立岡 議論の質を高めるための工夫がなされていると感じ ます。白石さんがおっしゃったように、旭化成は広範な事業 領域を持つため、取締役会が個々の事業をどう見ていくかが 重要です。一つひとつの取り組みを詳細に見るのではなく、
各案件の本質を見極め、大所高所から議論していくよう進行 がなされています。
また、変化の速い時代に対応し、経営のスピード感も変 化してきたと感じています。その中で企業経営ではアクセル とブレーキを使い分けることが大切で、過度に慎重になりブ レーキばかり踏んでいては成長の機会を失うことになります。
適切なタイミングでアクセルをしっかり踏むことも必要です。
私自身は長年日本経済の成長に向き合ってきたこともあり、
その重要性を理解しています。取締役会では、それぞれの局 面で事業機会を活かせるような提言を心掛けています。
白石 立岡さんが指摘されたような、取締役会で質の高い 議論がなされるための工夫は、随所に凝らされています。社 外取締役は事前に取締役会の議案に関する背景や論点の説明 を受けていますが、これは社内取締役と社外取締役との間の
情報格差を埋めるための有効な手立てです。このほか、年 に数回開催される事業の現場視察や研究開発部門の皆さん による研究成果発表会なども、社業を知るという点では非 常に有益です。
前年度においては取締役会議長であった伊藤さん(現名誉 会長)が取締役会メンバーの中で旭化成の歴史に最も詳しい 方でしたが、社業の歴史なども交えつつ社外取締役の意見 を効果的に引き出すよう、また、社内取締役と社外取締役 の議論がかみ合うように、議事を進行されていました。伊 藤さんのリーダーシップが、取締役会での議論の質的向上 につながっていたと感じます。
立岡 今年度から取締役会議長は小堀さん(代表取締役 社長)にバトンタッチされましたが、従来同様、社内の視点 からの議論と、社外の視点からの議論とをうまくかみ合わ せるような議事進行を大いに期待しています。
̶社外の視点から見て、旭化成にはどのような 強みがあると認識されていますか?
立岡 グループの社員が共有する確固たる理念があり、
それが一人ひとりに浸透していることが、まさに旭化成の 強みだと思います。世の中で
ESG
経営が謳われるようにな る前から「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループ理念や、「昨日まで世界になかったものを。」
というグループスローガンを掲げています。これは旭化成 の精神を端的に示すもので、簡潔であるがゆえに浸透して おり、事業を通じて実現されているように感じます。また 旭化成には、社会にイノベーションを起こしうる、まさに「昨 日までに世界になかったもの」を生み出す技術のシーズ(種)
が豊富に存在しており、その点も強みの一つだと思います。
取締役(社外取締役)
白しらいし
石 真ま す み澄
略歴
1989年5月(株)ニッセイ 基礎研究所入社
2001年4月同社主任研究員
2002年4月東洋大学経済学部 助教授
2006年4月同大学同学部教授
2007年4月関西大学政策創造学部 教授(現在)
2013年6月旭化成(株)
社外取締役(現在)
社外取締役対談
白石 私は、ポジティブな人が多いこと、またフラット な組織運営がなされていることが、旭化成の強みの源泉だ と思います。相互のコミュニケーションが図りやすく、いか なる状況においても明るい未来に向けた取り組みについて 語り合える人が揃っているのです。
また、事業領域が広範でさまざまな事業が展開されてい ますが、変化の大きい時代にあっては、事業の多様性その ものが大きな強みではないかと思います。
̶中期経営計画「 Cs for Tomorrow 2018 」の 2 年目 を終えましたが、計画の最終年度において何をすべ きだと思いますか?
白石 当初掲げた最終年度の利益目標を
1
年前倒しで達 成できたことは、経営陣と従業員の努力の賜物でしょう。計画の最終年度となる今年度は、M&Aを含め、これまで行っ た投資をしっかり収益に結びつけていくことが大切です。
一方、今の旭化成には、事業活動以外の取り組みに関す る外部へのアピールが足りないと思います。ESGや社会貢 献活動などに積極的に取り組んでいるにもかかわらず、外 部から認知されていないものが多くあると思います。例え ばKPI(重要な管理指標)を使ってわかりやすく説明するな ど、広く世に知ってもらえるよう工夫すべきでしょう。
立岡 現在の中期経営計画については、業績面でしっか りと結果を残し、グループビジョンである「健康で快適な生 活」と「環境との共生」に貢献する事業を中心に順調に進捗 しています。
旭化成は、
2025
年度に売上高3
兆円、営業利益2
,800
億 円を達成するという高い目標を掲げています。2018
年度は、それを踏まえて次期中期経営計画に向けた議論を積み上げ ていくとともに、いずれ直面するさまざまな変化に備えて、
しっかりと打ち手を検討すべき年だと認識しています。
̶今後、旭化成がグローバル企業として成長を続け ていくために、最も重要なことは何だと思いますか?
