コンプガチャについての問題は収束したが、ソーシャルゲームのアクターネットワークを 不安定化させる動きが収束したかどうかはわからない。メディアは、コンプガチャ以外につ いても法的な問題の可能性を指摘してきた。
(日本経済新聞51)ある機関投資家は「取り締まり当局による新興企業いじめがまた始まった」と 憤る。法令に基づかない規制は許されるべきではないが、そうした被害者的な見方は妥当なのだ ろうか。
一部の携帯ゲームは景表法以外の課題も抱えている可能性がある。もし、カードがそろいそう になると、「当たり」の確率を落とすようにしていればどうなるか。刑法の専門家によると、未成 年者に確率がいつも一定だと思い込ませているようなら犯罪になる恐れがあるという。
(日経MJ(流通新聞)52)ガチャそのものも射幸心をあおるが景表法違反ではない。ただガチャ で得られた景品が RMT 市場で換金できる構図は、風俗営業法に触れる可能性があるとの議論も ある。仮想空間に存在するゲームサイトを「店舗」として解釈するのは現行法では無理がある。
今後、仮想世界や拡張現実などの経済行為が現実空間にオーバーラップしてくれば、法改正につ ながる可能性は否定できない。
47 2012/05/11 日本経済新聞 朝刊 9頁
48 KLab株式会社プレスリリース(2012/5/9)『コンプガチャ全停止に関するお知らせ』
http://www.klab.jp/press/2012/120509b.html
49 2012/08/15 日経産業新聞 12頁
50 2012/08/10 日経産業新聞 3頁
51 2012/05/14 日本経済新聞 朝刊 9頁
52 2012/05/30 日経MJ(流通新聞) 19頁
2012年6 月22日、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会は、「ゲーム内表示等 に関するガイドライン」、「リアルマネートレード対策ガイドライン」及び「コンプリートガ チャ等に関する事例集」を公表した。
「ゲーム内表示等に関するガイドライン」は、有料ガチャに関して、ユーザーへの有料ガ チャアイテムの提供割合などの情報提供が不十分なサービス形態を分節化し、不十分な情報 提供のもとで有料ガチャサービスが提供されない様にプラットフォーム事業者に努力を求め ることとした。
「リアルマネートレード対策ガイドライン」は、リアルマネートレードが生じやすいアイ テムの交換手法を分節化し、プラットフォーム事業者に対して、リアルマネートレード削減 への努力を求めることとした。
「コンプリートガチャ等に関する事例集」は、ゲームデザインと組み合わされる多様な有 料ガチャのサービス形態の中から、コンプリートガチャ(図表 18)だけではなくその派生 形(図表 19)を含めて分節化し、プラットフォーム事業者の自主的な見解・解釈のもとで 留意すべき事例として示した。
図 表 18 コ ン プリ ー ト ガ チャ に あ た ると 考 え ら れ る事 例 (「 コ ンプ リ ー ト ガチ ャ 等 に 関 す る事 例 集」 より )
これらにより違法または社会的に問題視されるサービス形態を分節化した上で、ソーシャ ルゲームのアクターネットワークから排除するための取組を行うことで、ソーシャルゲーム を社会から受容されないサービスに翻訳しようとする動きを牽制した。
これらの取組はまだ始まったばかりであり、これらによりソーシャルゲームのアクター ネットワークが安定するかどうかは、今後の政府による法制度策定の動き、消費生活センター への相談件数の増減、マスメディアの報道の論調等を見ていく必要がある。現状のサービス 内容においては安定したとしても、ソーシャルゲームはユーザーの嗜好にあわせて新しい仕 組みを取り入れて変化していくサービスである。今後もソーシャルゲーム事業者は、アクター ネットワークを不安定化させる仕組みが現れれば、それを分節化し、アクターネットワーク から排除する取組を続けていくことになるだろう。
図 表 19 留 意す べ き事 例( 好ま しく な い事 例 )(「コ ン プリ ー トガ チャ 等 に関 す る事 例 集」
よ り)