2020
年調査では、総合起業活動指数(TEA)が
2019年の
5.4から大幅に上昇し、
6.5と なった。この要因については、次のモデルを使って考察する
3。
基本的な考え方は、
Reynolds and White(1997)4に拠っている。すなわち一般成人は二 通りに分かれ、起業態度を有するものと起業態度を有しないもののいずれかになる
5。そし て、起業態度を有するものは、さらに起業活動を始めるものと始めないものに分かれる。同 様に、起業態度を有しないものも、起業活動を始めるものと始めないものに分かれる(図表
4.1)。
図表
4.1 国の起業活動水準決定モデルつまり,
1国の一般成人のうち、起業態度を有する割合を a、起業態度を有するものから の起業化率を b(TEA に相当) 、起業態度を有しないものからの起業化率(TEA に相当)
を c とすると、1 国の起業活動水準 f(a, b, c)は次の式で示される。
3
このフレームワークの分析を初めて行ったのは,高橋徳行(2017)「リーマンショック後に生じた日本の起業活動 の変化」『企業家研究』第 14 号,pp. 83-91.である.
4 Reynolds, Paul and White, Sammis (1997) The Entrepreneurial Process: Economic Growth, Men, Women, and Minorities, Quorum Books
5 GEM
で使用している次の
3つの設問の中で
1つもイエスがなかったものを起業態度無しとして、1 つでもイエス があったものを起業態度有りと分類した。
ロールモデル指数(Knowent):「過去
2年以内に新たにビジネスを始めた人を個人的に知っているか」という質 問に「はい」と回答した人数を成人人口
100人当たりの人数で示したもの.起業家との距離の近さやロールモデルの 存在の有無を表す指標と考えられる
事業機会認識指数(Opport):「今後
6カ月以内に,自分が住む地域に起業に有利なチャンスが訪れると思うか」
という質問に「はい」と回答した人数を成人人口
100人当たりの人数で示したもの.新しい事業機会にどれだけ目を 配らせているかを表す指標と考えられる
知識・能力・経験指数(Suskil):「新しいビジネスを始めるために必要な知識・能力・経験を持っているか」とい
う質問に「はい」と回答した人数を成人人口
100人当たりの人数で示したもの.事業を始めるために必要な知識・能
力・経験を有しているかを表す指標と考えられる
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起業活動水準の決定モデル
f(a, b, c)=(a*b)+(1−a)*cこのモデルでは、国の起業活動の水準は 3 つの変数で決まることになり、次にこのモデ ルにしたがってわが国の
TEAが
2020年にどのように変化したのかを分析する。
図表
4.2は、a,b,c の推移を
2001年から見たものである。
図表
4.2① 3つの変数の推移(日本)
日本
a b c
2001 年 23.20% 5.4% 0.50%
2002 年 21.80% 6.00% 0.60%
2003 年 19.20% 9.40% 0.70%
2004 年 19.90% 7.30% 0.00%
2005 年 19.60% 9.70% 0.20%
2006 年 19.90% 13.10% 0.20%
2007 年 21.00% 17.10% 0.60%
2008 年 23.70% 18.90% 0.80%
2009 年 22.40% 10.30% 1.10%
2010 年 27.10% 9.70% 0.80%
2011 年 26.80% 16.40% 1.40%
2012 年 22.20% 13.20% 1.30%
2013 年 27.10% 10.90% 1.10%
2014 年 25.10% 11.90% 0.70%
2015 年 28.20% 15.10% 1.30%
2016 年 25.60% 15.30% 1.90%
2017 年 25.20% 15.00% 1.40%
2018 年 26.40% 15.80% 1.60%
2019 年 27.10% 14.00% 2.20%
2020 年 32.80% 17.10% 1.70%
35
図表
4.3① 態度有りのグループと態度無しのグループの全体のTEAに対する貢献度(実
数)
態度有りの TEA 貢献度 態度無しの TEA 貢献度 全体の TEA
2001 年 1.25% 0.38% 1.64%
2002 年 1.31% 0.47% 1.78%
2003 年 1.80% 0.57% 2.37%
2004 年 1.45% 0.00% 1.45%
2005 年 1.90% 0.16% 2.06%
2006 年 2.61% 0.16% 2.77%
2007 年 3.59% 0.47% 4.07%
2008 年 4.48% 0.61% 5.09%
2009 年 2.31% 0.85% 3.16%
2010 年 2.63% 0.58% 3.21%
2011 年 4.40% 1.02% 5.42%
2012 年 2.93% 1.01% 3.94%
2013 年 2.95% 0.80% 3.76%
2014 年 2.99% 0.52% 3.51%
2015 年 4.26% 0.93% 5.19%
2016 年 3.92% 1.41% 5.33%
2017 年 3.78% 1.05% 4.83%
2018 年 4.17% 1.18% 5.35%
2019 年 3.79% 1.60% 5.40%
2020 年 5.61% 1.14% 6.75%
注)第
4章で使っているデータは、それぞれの調査年の個票データであり、ウエート付けをする前のものなので、全体
の
TEAは他の章で紹介した数字と若干異なっている。
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