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第三章 イソロイシンおよびフェニルアラニンがブドウ果実の果 皮アントシアニン蓄積量に及ぼす効果

第二節 材料および方法

第一項 試薬

アミノ酸(20種、図11)は味の素株式会社から提供して頂いた。

第二項 供試植物

山梨大学ワイン科学研究センター前圃場で栽培されているカベルネ・ソーヴィニヨンを 供試した。ブドウ培養細胞‘VR細胞’は第二章第一項に従い継代培養した。

第三項 VR 細胞へのアミノ酸処理

各アミノ酸あるいはABAを添加したLS改変培地上でVR細胞を培養した。各アミノ酸

は0.2 mM、1 mMおよび5 mMに、ABAは100 µMに調整し、1 mLをLS改変培地(9 cm

シャーレに 20 mL)に塗布した。また、コントロールとして滅菌した Milli-Q 水を塗布し た。25℃、弱光下(50 µE)で5日間 VR細胞を培養した。

第四項 VR 細胞へのイソロイシンあるいはフェニルアラニンと低 濃度 ABA の併用処理

後述するように、本章の研究目的に合うアミノ酸としてイソロイシンおよびフェニルア ラニンを選抜した(図11)。本項では、低濃度ABAとイソロイシンあるいはフェニルア ラニンとの併用処理がVR細胞のアントシアニン蓄積に如何なる影響を及ぼすかを検討し た。

下記に示した処理液を調整した。LS改変培地(9 cmシャーレに20 mL)に各処理液1 mL 塗布し、VR細胞を播種した。25℃、弱光下(50 µE)で5日間VR細胞を培養した。

各試験区の処理液および処理濃度 1. H2O(コントロール)

2. 100 µM ABA

3. 10 mM イソロイシン

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4. 10 mM フェニルアラニン

5. 10 mM イソロイシン + 100 µM ABA 6. 10 mM フェニルアラニン + 100 µM ABA

7. 10 mM イソロイシン + 10 mM フェニルアラニン

第五項 ブドウ果粒へのイソロイシンあるいはフェニルアラニン と低濃度 ABA の併用処理

2017年8月10日に果粒の軟化が始まった未着色のブドウ果房から果粒を採取した。果 粒を水道水で洗浄し、1% 次亜塩素酸含有70% エタノールで滅菌処理を行った。メスを用 いて果梗と果粒の接続部を切断し、0.3 Mスクロース溶液および下記の試薬2 mLをしみこ ませた濾紙に切断面が接するように果粒を静置した。その状態のまま、25℃、弱光下(50 µE)で8日間培養した。

各試験区の処理液および処理濃度

1. H2O(コントロール)

2. 100 µM ABA

3. 10 mM イソロイシン

4. 10 mM フェニルアラニン

5. 10 mM イソロイシン + 100 µM ABA 6. 10 mM フェニルアラニン + 100 µM ABA

第六項 ブドウ果房へのイソロイシンあるいはフェニルアラニン と低濃度 ABA の併用処理

2015年と2017年の2年に渡り、山梨大学ワイン科学研究センター前圃場のカベルネ・

ソーヴィニヨンに下記の処理を施した。なお、いずれの年も同じ樹に同じ処理を施すため、

連続処理の影響を弱めるために、2016年は実験を行わず 1年の中休みを取ることとした。

ベレゾーン開始期(2015年7月31日および2017年8月10日)に、ブドウ果房を下記 で示した処理液に浸漬した。定期的にブドウ果粒30粒をサンプリングし、果皮をアントシ

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各試験区の処理液および処理濃度

1. H2O(コントロール)

2. 380 µM ABA

3. 10 mM イソロイシン

4. 10 mM フェニルアラニン

5. 10 mM イソロイシン + 380 µM ABA 6. 10 mM フェニルアラニン + 380 µM ABA

*展着剤として0.1%アプローチBIをいずれの処理液にも添加した

第七項 RNA 抽出

VR細胞を液体窒素にて凍結し、手動式試料破砕器具SKミル(SK-200、トッケン)を用 いて粉末になるまで破砕した。その後、Fruit-mate for RNA Purification (タカラバイオ)と

NucleoSpin RNA Plant (タカラバイオ)のプロトコルに従ってRNAを抽出した。

第八項 リアルタイム RT-PCR による遺伝子発現解析

PrimeScript RT Reagent Kit with gDNA Eraser (タカラバイオ)のプロトコルに従って、

RNAからcDNAを合成した。その後、SYBR Premix Ex Taq II (タカラバイオ)のプロト コルに従い、Thermal Cycler Dice® Real Time System II (タカラバイオ)を用いてリアルタ イムPCRを行った。cDNA合成およびPCR条件は以下の通りである。

cDNA合成 37 ºC、15 min → 85 ºC、5 s

PCR反応 95 ºC、5 s → 60 ºC、30 s (40 cycles)

リアルタイムRT-PCRで発現定量を行った遺伝子は以下の通りである

MybA1 (VvMybA1, GenBank accession no. AB111101)

UDP glucose flavonoid 3-O-glucosyl transferase (VvUFGT, GenBank accession no. AB047099)

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内部標準プライマーとしてβ-actinプライマー (GenBank accession no. AF369524)を使 用し、Thermal Cycler Dice Real Time System Single Software ver. 5.10A (タカラバイオ)を 用いて各遺伝子の相対発現量を算出した。リアルタイムRT-PCR に用いたプライマー配列 を表2に示した。

第九項 アントシアニン測定

果実からピンセットで剥いだ果皮あるいはVR細胞を液体窒素にて凍結し、乳鉢と乳棒 を用いて粉末になるまで破砕した。破砕した試料1 gを10 mLの1% HClを含むメタノー ル溶液に浸漬し、室温、暗黒下で一晩静置した。4,000 rpmで5分間遠心分離を行った後、

520 nm における上清の吸光度を測定し、下記の計算式を用いて、Malvidin-3-O-glucoside

chloride換算でアントシアニン量を算出した(Bakker et al., 1986)。

アントシアニン量(g/g-sample weight) = (A520 * MW * 希釈率)/[ε * 試料重量(g)] A520: 520 nmの吸光度

MW: Malvidin-3-O-glucoside chloride の分子量 (529)

ε: Malvidin-3-O-glucoside chloride の分子吸光係数 (28,000)

第十項 統計分析

得られたデータに関して、エクセル統計ソフト2012(社会情報サービス)を用いて、Tukey 法で統計処理を実施した。

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