヤーによって 実行されるカプセル化とインターリービングにより、極めて低遅延が実 現できる点です。SONET/SDH設定は、シャーシ階層レベルで行われ、
PIC
上の全ポートに適用されます。SONETとSDH
の不一致があると、SONET
フレーム同期損失エラー(後述)を引き起こすことがあります。FCS
FCS、すなわちフレームチェックサムは、パケット検証に用いられます。
ジュニパーネットワークスのデバイスは、デフォルト動作として
16
ビッ トフレームチェックサムを使用しますが、信頼性を向上させる32
ビッ トチェックサムで設定することもできます。ただし、ネットワーク構成要素によってはサポートされない場合もあります。
チェックサムエラーを特定する最も早い方法は、show interface [interface name] extensiveコマンドを繰り返し実行するか、monitor
interface [interface name]コマンドを使用して、フレーミングエラー を監視する方法です。フレーミングエラーが急速に増加する場合は、
一般に、チェックサムエラーの発生を示しています。
ペイロードスクランブリング
ペイロードスクランブリング(showコマンドの出力で太字表示)は、
SONET
接続障害の多くのケースで原因とされるものです。多くのSONET
パラメータと同様、ペイロードスクランブリングは回線の両端で一致しなければなりません。両端の間で不一致があると、SONET エラーを引き起こします。
ITU-T GR-253
標準など、いくつかの転送標準では、デジタルストリーム中に、ある一定の密度で(0ではなく)1が含まれている必要があ ります。この要件が課せられる主な理由は、タイミングリカバリのた めです。例えば、T1で必要となる
1
の割合は12.5%、すなわち 1
バ イト当たり1
ビットです。この要件を満たすために、暗号化アルゴリズムとしてペイロードスクラ ンブリングを使用し、ジュニパーネットワークスのルーターの
SONET
インタフェースで、デフォルトで有効化されるようにします。ペイロー ドスクランブリング不一致のトラブルシューティングには、注意が必 要です。ペイロードスクランブリング不一致は、接続のどちら側でもSONET
レイヤー問題(不具合など)を引き起こすことはありませんが、ペイロードスクランブリングが有効化されたログを設定してある側で は、ジュニパーネットワークスのルーターで
giant(ジャイアント)と
表示されるエラーが記録されます。ペイロードスクランブリングが設 定されていない側では、フレーミングエラーが表示されます。第5章:レイヤー1およびレイヤー2の監視およびトラブルシューティング 61
ベストプラクティス
FCS
と同様、両側で同じ内容のペイロードスクランブリングが設定さ れていることを確認してください。また、両側でペイロードスクランブ リングを設定することを推奨します。入力エラー
さまざまな
SONET
エラーによって入力エラーがトリガーされます。原因はそれぞれ異なるものの、何らかの問題を示しており、原因の調 査と修正が必要です。フレーミングエラー、ラント、ジャイアントは、
通常は設定の誤りが原因です。フレーミングエラーは、FCSの不一致
(例えば、一方の側が
16、もう一方が 32
など)またはペイロードス クランブリングの不一致が原因で発生します。ラントは、受信パケットが最小フレームサイズ(SONETでは
64
バ イト)より小さいときに発生します。これらは主にケーブル配線や接 続の問題によって生じるため、限られたケースです。ジャイアントは、受信パケットが最大フレームサイズ(
16KB
)より大 きいときに発生します。これらは、前述のようにペイロードスクランブ リングの不一致が原因で発生することもありますが、他の条件によっ て起こることもあります。入力ジャイアントが継続し、原因として設定 の不一致を除外できる場合は、回線プロバイダに連絡して問題を解決 するための支援を要請してください。SONET アラームおよび不具合
SONET
は、ジュニパーネットワークスのデバイスで採用される最も複雑なレイヤー
1
技術であるため、レイヤー1
におけるトラブルシュー ティング例として用いることにします。SONET
リンクのトラブルシューティングでは、SONETの階層特性を理解することが重要です。
SONET/SDH
階層は、図5-1
に示すように、セクション、ライン、パスレイヤーの
3
つのレイヤーで構成されます。階層の最下位レベルにあるセクションは、ルーター、信号再生器、ま
たは
ADM(Add-Drop Multiplexor) などのネットワーク構成要
素で終端可能な単一の光ファイバー接続として定義されます。この 役割を担うデバイスは、多くの場合、セクション終端装置(STE:
Section Terminating Equipment)と呼ばれます。
ラインレイヤーは、SONET/SDHフレームとの情報の同期およ び多重化を行います。ライン終端装置(LTE:Line Terminating
Element)には、ルーターや ADM
があります。パスレイヤーで は、 ル ーターなどの パス終 端 装 置(PTE:Path
Terminating Element)によって SONET/SDH
以外のネットワークと
SONET/SDH
ネットワークが接続されます。この階層により、特定レイヤーでの問題を素早く切り分けできるようになります。
図5-1 SONETネットワークのサンプル
以降のセクションでは、図
5-1
を用いて、一般的なSONET
エラー、その主な原因、およびトラブルシューティングの開始場所に関するいく つかの推奨事項を挙げます。
LOS
(Loss of Signal
)LOS(Loss of Signal:信号損失)アラームは、隣接の SONET
機器の送信ポートからルーターの受信ポートへの接続において、物理リ ンクの問題が発生していることを示すものです。LOSアラームの発生 場所を特定するには、ルーターポートと最初の