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つとして呼吸器系に発症する真菌症は臨床上、極めて重要である。特に高度な免疫抑制状態 にある宿主に日和見的に発症し、急速な進行を遂げる侵襲性肺アスペルギルス症やニューモシスチス肺炎

抄   録(ICD)

院内感染症の 1 つとして呼吸器系に発症する真菌症は臨床上、極めて重要である。特に高度な免疫抑制状態 にある宿主に日和見的に発症し、急速な進行を遂げる侵襲性肺アスペルギルス症やニューモシスチス肺炎

(PCP)などは、早期診断と早期治療開始が予後の鍵となる。特に

PCP

はヒト−ヒト感染も確認されているので、

一層の注意を要する。また、宿主の基礎疾患によっては抗真菌薬の予防投与が必要な場合もあり、一定の効果 が得られているようである。しかし、その一方で、ブレークスルー感染症として播種性トリコスポロン症や肺 接合菌症の増加も指摘されており、院内発症肺真菌症の病態は多岐にわたる。他方、重篤な基礎疾患を有する 宿主の喀痰からカンジダ属が分離されることもしばしば経験される。このような場合、抗菌薬不応性の肺炎を カンジダ肺炎と診断し、抗真菌薬が開始されることもあるが、カンジダ肺炎の頻度は高くないとされる。また、

血清診断法の結果のみで抗真菌薬開始の判断がなされている症例も少なくない。院内感染症としての肺真菌症

診断では、喀痰培養や血清診断法の成績を鵜呑みにすることが不必要な抗真菌薬使用につながることもあるの

で、気管支鏡を用いた無菌的検体や組織検体採取の努力が重要となる。本シンポジウムでは、院内呼吸器真菌

症の診断と予防・治療について、現状の問題点と今後の展望について考察してみたい。

抄   録(ICD)

ICD 講習会  院内感染における病原真菌と真菌感染症

10

22

日(土) 

15:00

17:00

A

会場 プラザ

5F

「オリオン

1

」 座長:菊池 賢・前崎繁文

ICD-3   血液疾患領域の真菌感染

高田 徹

福岡大学医学部腫瘍血液感染症内科

 侵襲性真菌感染症(IFI)のリスクを規定する最大の因子は宿主因子である。血液悪性疾患では抗癌化学療 法による好中球減少の程度と期間が最も重要である。同種造血幹細胞移植例においては細胞性免疫、液性免疫 も含めたより複合的な免疫不全を生じやすい。重度好中球減少症を伴う状態では効果的な治療もしばしば困難 を伴うため、状況によっては抗真菌薬予防投与が考慮される。特にカンジダによる

IFI

に対してはフルコナゾー ルによる予防のエビデンスが確立している。

 一方、アスペルギルス等の環境中に普遍的に存在する糸状菌は主として吸入により感染する。そのため、感 染防御策としては

1)空気環境中の胞子量を増やさない事、2)胞子量の吸入を減らした環境に患者を入室さ

せる事、が柱になる。前者としては、建築物工事への注意、後者としては

HEPA

フィルターの整備された空気 環境、陽圧環境が基本となる。糸状菌の付着しやすいカーペットの使用やドライフラワーや生花の持ち込みは 避ける。また、糸状菌は湿潤な環境を好むため、湿気の高い環境・器材の管理も重要である。感染対策の効果 判定にはサーベイランスが必要であるが、血液疾患患者においては血球減少等から侵襲的検査が困難な場合が 少なくない。そのため、胸部

CT

画像所見やガラクトマンナン、β-D- グルカン等の非侵襲的診断マーカーを 駆使しながら、施設内における

IFI

の頻度をモニタリングする事も有用である。

ICD-4

  臓器移植における真菌症

光武 耕太郎

埼玉医科大学国際医療センター感染症科・感染制御科

 真菌症の発症に関係する要因として、固形がんや造血器悪性腫瘍、移植、抗がん化学療法、長期のステロイ ド投与などがあげられる。

 臓器移植(脳死移植)は、これまで年に高々

10

例ほどの限られた例数であったが、昨年の法律改正により 提供者数は増加し、おそらく年間でみれば数倍に増えていると思われる。国内では、

1

人のドナーから

5

件程 の移植が行われており、移植件数もかなり増えることになる。

 移植後の真菌症は、移植臓器によってその頻度や原因真菌の内わけは異なっている。真菌症は、グラフトの

機能不全や拒絶反応治療により感染防御能が低下した状況で発症したり、市中で日和見的に発症したりすると

しても、比較的まれな合併感染症である。また、最近の周術期管理や免疫抑制療法の進歩、さらには抗真菌薬

の予防投与により以前に比べ発生頻度は減少しているとされる。しかしながら発症した場合、診断や治療は概

して難しく厄介な感染症である。本セミナーでは、予防を含めて臓器移植における真菌症について概説する。

第55回日本医真菌学会学術集会抄録

一 般 演 題

ポ ス タ ー 発 表

( 口 演 発 表 )

抄   録(一般演題)

P-004

Arthroderma benhamiae

NTS

領域の多型性 に基づく分子疫学的検討

○ 竹田 公信1、望月 隆1,2、安澤 数史1,2,3

1金沢医大 皮膚科、2金沢医大 総合医学研究所皮膚真菌学研究 部門 ノバルティスファーマ 、3金沢医大 総合医学研究所皮膚 真菌学研究部門-ノバルティスファーマ

-【目的】日本におけるArthroderma benhamiae感染症は、ペットな どの小動物から生じることが知られているが、これらの感染経路 を解明するための簡便な手法はまだない。そこで今回、NTS領 域を用いた種内変異の検出法を開発した。【方法】A. benhamiae 2 株(RV30001, KMU6113:本邦の臨床分離株)のrDNANTS領 域の塩基配列から、これら2株間で差の大きい領域を選定し、こ の領域を増幅するプライマーを設計した。本邦分離株22株を含 む63株についてITS1+2の塩基配列で同じクラスターに属すると 考えられた46株内に本邦分離株は全てこれに含まれたため、以 降この46株についてNTS領域のRFLP分析を行なった。【結果・

考察】46株を11 タイプに分類することができた。本邦分離株22

株は4タイプに分類された。このうち最大のタイプは10株を含み、

分離地域も東北から九州まで広範囲にわたっていた。同一人物の 異なった病変、家族内、ペットとその飼い主の分離株はいずれも 同じタイプを示した。本法は従来のSouthern blot法による検討に

P-002

ゲンチアナ紫の

Trichophyton spp.