白石 国内の市場は縮小していくものと見ており、今後 の成長のためにはグローバル展開の加速が必要です。その ためには、旭化成の既存事業と相乗効果のあるビジネスを展 開する多くのパートナーと「Connect」すること、また、多 様でイノベーティブな人財を確保・育成することが重要です。
さらに、事業のグローバル化をにらみ、中長期的には取 締役会のダイバーシティも必要です。技術系のバックグラ ウンドを持つ取締役を増やすこと、社外だけでなくグルー プ内から女性の取締役を選任すること、日本人以外の取締 役を起用することなどを検討すべきと思います。
立岡 人財が重要な鍵を握るという考えは、白石さんと 同感です。AIやIoTなど、デジタルトランスフォーメーショ ンがもたらす世界の変化は非常に速く、我々素材産業にも 大きな影響を及ぼす可能性があります。これからはそれに 対応できるITリテラシーの高い人財、また、海外展開にお いて異なる文化を理解し、「Connect」していける人財が求 められていると思います。
コンプライアンス向上に向けた具体的取り組み
旭 化成グルー プは、「
Cs for Tomorrow 2018
」の中で将来に向けて「飛躍の基盤」を固めるための3
つのC
(Compliance
、Communication
、Challenge
)を掲げています。その中でもコンプライアンス(Compliance
)の徹 底においては、「現場」に赴き、自らの目で「現物」を確認し、「現実」を知るという「三現主義」を徹底し、社会から常に信 頼される企業を目指しています。当社グループは、コンプライアンスを重視し、事業・業務に関する法令・諸規則や社内ルールの遵守を徹底します。
また、これらの遵守のみならず、あらゆる事業活動において、社会的な規範を含むより高いレベルの企業倫理を実践し、グループ理念に基 づくグループバリュー(共通の価値観)にかなった「誠実な行動」を目指します。
1
1 グループリスク管理・コンプライアンス基本規程
グループ全体のリスク管理とコンプライアンスの推進を一元的に管理・運営するため、「グループリスク管理・コンプライアンス基本規程」で、組 織体制などの基本的事項を定めています。
2 リスク・コンプライアンス委員会
社長を委員長とし、各事業本部と事業会社の長を委員とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体のコンプライアン スとリスク管理に関する方針決定・審議を行い、またコンプライアンスの徹底状況とリスク対策の進捗状況のモニタリングを行っています。
なお、委員会での審議結果等については、都度、取締役会に報告しています。
基本的な考え方
1
社内の推進体制
2
1. 規程の目的 2. リスク管理・コンプライアンス等の用語の定義
3. 規程の適用範囲
4. リスク管理とコンプライアンスの推進体制
1 リスク・コンプライアンス担当執行役員の任命 2 リスク・コンプライアンス委員会の設置と構成員 3 リスク・コンプライアンス統括部署と推進部署の設置 4 事業本部長・事業会社社長等の役割
5 各部門のリスク・コンプライアンス責任者・管理者の任命と役割
5. グループ行動規範 6. 危機管理対応 7. コンプライアンスホットライン(内部通報制度)
「グループリスク管理・コンプライアンス基本規程」の骨子
<推進体制図>
審議・決定
<事務局>
報告 取締役会/経営会議
リスク・コンプライアンス 委員会
連携
総務部リスク・コンプライアンス室
(リスク・コンプライアンス統括部署)
各スタッフ部門
(リスク・コンプライアンス推進部署)
指示・報告 事業部門
関係会社(国内・海外)
各事業本部
関係会社(国内・海外)
各事業会社 委員会での主な審議事項
1 コンプライアンス・リスク管理の年度計画の活動実績と総括 2 グループ行動規範の周知・教育状況
3 コンプライアンス違反案件の報告と対処措置
4 コンプライアンスホットライン(内部通報制度)の運用状況 5 従業員の懲罰状況