本研究では、大阪湾ベイエリア都市圏の経済分析に資する基本的なデータの整理・分類を行う とともに、産業連関分析等によってベイエリア都市圏と阪神地域の産業構造の解明に努めた。ま た、産業連関分析によって、政策課題に対するシミュレーションや効果検証を試みた。これらの 成果は、今後、引き続き大阪湾ベイエリア都市圏の調査研究を進めていくうえで、基礎的な資料 として有効に活用されていくものと考える。
しかし一方では、データ収集・分析にあたって課題がなかったわけではない。データの収集は 基本的に統計データに頼ったが、現行の統計情報のなかでは、経済圏のストックの情報(人口、
事業所等)は入手できても、圏域内の人、モノ、サービス、金の流れを捕捉するに十分な情報は 得られない。このため、経済圏のダイナミズムを定量的に把握することの難しさを実感せざるを 得なかった。
そこで、来年度に向けては、統計等の二次情報に頼るだけでなく、アンケート調査を実施し、
一次情報を取得する必要があると考えている。特に、アンケート調査を通じ、大阪湾ベイエリア 都市圏内での企業間の取引関係や戦略的連携・協業の実態を把握することが、圏域の稠密な産業 ネットワークの特性を理解するうえで重要であると認識している。
本研究会では、まず大阪湾ベイエリア都市圏に集積するものづくり中小企業に焦点を当て調査 を実施し、圏域のものづくり産業クラスターの構造・特徴の解明を図る計画である。また、その 結果を産業連関分析の精緻化に活用し、将来の大阪湾ベイエリア経済圏の産業連関表の作成につ なげてゆきたい。
このほか、経済・産業面だけでなく、文化・社会面のデータの収集・整理にも着手し、大阪湾 ベイエリア都市圏の分析を多面的な角度から試みることも来年度の課題である。また、GISの活 用による経済データと空間・土地利用データの統合化や、各種データを利用した都市の総合指標、
産業活力指標の作成も検討課題に挙げられよう。さらに、大阪湾ベイエリア都市圏のベンチマー クとなる国内外の都市圏の情報収集に努め、比較研究を実施することも、課題の1つと認識して いる。
本報告書の冒頭で少し述べたように、大阪湾ベイエリアという広域経済圏における政策的な取 り組みは今後も拡大、進展していくことが予想される。そして、そうした政策形成にあたっての 一助となるような調査研究は、今後ますます重要になると思われる。その意味で、関係者、関係 機関の参画のもと、本研究会が様々な成果と情報を発信し続けることには、これからも意義があ ると考える。
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【参考文献】
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