に対する抗菌力

○ 山田 俊彦1、近藤 成美1、三澤 成毅2、川上 剛明2、 小栗 豊子1、大坂 顯通3、三井田 孝1

1順天堂大 臨床検査医学、2順天堂医院 臨床検査部、

3順天堂大 輸血・幹細胞制御学

【目的】ゲンチアナ紫(GV)は、グラム陽性菌に強い抗菌力を有 している。 我々は、本剤のMRSAや酵母に対する抗菌力や、爪 白癬に対しても有用であることを報告してきた。今回はGV

Trichophytonに対する抗菌力を検討した。

【材料および方法】使用菌株は、当院臨床検査部で保存の臨床分 離 株8株 で あ る。 抗 菌 力 の 測 定 は、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の方法(M38-A)に準じ、寒天平板希 釈法にて行った。接種菌液は、サブロー寒天培地(SDA)で

35℃、7日間培養した集落をかきとりTween 20加滅菌蒸留水に

懸濁し、濁度を0.090.13に調整した。薬剤含有培地はSDAと ポテトデキストロース寒天培地(PDA)を使用し、GVの濃度は0.06

128μg/mlとした。菌液はミクロプランター(佐久間製作所)

で各培地へ10μlを接種し、35℃、7日間培養後に判定した。

【結果】使用8株の接種菌液の生菌数は105106CFU/mlに分布 し、培地への最終接種菌量は102103CFUであった。GVの MIC値はSDAでは1g/ml、PDAでは0.5g/mlに分布し、

菌の発育性やMICの判定において両培地で差は認められなかっ た。過去の我々の検討では、GVの酵母に対するMIC値は0.12

g/mlに分布しMIC90値はg/mlであったことから、GV

Trichophyton spp.に対しても抗菌力を有しているものと考えら

れた。現在、RPMI 1640培地にても検討中で、あわせて報告する 予定である。

P-003

外用抗真菌薬の殺菌活性の検討―標準化微量液体 希釈法に準じた

Neutral red

法の検討―

○ 南條 育子1、古賀 裕康1、坪井 良治2

1日本農薬株式会社総合研究所、2東京医科大 皮膚科

はじめに:抗真菌薬の最小殺菌濃度(MFC)測定法は標準化がな されていない。我々は、最小発育阻止濃度(MIC)の標準化微量 測定法に準じた条件でNeutral Red(NR)を用いたMFC測定を検 討し、外用抗真菌薬の評価を試みた。方法:Trichophyton rubrum 保存株3株を使用した。試験条件は本学会の標準法に準じた。24 穴プレートに薬剤含有alamar blue 添加RPMI1640培地を添加後、

トランスウェルを設置し、内部に菌分生子を接種、培養(27℃、

4-10日)してMICを求めた。直ちにトランスウェルをNR添加 プレートに移して染色後、細胞内に取り込まれたNR量を定量し た。NRの非特異的染色を補正するために、次亜塩素酸処理した 殺菌対照区を設けた。薬剤非添加の発育対照区のNR取り込みを

95%阻害する薬剤濃度をMFCとした。結果および考察:ルリコ

ナゾール、ラノコナゾール、ビホナゾール、テルビナフィンおよ びリラナフタートを調べた結果、MICは従来の報告値と一致した。

各薬剤のMFC(7日後)はそれぞれ0.002-0.0078、0.002-0.016、>1、

0.031-0.063および0.031-0.063ug/mLとなり、ルリコナゾールとラ ノコナゾールに強い活性がみられた。本法は標準化条件下でMIC

P-001

皮膚糸状菌検出試験紙の臨床応用について

○田邉 洋、東前 和奈 兵庫県立塚口病院 皮膚科

皮膚糸状菌検出試験紙(日祥(株))は、白癬菌群を、簡単に短 時間で検出することを目的に作られた研究用試薬である。2011 年412日から、インターネット販売が開始され、医家のみで なく一般も購入可能である。本試験紙はあくまで研究用試薬であ り、診断には用いることはできないとされている。その検出感度 については、製作メーカの資料によると、白癬に対して本試験紙 の相対感度は95%、相対特異性は94.1%、一致率は94.5%とさ れている。その臨床応用についてはいまだ未知な点が多く、日常 皮膚科診療にどの程度役立つのか、とくに白癬の診断や、治療の 効果判定に使用しうるのかは不確定なのが現状である。当院で は、数名の足白癬、爪白癬患者に本試験紙を使用し、KOH直接 鏡検法、真菌培養と菌検出の頻度を比較した。現時点ではデータ は開示できないが、足白癬ではKOH直接鏡検法と陽性率はほぼ 一致した。爪白癬では治療期間に比例してKOH直接鏡検法と糸 状菌検出試験紙の陽性率は解離した。皮膚糸状菌検出試験紙は、

その臨床的意義や販売方法など諸々の問題があり、専門的臨床的 評価を学会や臨床家に求められる可能性がある。今後引き続いて その臨床的意義について検証する必要があると考える。